異世界編 第二話 野営もテンプレw お姫様の初恋&王都へGO!
お世話になります。
異世界と言えばテンプレ。テンプレと言えば異世界w
やっぱたのしいですよねぇ(^^♪異世界って。
成り行きで王都まで同行する事を承諾した雄二は、まずメルシオーネ姫を守る為、勇敢に戦った5人の騎士と1人のメイドの亡骸を白い布で包み、異空間収納内に丁寧に収納した。
拘束した20人余りの謀反派の騎士達をどうするかオルトに尋ねると、
「王家に対する裏切り行為は到底許しがたい。このまま王都まで連れて帰っても、生き延びる可能性もある。かと言って、姫様の前で首を刎ねるのは忍びない。なので拘束したままの状態で首だけを出して身体全体を地中に埋めてくれ」
という事だったので意識を奪ったままの状態で全員、頭だけ出して土に埋めた。勿論、姫様の目の届かない野営場所から少々離れた所にだが。
念のため、使い魔を召喚して王都の様子を確認したが、今回の謀反の首謀者である、『ゲヴァール公爵』にはまだ何も動きは見られないようだ。万が一に備えて使い魔をそのまま監視として張り付かせておく。
メルシオーネ姫と生き残ったメイドの少女(名前はルネという)の二人は設営したテントで休んでもらう。
そしてオルトを含む騎士3人と雄二で2人ずつ組んで交代で見張りをする事になった。
野営地には強力な【結界】が張られているのだが、念のためだ。
オルトと組むことになった雄二だが、起こしていると根掘り葉掘り聞かれるだろうと思い、オルトを【状態改変】を行使し、夢の世界へ誘った。
1人焚火の番をしながら、確認する。この異世界に来てもう既に12時間以上は経っている。果たしてむこうの世界ではどれくらいの時間なんだろう?と。
【アカシック・レコード】で確認するとなんとまだ45秒くらいしか経っていないらしい。
(マジかっ!?)時間のギャップに慄いていると、またもやテンプレイベントが発生しそうな雰囲気である。
野営と言えば、そう・・・盗賊である。
現在、こちらの様子を窺いながらジリジリ近づいてくる連中が18人。
(やれやれ…ご苦労なこった!)呆れながらも暇つぶしになるか、と思い直す雄二であった。
どうやら連中は四方から攻め込むらしい。
(ん?、こいつら殺人、強盗、誘拐、強姦等を何度も繰り返してきた筋金入りのクソ外道らしい。)
【アナライズ】を使って確認すると、そんな情報が飛び込んで来た。
雄二は近くで寝ているオルトを起こさないように静かに立ち上がると、自ら【結界】の外まで出てきた。
この【結界】には防音障壁も施されている為、【結界】の外で騒いでも中にまでは全く響かないのである。
「ゴキッ!」と何かぶつかるような音が複数。連中が行動を開始したみたいだ。
「くそっ!何かに阻まれてこれ以上進まねぇ!」
「そこのガキを先にとっつかまえるか!」
雄二の前に姿を見せた盗賊が5人。そして次から次へと雄二を取り囲むように残りの盗賊も現れる。
「よぉ!クソガキっ!大人しく言われた通りにしろやっ!」
「げへへへっ!」
「死にたくないだろ?どっちみち殺すがなっ!ぐへへへっ!」
頭の悪そうな下劣な言葉を雄二に投げかける盗賊ども。
雄二はゲンナリしながら異空間収納から日本刀を取り出すと、鞘から抜く。
「お疲れしたぁ!」雄二は盗賊達をおちょくるような仕草で煽る。
「んのやろぉ!!」
「がきがぁっ!」
「死にさらせっ!!」
盗賊どもは口々に喚きながら、雄二に向かって来たのだが、その発言が彼らにとって最後の言葉になった。
昼間の戦闘で実戦訓練を経験した雄二にしてみれば、いくら場数をこなした盗賊といえども、騎士達に比べれば所詮は素人。練度が違う。
2分とかからず、そこにいたであろう18人の盗賊達は物言わぬ屍になり果てていた。
単純に実際に戦ってみたいと言う理由だけでわざわざ回りくどい事をする雄二である。
どこぞの戦闘民族かっ!
『第四の権能』で盗賊だったものを消去し、『第五の権能』の中の【状態改変】で汚れを落とし、『第六の権能』の中の【空間状態操作】で周囲の空気などを綺麗にした。
そして雄二は何食わぬ顔で焚火に戻り、すっとぼけた顔で見張りを続けるのであった。
ところ変わって、設営されたテントの中。時間的には数時間前まで遡り、夕食を終えひとしきり落ち着きを取り戻した頃、これから床に就こうかと準備をしている二人の少女。ヴィトゥルブ王国第1王女メルシオーネ姫と侍女のルネである。
もう一人いた侍女、サマンサは残念ながら昼間、謀反を起こした騎士により、切り伏せられていた。
落ち着いた今になって失った者を悼み、悲しさがこみ上げてくるのだった。
特に仲が良かったルネにとっては計り知れない悲しみだ。それを慰めるようにひしっと抱き寄せるメルシオーネ姫。ひと通り泣いた後、話題を変えるようにルネはメルシオーネ姫に尋ねた。
「それでメルシオーネ様、メルシオーネ様はいつ頃、お気持ちをユージ様にお伝えなさるおつもりなのですか?」
背中あたりまで伸びた緩くウェーブのかかったエメラルドの混ざった見事な銀髪。大きく綺麗に澄んだ若干青みを帯びた翡翠のような瞳。陶磁器のように白い肌。そして少々幼さは残るものの凛とした美しい顔だち。まごうことなき、美少女である。
そんな絶対的美少女であるメルシオーネ姫が侍女ルネのその一言で一瞬固まり、すぐに色白の素肌をこれでもかと言わんばかりに真っ赤に染め上げ、狼狽する。
「なななななななな、なにを!!!!ばばばばばばばばっ!!!!!」
頭から湯気が見えるのはもはや気のせいではあるまい。
ルネはニヤリとすると、更に追い打ちをかける。
「姫様もお早く事を起こされた方がよろしいかと」
「っっ!!!!!・・・・・・・(//////」
音が出そうなくらい蒸気を噴き出して声にならない声をあげながら身悶えるメルシオーネ姫。
「メルシオーネ様が行かれないのでしたら私が…」
尚も姫様を揶揄うように煽るルネ。
ほどなく、息をやや荒くしながらも何とか落ち着いてきたメルシオーネ姫はルネに問う。
「ぃ、いつから・・・いつから気付いていたの?」
それに対して呆れたようにルネは答える。
「そんなの…かなり早い段階から気付いていましたよ。恐らく騎士の方々も気付いているのではないでしょうか?ご本人がお気付きになられているかは定かではありませんが。」
それを聞き、愕然とするメルシオーネ姫。
「えっ?、、えええぇぇぇ!!!…そ、そ、そんなぁ・・・・・」
これでもかと言わんばかりに狼狽える自身の主に対し、ルネは優しい眼差しで
「初めて…ですよね?。。。姫様が殿方に対し、その様な想いを抱かれるのは」
同年代であり、幼い頃からメルシオーネ姫に仕えてきたルネにとって、初めて見る主の年頃の少女らしい表情がとても微笑ましく、喜ばしい事だと心から祝福する気持ちが溢れてくるルネなのである。
「ぅぅぅぅ………」と顔を両手で覆い、イヤイヤするメルシオーネ姫を後押しするべく言葉を紡ぐルネ。
「あれほど、お強く、礼節を弁えたお優しい殿方はなかなかおりませんよ?姫様もご存じかと思いますが、私は不思議と人を見る目があるんですが、その私の目から見る限り、ユージ様はとても聡明で清いお心をお持ちの方です。ただ…」
これだけ上げておいて何なのよぉ?とジト目で見つめながら
「・・・た・ただぁ?」とメルシオーネ姫。
「恐らくですが、ユージ様を慕う女性は殊の外、沢山いらっしゃるかと。しかもユージ様ご自身その多くを受け入れられるかと。。それだけはご覚悟ください。」と断言するルネ。
そのあたりについてはメルシオーネ姫も既に感じているようで、特に問題ないとばかりに、
「大丈夫です!何ら問題ありません。我が国も一夫多妻制ですので。」
そう自信満々に宣言するのであった。
しかし、どうしてこうも異世界のお姫様は惚れっぽいのだろうか?ご都合主義万歳!
確かにあの尋常でない強さといい、王族に対する適切な態度での対応といい、騎士達の怪我まで治してくれる心遣い、優しさといい、更には設営の合間、夕食時、その後の時間。気さくに色々おしゃべりに応じてくれるところといい、これで惚れないわけがないと思う要素満載ではあるのだが。
そんなわけでメルシオーネ姫も僅か半日の間にすっかり出来上がってしまっていたのである。
その結果ドキドキが中々収まらず、寝付けず悶々と一夜を明かすメルシオーネ姫であった。
翌朝、見張りをするはずがいつの間にか寝てしまった事を、頻りに詫びるオルトを宥めながら、朝食の準備を手伝う雄二。
その雄二をチラチラ見ながら、何か言いたそうにモジモジしているメルシオーネ姫。
そんな姫様を生暖かい眼差しで眺めるルネと騎士達。
人生いろいろである。
悲喜こもごもしてる中、王家へ向けて一行は再び、動き始める。
幸い馬車自体は無事であり、馬も数頭は使えたので、特にトラブルもなく移動できた。
姫様たってのご希望で雄二は姫様の隣に座るという事を除いてはだが。
あれやこれやと積極的にアピールする為、話しかけてくるメルシオーネ姫がとてもいじらしく感じ、ついつい情が移ってしまう雄二だったが、メルシオーネ姫の話の中に中々興味深いものがあった。
雄二の様な黒目黒髪はこの世界ではあまり存在しないらしい。ここから遥か東にある島に行けば、居るらしいのだが、ここアヌメア大陸では滅多に見かけないそうだ。
そして雄二が最も興味を持ったのは、ヴィトゥルブ王国王家に伝わる伝承であった。
その昔、この世界が混迷に陥り、争いが絶えなかった時、突如何処からともなく現れた勇者が混乱を収め、民を見事に平穏な世の中に導いたという。そしてその勇者こそ、黒目黒髪だったというのだ。
(なんつぅタイミングのなんつぅベタな話やっ!)
間違いなく、メルシオーネ姫はその伝説の勇者と雄二をシンクロさせて見ているのだろう。
だから余計に思い入れが強いのであろう。
あれやこれやとおしゃべりをしてるいる最中も滞りなく、行程は進み、お昼近くには王都を守る門前まで辿り着いた。
無論、王族であるメルシオーネ姫の一行であるので、検問はフリーパス。そのまま門を潜り抜け、一路王城へ。だが、行きは30人以上の一個師団だったのが、帰り着いたのは僅か3人の騎士。
何があったのか尋ねる為、駆け寄った門番に対し、オルトが代表として昨日からの出来事をかいつまんで話した。
話を聞いて驚いた門番はすぐに王城へ伝令を送った。
何となく、外が騒然となりつつある事を馬車の中から感じ取った雄二は【テレパシー】で予め放っておいた使い魔達にゲヴァール公爵の動きの監視をより一層強めるよう指示した。最悪、拘束さえ厭わないように。
実は昨日、雄二は夜間の見張りをしながら、使い魔を追加で召喚していたのだ。
前もって召喚されていたのは虫型使い魔、メリッサだけだった。追加で召喚したのはネズミ型使い魔、ミキマと蛇型使い魔、スネである。
(たぶん、使い魔達が反逆罪の証拠になる文書などを集めとるはずやし。)
仕上げを御覧じろとばかりに薄く不敵な笑みを浮かべる雄二。
やがて、馬車は王城を目指し、街中を軽やかに走り出した。
小さな車窓から覗く街並みはやはり今まで雄二が見た事の無い風景だった。
強いて言うなら中世ヨーロッパ。正しくラノベでよく語られている異世界の街並みそのものであった。
(わおっ!ほんまもんの異世界やわぁ♪)テンション爆上がり中の雄二である。
15分程、経った頃、大きな城らしき建物が見えてきた。隣に座っているメルシオーネ姫がそれを指さし、
「あれが私達が住んでいるお城ですよ。」と、笑顔を綻ばせながら伝えてくる。
(かあいい~~~♡)あくまでも単純な雄二なのである。
それから更に10分後、ついに馬車は城内に通される。
先に伝令が行っていたこともあり、入り口には近衛兵やら執事やらメイドがズラリ。
オルトがまず簡単な挨拶と説明をすると、雄二をメイドの一人が先導して別室、恐らくは客室へと案内する。
メイドに連れられて、長い長い回廊を歩く雄二。念のため、『権能』を使って警戒は怠らない。
(高そうな美術品とか絵画ばっかやん!)なるべく平静を装いながらも感心しきりである。
通された部屋も用心して入る。中にある調度品も高級なものばかりである。
メイドに「少々こちらにて待機して頂きます。申し訳ございませんがお待ちになってください」と言われながら紅茶を出される。(うん。毒とかないみたいやし、敵対反応は今んとこないみたいやな)
紅茶で喉を潤しながらもあくまでも用心深い雄二である。
20分くらい待たされただろうか。「コンコン」とドアがノックされ、謁見の準備が整った旨が伝えられ、
執事だろうか、ビシッと決まった服装の妙齢男性に案内され、部屋を出てまた長い回廊を進んでいく。
行き着いたのは大きな扉の前。警備の兵士が両脇を固めている部屋の前だった。
いよいよ謁見だ。
異世界のお姫様=ヒロイン←これって鉄板なんすかねぇ?




