本編 第072話 下級生たち・・・・⑦ ~ようこそココへ~♪
現実世界もなかなかのカオスww
扉を潜るや否や柔らかい光の潮流に包まれる。
その光は不快感は無い。それどころか実に穏やかで心地よささえ感じる。
心愛を含め家族全員がその心地よさに自然と目を閉じてしまう。
数十秒経過し、次に彼らが目にしたのは・・・・
普段いつも見上げる時より遥かに澄んだ青い空。
そして心愛ら家族の目の前にはかなり大きめの一戸建て住宅。
周囲にも一戸建てがいくつか軒を並べているが、その中でもひときわ大きい。
ある意味 洗脳に近い状態である心愛の家族は何の違和感や疑念もなく平然としているが、心愛には特にその類いは行使していない。
心愛はソコが地球のどこかの地方都市だとばかり思っていたのだが、すぐさまその考えを改める。
何故なら.....
仰ぎ見る上空数百mぐらいの高さを保って規則正しくコンテナ?らしき大きな箱がいくつも飛び交っていたり、
その位置から更に高さ数百m上空を1970年代にはまだ存在していないドローンが決して衝突することなく一定の速度で飛び交っている。
更に更にその遥か上空をジェット旅客機がたまに飛行している。これ自体は別に不思議ではないのだが、その大型機に混じってあり得ない程小さなジェット機や速度がかなり遅い飛行物体までが飛んでるのだ。
心愛が先程まで居た地球とは明らかに異なっている。
いや、空だけでは無い。
今居る位置から見える範囲で道路を走行している乗用車?だろうか、地面からどう見ても10㎝ぐらい浮いて走行しているのだ。
中には普通に地面を走行する自動車もあるにはある。
これらを垣間見て唖然となる心愛。
そんな心愛に雄二は、
「言うたやろ?安全に暮らせるよう俺が指定したとこにきてもらうって^^」
確かに雄二は心愛の家族が「安全な場所で平穏に暮らしていける」と約束してくれた。
「ここなら悪い連中もおれへんし、安心して暮らしていける思うわ。」
彼女が軒先で戸惑っている間も家族はさも当たり前に眼前にある自宅の門扉を開け、家の中に入って行く。
尚、この家屋も含めてこの地域の住宅はセンサー付きオートロックである。
玄関上部にあるセンサーが作動して登録されている顔、網膜、波動等を瞬時に認識して施錠が解除されるシステムになっているのだ。
そしてこの目の前の住宅は心愛の家族の持ち家らしい。無論 新築である。
敷地内は広い庭と三台分収容できるガレージなどもあり、そこには既に乗用車が二台収まっている。
敷地面積はおよそ150坪、建坪は50坪で2階建。
洒落たエクステリアでぐるりと囲まれている。
内装もさることながらオール電化、空調やインフラ/ライフラインも完全装備である。
更に調度品、家具類、生活用品などなど全てが既に新品として準備されている。
今すぐ何の支障もなく生活できる状態になっている。
未だ家の前で立ち尽くしフリーズしたままの心愛に対し、雄二は彼女が知りたがっているであろう核心に触れる。
「薄々感じとる思うけどココは地球やない。」
その言葉に心愛は雄二の方へと視線を移し、つぶらな瞳で見つめる。
「ココはなぁ…地球どころか天の川銀河からむっちゃ離れた別の銀河にある俺の創った太陽系の中にある惑星のひとつ、『ネオアース』っちゅうとこや^^」
「息も普通にできてるし、ほぼ地球・・・・」
「そら地球を模して創っとるしなぁ!ちゅーかココを含んだ太陽系自体全て天の川銀河のをそっくりそのままコピーしたようなもんやしなぁw」
言いながら雄二は目の前に半透明ディスプレイを表示させ、最初に地球を表示させ、そこから天の川銀河→天の川銀河から遥か遠く離れた『ユーベス第8銀河』・・・・と順番に表示させ、解り易く『トゥルリバパラピア帝国』までの事を説明するのであった。
雄二が天体を創造して、そこにある惑星に国を興し、その国の皇帝である事。
地球をはじめとする多くの転生者が既にここで平和に暮らしている事。
雄二や嫁達全員が近い将来、こちらへ移住する事。
などなど。
「まぁ、先輩が神様の頼まれ事を完遂され『権能』でしたか?…を授かった訳ですからこんな凄い事ができるのも納得しますけど・・・・それにしたって・・・・大汗」
地球を遥かに凌駕する科学文明をまざまざと見せられた心愛は呆れ果ててしまう。
それでも雄二に促され、家族が既に入って行った新しい我が家に歩を進めるのであった。
ちなみに心愛ら家族の家は帝都の中の特別区(雄二の私有地や帝城が所在する)に隣接する行政区の一つに建てられており、周囲には各公共施設やショッピングモールや病院なども整えられている。
一人 外に残った雄二は【テレパシー】で心愛に今後の事を告げた。
(言わんかったけど俺とだけはこうして話せるから♪これは他の嫁も同じやから^^・・・・・しばらくはそのまま家族水入らずで暮らせばええよ。コッチの数ヶ月は地球では半日ぐらいやしなwお父さんには新しい勤務先に関する全ての事を伝授してあるから当たり前のように働きに行ける筈や!」
更に母親の美奈子には同じ区内にある各種施設の案内、双子の幼稚園に関する詳細なども既に伝授している事を伝えた。
心愛については家族をサポートする為、暫くは学校を休むという設定を強引に行なった。
同時に【マルチタスク】でデュオンやサリエル、サザーランド等帝国幹部らに連絡を入れて心愛ら家族の手続きやサポートの指示を出しておく。
(何かあったらいつでも呼びかけてくれてかまへんでなっ♪ほな、俺は一旦地球に戻るから^^)
ようやく家族全員を取り戻し、揃って平穏な暮らしをやり直せるのだ。
部外者である雄二は居ない方が良いだろうと考え、地球へ戻る事にした。
一度 帝城に転移して幹部らから現状報告を受ける為、謁見したり。
宮殿に移って現地嫁に逢いに行ったりしたのち、雄二は地球へと戻っていった。
───────
雄二が次に姿を現したのはもちろんさっきまで居た心霊スポットと言われている廃墟ビル。
心愛に導かれやってきて、雄二により未だ眠らされた状態のオカ研メンバー。
「気楽なもんやねぇ^^;」
彼女達を見下ろしながら雄二は苦笑する。
(そない心霊現象を見たいんやったら俺に言うてくれればええのんになぁwwじゃあご要望にお応えせんとアカンわな♫)
と思い立った雄二は【認識阻害】をかけてほくそ笑むのだった。
この時の雄二は大層悪人面だったに違いない。
「んぅぅぅ.......?ん?あれぇ?・・・・・・」
寸刻経過して最初に目覚めた弥生は起き上がると周りをキョロキョロ。
腕時計を確認するとここに辿り着いてから10分と経っていない。
他のメンバーを起こしながら尚も周りを見渡す。
「ん~~?なんか違和感が・・・・・」
実はこの時、雄二によりオカ研メンバーには心愛との接点を無かった事にしてあるのだ。
決して心愛自身の存在を消した訳では無い。
心愛は今年度新たに弥生や雄二らの通う高校に入学してきた新入生としてちゃんと存在している。
但し 霊感など何もなく、只の新入生としてである。
よって弥生が率いるオカ研とは何も関りが無いという認識になっている。
弥生が感じた違和感は単純にどういう経緯でこの場所に自分達が居るのかが曖昧になっているためである。
起こされた他のメンバーもホケーッとしており、似たようなもんであろう。
すると突然 辺り一面が暗くなり始める。
「ヒョウ~~~ヒョウ~~~~!!」
刹那 そんな物音?が聴こえてくる。
「エッ?…風の音ぉ?・・・・・・アレ?でも風は吹いてないよねぇ?」
次の瞬間 全員が同じ方向を見て固まる。
「なっ!なななな・・・・・・・・何っ?!!((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル」
「ヒィィィィ~~ッ!!!」
「い、いやぁぁぁぁ~~~っ!!!」
弥生達が見たモノはいったい?
そして彼女達の運命や如何に?!!
あくまでも本作はフィクションです。
実存する人物・物体・事象とは一切関連はありません。
ご了承下さい。




