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俺ってばぁ、何か知らんけど神超えちゃったみたいなんだけど?えっ?好き勝手しちゃっていいのぉ?  作者: 未だ厨二病な翁(じいじ)
第二章 未来の為に… ~高校時代そしてテイクオフ~
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本編 第071話 下級生たち・・・・⑥ ~チューリップ

強引だなぁ!おいっ!!

「じゃあ次は心愛の異能を消去するけど?ホンマにええん?」

雄二はそう念を押すように尋ねながらも未だ心愛を抱きしめたままでいる。

心愛の方もまた決して離す事の無いようしっかりしがみついて、

「はい........こんな力、私には忌まわしいものでしかありませんっ!」

と耳元で心からの胸襟を開いた。

それ程までに心愛と彼女の家族は異能に翻弄され、人生を狂わされてしまったのだ。

そして心愛はそんな自分の境涯を恨み呪った。何度も何度も。

壊れかけては何とか踏みとどまり…を繰り返してきた。

だから自分でそれを終わらせようと自傷した事も一度では済まない。

心愛の両手首は常時リストバンドや包帯で覆われている。

そこには刃物による生々しい傷跡が数か所。中には青黒く変色しているものも。

そんな心愛の生き様も全て解っているからこそ雄二は、

「わかった^^じゃあ まずは身体から修復しようか?」

そう告げると腕を解いて心愛の両手を優しくとって【リペアー】と極弱【ホーリー・ライト】を行使した。

{いつもの雄二であればこんな回りくどい事などせず、外的であろうが内的であろうが一気に処理してしまうのだが、今回は何故か手間をかけている。}

先ほど、自分の家族を治癒してくれた温かく柔らかい緑色の光が心愛自身を包み込んでいる。

((なんて心地いいのっ!))

ふわふわと気持ちよさそうに身を委ねていると、

「手首の傷は全て消したし、心の痛みはこれから俺がゆっくり癒すから安心しぃ^^」

その言葉にまたもや心愛の涙腺が決壊する。

震える手で手首に装着されていたリストバンドや包帯を取り除いてみる。

そこにあったのは傷どころか痣やシミ一つない白魚の様な美しい両手。

しばらくは自分の両手を黙ったままじっと見つめて感慨に耽っていた。

やはり女の子にしてみれば綺麗な身体を保つのはとても大切な事なのだ。

少し間を空けて、

「お次は異能を消すで?」

と告げて雄二は心愛の頭上に手を添える。

心地よい温もりを持った光が今度は心愛の頭上から全身へ注がれる。

さっきは‟消去”と口にしたが、実際は心愛の有している異能を『権能』に置き換えた上で一時的に封印する。

(将来的に何か役に立つかもしれへんしな。)

トリガーは雄二が握る事にした。

ついでに心愛が少しずつ忌まわしい記憶のみを忘れられるように【記憶改変】を施した。

「よしゃ!これでもう心愛は普通の女の子や♪試しに異能を発動させてみ?^^」

数秒のち雄二が心愛に伝える。

心愛は「コクッ」と頷くと精神を集中し、異能を発動させる。

目の前にあるローテーブルに対し、【サイコキネシス】を試みる。

そのまま1分ほど待ったが何も起きない。

再び念を込めるがやはりローテーブルは微動だにしない。

更には【パイロキネシス】や【クレヤボヤンス】を試してみたがうんともすんとも何も起きない。

異能が発動しなくなった事を確認した心愛は、

「これで・・・・やっと・・・・・」

漸く自分や家族を苦しめてきた呪われし力と決別できる喜びを噛みしめるのであった。

しばらくはそのままそっと心愛を慈しむ様な眼差しで見つめていた雄二であったが、

「ほな^^次いってみよかー♪」

と言いつつ、次の段階に取り掛かった。

柔らかい絨毯の上に寝かされている心愛の家族。

雄二はその全員に向けて手を翳し、【常識改変】と【記憶操作】及び【マインドコントロール】を施す。

再び雄二から放たれたエメラルドの穏やかな光に包まれた家族を見つめる心愛の表情は今までのような悲壮感が完全に消え失せて至極柔らかな幸せそうなものに変わっていた。

最初に遭遇した時とは雲泥の差である。

心愛のその表情に安堵しながら雄二は彼女に、

「これから心愛のご家族を全員覚醒させるけど、注意点がいくつかある。確認してくれ!」

雄二が心愛に示した注意点は以下の通り。


・心愛は最初から異能など持っておらず、ごく普通の少女として生まれ育てられた。

・よって関連する組織等とは何の接点も無い。

・心愛の異能が原因で被った理不尽な屈辱、苦痛、仕打ち、経験などの記憶は一切無かった事にする。

・雄二がこれから指定する地域にあたかも心愛一家は最初からそこに住んでいた事にする。

・その地域の環境、制度も当たり前に受け入れている。

・そのための全知識は予め雄二が付与する。

・今回は心愛を除く家族がちょっとした事故に遭って意識を失っている処を雄二により救出された。


心愛もこの『設定』を聞いて全て受け入れるが、

「あ、あのぉ…パパ...父は北海道でずっと祖父の後を継いで牧場を営んでいたんですけど、本当は新素材?の研究を仲間としていたんです。だから…あの..........」

「ああ^^わかっとるよ♪ちゃんとそっちの方の仕事に就いてもらうようにするから安心してええよ?」

雄二の言葉に心愛は恐縮して頭をぺこり。

可愛さにほっこりしながら雄二は心愛の家族を目覚めさせるべく指をパッチン。

数秒後 最初に目覚めたのは幼い双子だ。

「ぁぅ.......ぁ、ねーたんっ!」

「ん~ん.......っ?ねーたん?」

小さな手で目をぐしぐししながら弟の俊充がキョロキョロして姉である心愛を見つけて指差す。

それに呼応して妹のうららもちょこんと起き上がる。

二人共 目がクリクリしていて愛くるしいことこの上ない。

双子が元気よく立ち上がり、自分の方へ向かってとてとてと歩いてくるのを見た心愛は熱くこみ上がて来るものを抑えられないでいた。

「としくんっ!!うららちゃんっ!!」

二人を受け止めると心愛はその確かな存在、ぬくもりを噛みしめる様にきつく抱きしめるのであった。

こうして姉弟妹(きょうだい)で抱き合って喜んでいると、母親である美奈子が目を覚ます。

「???・・・・・・っ!ぇ.......ええぇぇ?!」

意識を取り戻したが、状況が把握できず混乱して声を上げる美奈子ではあったものの、視界に我が子ら三人を収めると安堵の表情で微笑みを浮かべる。

子供らを見て安心すると周りも見えてくるようで、未だ目覚めていない夫をすぐ傍で見つけると身体を揺すって起こしにかかる。

「あなたっ!?あなたっ、起きてっ!ほらっ!起きてくださいっ!」

普段から寝起きがあまり良くない宗介はやや不機嫌そうに、

「ぅ~~…うん?ん?・・・・・・・・・・」

薄目を開け、やや恨めしげに妻を一瞥する。

それでも徐々に覚醒してきたらしく起き上がって辺りを見回す。

「ん?ここはどこだぁ?・・・・・・・ハッ!子供達は?」

と、尋ねる宗介に美奈子は指で子供達の居る方向を指さす。

そしてやはり子供らの無事を確認すると微笑む。

しばらくは空気と化して気配を消していた雄二だが、ここで口を開く。

「皆さんご無事みたいで何よりです^^」

夫婦は突然現れた第三者に少し驚いたが、これまでの経緯を思い出そうと頭を巡らせる。

整合性を持たせる為、雄二が考えた設定は───

一家でとあるショッピングモールを訪れた際、たまたま内装工事現場近くを通った為、これもたまたま一酸化炭素中毒により意識を失ったと。

心愛はこれまた たまたま?w中学時代の先輩である雄二とばったり遭遇して現場から離れていた為、難を逃れた。

そして心愛がバタバタ倒れていく家族に気付き、居合わせた雄二に助けを求めた。

雄二は通りすがりの人にも協力してもらい、ショッピングモールのほど近い場所にある雄二の知り合いの所有する事務所のレストルームに運んで、更に医者を呼んで応急処置を施してもらったという・・・・・

かなり無理やりで強引な設定であるが、そういう事にした。

{ツッコミ処満載である!まったくご都合主義にもほどがあるっ!(怒)}

───心愛は雄二の設定に則った説明を両親に行なう。

普段から真面目で弟達の面倒もよく看ていた優等生(という設定)の心愛の説明だったので何も疑う事も無く100%信じてくれた。

ただ、宗介が心愛と雄二がどういう関係なのか?について非常に鋭い尋問をしてきた。

まぁ、それも心愛の(顔を真っ赤にしてキョドった)表情を機敏に悟った美奈子により事なきを得た。

話がひと通り終わり、全員が落ち着いたのを見計らって雄二は即席で創った『転移の扉』を開いた。

「特に問題無いようでしたら、ご自宅に戻りましょうか?付き添いますので^^」

宗介と美奈子もそれがごく当たり前であるかのように何の疑問も抱かずに扉を潜るのであった。

心愛と雄二も頷き合って双子の手を引いて後に続く。








あくまでも本作はフィクションです。

実存する人物・物体・事象とは一切関連はありません。

ご了承下さい。

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