本編 第二十五話 恥ずかしながら戻ってまいっ・・・って、またベタなっw
お世話になります。
すみません。ちょっと長いです。
西ドイツの住宅街。
異空間部屋から出て来た雄二達は圭子の案内で近くのレストランに行くことにした。
約3人ほど、頻りにキョロキョロするおノボリさんがいらっしゃるが。。。
メルとルネは整備された道路、街並み、動く箱、人々の服装など自分達のいた世界とあまりにもかけ離れている状況に目が飛び出るほどの驚きを感じていた。メルは特にお口も開けっ放しで一国のお姫様らしからぬお姿である。
もう一人のおノボリさん、詩織は明らかに日本と違う欧風の雰囲気にいたく感動していた。
メルはお姫様のドレスでは目立ってしまうので圭子達の服装を参考に予め、雄二が作っておいた物を着させた。
ルネはメイド服で構わないと固辞していたが、強引にカジュアルな格好に着替えさせた。
レストランに入った一行は適当に注文を済ませて、これからどうするかを話し合った。
男1人に美少女が4人。目立ちすぎるのも困るのでいちおう【認識阻害】をかけておく。
「どーすっかなぁ?この辺にホテルとかあるん?」
「私の家に来れば良いじゃない?私が傍にいた方がメルさん達も困らないと思うし。部屋なら余ってるし問題ないよ?メルさん達も疲れてるだろうし。私が色々教えられると思うし。それにこの辺も案内できるよ?1日2日ゆっくりした方が良いと思うよ?」
雄二と圭子がそんな話し合いをする。
「それが一番やわな。圭子のご両親には申し訳ないけど、そうすっかなぁ!…じゃあ、これお母さんに渡しといてくれ。」雄二がそう言いながら圭子に100マルクのピン札を束で渡した。
一瞬、雄二以外固まるが「雄ちゃんだから仕方ないか…」と圭子が漏らすと他の3人も納得したように頷くのであった。雄二は(なんでやねんっ!)と心の中で突っ込んだ。
午後6時過ぎ、レストランから出た一行は圭子の自宅付近までやって来た。
人影のない場所を見つけ、雄二は【コーリング】で3匹、フェンリルの子供を召喚した。
メルとルネの護衛用の使い魔だが、以前、詩織も圭子の護衛用の『茶々』を羨ましがっていたのでついでに詩織にも召喚したのだ。もっとも圭子もメルも詩織も護衛と言う意味では必要はないのだが、愛玩動物と言う意味で必要だという事らしい。イミフであるが。。。
ネーミングセンスが壊滅的な雄二に名前を付けさせまいと圭子と詩織が自分達で名付ける事を断行した。
結果、メルのフェンリルには『ペス』、ルネ用には『ギン』、詩織に至っては『ポチ』と命名された。
雄二は決して口には出さなかったが、心の中でため息交じりに呟いた。
(似たようなもんやんっ!!)
やがてそれぞれの主の影に消えていった。
(みんなっ!頼んだぞっ!)
〈おんっ!〉
〈わんっ!〉
〈ばうっ!〉
それぞれが返事をした。
ついでにとばかり、西ドイツ暮らしで日本が恋しいだろうと言う事で日本食である、永〇園のお茶漬けやら梅干しやらなんやら詰め合わせと日本で流行しているレコード等、手土産を圭子とルネに持たせて、
「メル、とりあえず明々後日の朝七時くらいに迎えに来るから、それまでは圭子を頼るとええわ」
「はいっ!わかりました。」
「圭子、申し訳ないけどメルとルネの事、頼むわ。」
「おっけぇ~♪まかせてっ!」
というわけでメルとルネを圭子に任せて、詩織と雄二は日本へと転移した。
時刻は真夜中の午前2時30分を過ぎていた。
「しーちゃんはどーもないか?かなりバタバタやったけど。」
「うん♪大丈夫だよぉ~!ゆうくん♡」
お互いイチャつきたいのはヤマヤマなのだが、時間が時間なのでお休みのCHUっだけでその場は我慢する事にしてバイバイするのであった。
体感的には約2週間ぶりに自室へと帰ってきた雄二は自室の状況を確認後、施してあった【認識阻害】と【結界】を解除してベッドに潜り込んだ。
(今回も色々あったなぁ・・・)
再び渡った異世界でのあれこれを思い起こしながら雄二は目を閉じた。
当時の世相は高度成長もある程度、落ち着き、やや退廃的な雰囲気が醸し出されていた。
受験戦争、学歴偏重、汚職、政治腐敗、反社会的テロ(革マル派)、格差社会、イジメ、校内暴力…etc。
流行ってる歌も暗い曲が多かった。そして男と女も一対一が当たり前。ハーレムなどアラブの王族ぐらいにしか関係ない世の中なのである。しかし既に仮も合わせると4人も嫁が存在する雄二は今更ながら、この状況を省みて、(しばらくは増えないように気を付けんとなぁ。)と溜息を吐く。
翌日は特にイベントらしい事も起こらず、ゆっくりと自宅で過ごせた。
(たまにはこういう何もない日があってもええわなぁ)
自室でのんびりベッドに寝転がりながらラジカセを聴いている。
今聴こえてくるのはチュー〇ップという日本のバンドの曲である。
この時代はまだJPOPとは呼ばれておらず、フォークとして一括りされていた。
雄二は洋楽の他にも割と日本のフォーク系も好んで聴いていた。
特にこのチューリ〇プとか井上〇水とかが好きだった。
どちらも明らかにイギリスのリヴァープール出身の某4人組のロックバンドの影響をモロに受けている感があるが、それでもそれぞれ独自の世界を創り上げた稀代のミュージシャンである。
しばらくはまったりしていたのだが、昼近くになって【テレパシー】で呼びかけられる。
相手は美千代、雄二の依頼で貴金属や宝石を捌いている業者の雄二専属担当窓口でその正体はサキュバスである。
《主様、今よろしいでしょうか?》
(ん?美千代か。どーしたん?)
《はい、この間お預け頂いていた商品がその日のうちに捌けたのでご連絡を入れさせて頂きました。》
(えっ?もぉ?早すぎじゃね?)
《はい…実は貴金属の方は前回捌いた段階で追加注文を受けていたのです。それと宝石の方も以前から各方面より需要がかなりありまして。。。タイミングが余程良かったのか、あっという間に捌けてしまいました。取引先も事前に資金を準備していたらしく即、現金化してもらえるのでこちらとしてもありがたいんですよ。》
(へぇ~!そうなんや?その日のうちに捌けたっちゅうことは…代金も既に?)
《はいっ!既に口座に振り込まれておりますのでご確認をお願いいたします。》
(りょーかい!んで追加でブツは要るん?)
《はい、お忙しいところ恐縮ですが、お願いできますか?実情まだまだかなりの売り手市場でして…品不足気味なんですよ。》
(わかった!明日でもええかな?)
《ええ、明日にでもお願いできますか?》
(おっけっ♪)
というわけで明日、午前中に以前指定した小学校近辺のお社まで出向くことにした。
昼食後、口座残高の確認をしようとちょっと出かけてくる旨を伝えて玄関で靴を履いていると、秀美がトコトコやって来て、「一緒に行くっ!」と言い出した。
(仕方ないか…かまってやらんとなぁ。)さすがシスコンである。
1人なら転移できるが、秀美が一緒ならバスか自転車で行くしかない。安全面を考えればバスだろう。
バス停まで徒歩で5分なのだが、案の定お手々繋いでである。
(秀美はちゃんと結婚できるのだろうか?)と、一抹の不安を抱く兄である。
当の本人は久しぶりに大好きなお兄ちゃんとお出かけできるとあって頗るご機嫌である。
(ま、まあ…いっかぁ。可愛いし。)
やはり妹に甘々なシスコン兄貴である。
バスの中でも鼻歌を歌いながらお兄ちゃんにべったりくっついている妹を見やりながら、
(つくづくご都合主義なんやなぁ。。。)そう考えながらフッと息を吐く雄二である。
やがて目的の場所近くのバス停に到着し、相変わらず手を繋ぎたがる秀美の好きなようにさせ、歩き出す。
ATM前で「ちょっと待っとって」と断りを入れて残高の確認をした。
以前確認した時は約3千万あったのだが、今回確認すると桁が増えていた。
11億6千万円程になっていた。中学三年のガキが持って良い金額な訳が無い。
(宝石がやっぱ大きいわな。しかしどーすっかなぁ?…これ)
とはいうものの、別口である異空間収納にはこの残高を遥かに上回る金額の現ナマが。そしてそれさえ遥かに凌ぐ価値の現物がごっそり同じ異空間収納に収まっている。
げんなりしながら口座から2万円下ろして秀美の居るところまで戻って来た。
「あっ!お兄ちゃん!!」慌てて駆け寄ってくる秀美。
「どーした?そない慌てて。」
「んとね…たぶんだけど、同じクラスだった子が今、不良に連れていかれて向こうに…」
「何やてぇ⁉どっちや?」
「確かあっちの方…」
秀美が指さした方向に向けて【サーチ】を行使する。
「わかった!秀美はここで待ってろっ!絶対ここから動くなよっ!」
「うんっ!わかったぁ!お兄ちゃん、助けてあげて?」
「まかせろっ!」そう告げて念のため、秀美の周りに【結界】を張ってから駆け出す。
そこは商業施設の裏側にある人目が少ない駐輪スペース。
眼鏡をかけた背の低いいかにも小学生な男の子。そしてその子を取り囲むように高校生くらいの連中が5人。
「だからぁー、僕ちゃんはお兄さんたちにお金をくれればいいわけぇ!わかるぅ?」
「怪我したくねぇだろぉ?ああん?」
「オラオラ~っ!さっさとしろよっ!!」
「いてこますぞっ!こらぁっ!!」
「もう殴って奪えばいいやんっ!!」
聞くに堪えないテンプレがまた一つ。
【テレポート】で瞬時に眼鏡少年と不良どもの間に割り込み、殴りかかろうとしたクソ野郎の腕を掴み、反対方向に捻り曲げる。折れないように加減はするが。
「っ!!!!いててて・・・・は、はなせ・・・はなせっ!!!いてぇ!いてぇって!!」
リクエストにお応えして雄二が手を離すと反動でバランスを崩してつんのめるクソ野郎。
「誰だ?てめぇっ!」
「邪魔すんじゃねぇ!」
「怪我したくなかったらすっこんでろっ!!」
「んだよっ?ヒーロー気取りかぁ?ww」
「おめぇらみてぇなクズどもが嫌いなだけだよっ!」
「お前、アホやろ?俺んた5人やぞ?見たところ、お前、ちゅーぼーやろ?w」
「ププ~っ!俺ら、高校生やぞ?敵うと思っとるのか?ww」
「おーっ!痛かったっ!んのやろぉっ!!!フザけたマネしやがって!!」
「おいおい、こいつからも金もらおうぜ?」
「んだなっ!やっちまえっ!」
こういうクズどもは行動パターンがやはり似通ってるみたいである。一斉に雄二に向かって殴りかかってくる。
後に回って羽交い絞めにしようとするバカ1に少し屈んだ位置からエルボーを顔に叩き込む。
食らったバカ1はそのまま2mくらい後ろに吹っ飛び、尻もちをついてオヤスミになる。
前から拳を繰り出してきたバカ2の拳を左手で受け止め、そのまま潰すように力を込める。
「いてててててっ!!くそぉ!!」
空いている拳でなおも突いてくるが、それも右肘で受け止めながら掌底をかます。
同時に右から雄二の顔めがけてハイキックを敢行してきたバカ3のそれをギリギリ躱し、左からバカ4が放つローキックを左足を上げて膝で受け止める。その隙を突いて、バカ5がどこから拾ってきたのか、鉄の棒を振り上げて雄二の頭めがけて振り下ろしてくる。
それもバックステップですんでのところで躱すと、まずはバカ3にトラースキックをかます。
バカ3も3mくらい吹き飛ばされ、見事にエアーバックドロップを披露する。
今度は横殴りに鉄の棒を打ち込んでくるバカ5をサイドステップで空振りさせると、遠心力を利用した後回し蹴りをバカ5の顎にヒットさせる。
バカ5は白目をむいて口から泡を吹く。
先程の膝ディフェンスにより、足を痛めたバカ4が這いつくばって逃げようとするが、逃がさない。
痛めた足を踏みつけてギャーギャー喚くバカ4の脇腹を蹴り上げて沈黙させる。
掌底を食らったものの浅かった為、鼻血を垂らしながら逃げようとするバカ2をとっつかまえて、胸ぐらを掴み、
「何逃げようとしてんだよっ⁉おめぇらはそうやって弱い者いじめしてきたんだろぉ?」
威圧をかけながらそう言うとガクガク震えだすバカ2。どうやら股間も濡らしているようだ。
顔も涙と鼻血と涎でグチャグチャになっている為、触れたくない雄二は仕方なく強めのデコピンで意識を刈る。
こうしてクズどもの成敗を終えた雄二は眼鏡少年のところまで駆け寄り、
「大丈夫やった?怪我はない?」と、声をかけた。
「はははは・・・は・はい・・・・あ・あ・あ・ありがとうごご・ございますっ」
ブルブル震えながら完全にテンパってしまっているようだ。
ちょっと気になって【アナライズ】で覗いてみると、
(うわーーっ!典型的ないじめられっ子やんっ!おまけに知っとる女子の弟やんかっ!)
「うん、そんな怖がらんでええよ?俺は稲村秀美の兄貴やし。秀美が君を見かけて助けてやってくれって言われたからここにいる訳やしな」と、笑いながら自分の名前を明かす。
「えっ!あっ!そ、そーなんですかぁ?あ・あな・あなたが稲村さんの…」
「それより君、強くなりたない?」
「っ!!!えっ?ええぇぇ~?」
「失礼やろうけど言わせてもらうと、君、学校でいじめられとるんちゃう?」
「っ!!!・・・・・・・・」
俯いて拳を握りしめ、再びプルプル震える眼鏡少年。
暫く黙り込んでいた眼鏡少年だったが、俯いたまま小さく呟く。
「・・・・・たい・・・」
「えっ?」
「強く・・・強くなりたい・・・です。」小さい声だがはっきり意思を伝える眼鏡少年。
「誰にも負けない力が欲しいか?」
「欲しいですっ!」
「条件がある。・・・決して驕らず、正しい事のみに使うと誓うか?」
「っ!・・は、はいっ!誓いますっ!」
「弱い者を助ける為に力を使うと誓うか?」
「はいっ!誓いますっ!」
「それと…これが一番重要なんやけど。…この事やこれから俺がする事は絶対秘密やっ!絶対になっ!」
「はいっ!絶対誰にも言いませんっ!絶対守りますっ!」
「よしっ!ええ返事やっ!んじゃあ、目を閉じてくれるか?…あとちょっとごめんな。」
断りを入れて眼鏡少年の頭頂部に触れて権能を行使する。
【マインド・コントロール】、【常識改変】、【状態改変】を駆使して心身を強化する。
1分くらいその状態を維持する。
「もうええよ。」と、雄二が伝えると、目を開ける眼鏡少年。
しかしその目はつい先ほどまでのオドオドした雰囲気は消え失せて、眼光が鋭いものに変わっていた。
「じゃあ戻ろうか。秀美が待っとるし。」
「はいっ!」受け答えも見違えるほど堂々としてきた。
「あっ!あの…この人たちは?」
心優しい眼鏡少年は気絶してそこらへんに転がっているクズどもの心配をする。
「ん?・・・ああ、こいつらか。。。ほっとけばええよ。もう二度と悪さ出来んはずやし。」
そうなのだ!ここでおねんねしている5人のクズどもは雄二の【状態改変】により、それまで培ってきた知識、経験、記憶が極限まで減らされた状態になっているのだった。
精神年齢推定3歳くらいに。
自分に関わってくる、もしくは自分の周囲にいる、自分の意にそぐわない連中には容赦しない雄二なのだ。
もちろん事前に【認識阻害】をかけているので他の人には気付かれていない。
こうして雄二と眼鏡少年は秀美の待つ場所まで歩いていくのだった。
今回からまた現実世界に戻っています。
今後ともよろしくお願いいたします。




