本編 第046話 波乱の文化祭一日目
文化祭一日目でありますっ!(`・ω・´)ゞ
翌 9月1日。
この日からは二日間にわたり、文化祭が開催される。
生徒の大部分は自分達の属しているクラスや部活での出し物及び模擬店の準備の為、早朝から登校して来ている。
雄二らのクラスである1年A組も多くが既に出てきており、人の配置や材料、食器類等の最終確認に余念がない。
クラス委員であり、今回の模擬店でも中心的役割を担っている恵&まどかもチェックシートとにらめっこしている。
雄二の計らいにより、数日前より西ドイツからの交換留学生という形でこの高校へやって来たメルとルネもすっかりクラスの一員として馴染み、他のクラスメイト達と一緒に開店準備に追われていた。
本来なら雄二もここでクラスメイトと共に作業にあたっているべきなのだが、生徒会副会長としての立場上 全体の掌握とトラブルチェックに注力しておかなければならないのだ。
尤も雄二には『権能』がある。
【マルチタスク】を超多重展開させて全てを把握し逐次対応可能にしてある。
生徒会長である詩織も実務は全て雄二に任せている為、今も生徒会室にて瞳達と優雅に紅茶を楽しんでいる。
「ゆうくんがあまりにも優秀過ぎるからぁ特にする事無いんだよねぇ^^;本当ならもっとバタバタしてるはずなんだけどさぁ(⌒∇⌒)」
「そうそう^^普段の実務も雄二君があっという間に終わらせちゃうからねぇ;;優秀過ぎるのも考えもんよねぇ(苦笑)」
「そーですよねぇ…雄二君はこちらが一言えば十理解しちゃいますから^^;;正直言って私達って要らないんじゃないかって思っちゃいますよぉ。。。」
「いえいえいえ^^これも先輩方のご指導があったればこそでございますペコリ(o_ _)o))」
「「「何故…敬語ぉ~?w」」」
いつものように和やかなやり取りで笑顔がこぼれる。
尚、この生徒会役員で構成されたガールズバンドメンバーに参加させられている圭子と良江はこの場にはいない。
二人には自分達のクラスの出し物への参加を優先してもらっている。
(こっちでのセッションは十分練習したし、後は本番前にチョイ合わせれば大丈夫やろ♪)
参考までに雄二の関係者…というか嫁らが所属するクラスの出し物を紹介しておく。
圭子が居るお隣のB組は縁日風模擬店として金魚すくいや輪投げ、的当てなどのミニゲームを用意しているらしい。
良江のクラスであるD組は何故かメイド喫茶。昨年、雄二が中学の文化祭で手掛けたものだが、今回は良江自らがクラスメイトに提案して採用された様だ。
詩織達は3人共2年A組でプラネタリウム喫茶?などという物をやるらしい。
これら嫁のクラスの出し物にはしっかり裏で雄二が支援している。
{まったく・・・呆れるぐらい嫁に甘々な男である。}
ついでに…本当についでだが、ゆきっつぁの属するG組は占い喫茶?更に野球部の出し物としてチアダンスを披露するらしい。
(誰が見るんやろ?気になるわぁ~ww)
ゆきっつぁの彼女である北川さんのF組は焼きそば&フランクフルトの模擬店をやる。
他にもお化け屋敷やら迷路など定番の出し物や模擬店が目白押しである。
体育館では演劇、ダンス、合唱、演芸等々…こちらもお決まりの物が多いようである。
21世紀のようにハイテク機器やITがまだ影も形も無い‟昭和”な訳なのでダサいと言えばそれまでなのだが、当時はこれが普通であり、王道だったのだ。
(まだオタ芸とか無かったよなぁ・・・ああ、アイドルの親衛隊とか追っかけは居ったなぁ^^)
尚、詩織達の演奏は最終日の明日。
しかも体育館で行なわれる演目の最後、大トリなのだっ!
無論、雄二がそのように仕向けたのは言うまでもない。
「じゃあ、そろそろ行きますかぁ♪」
詩織の一声でその場にいる者達は全員 席を立つ。
生徒会室から退室して彼女達が向かったのは放送室。
かくして───
「えーっあっあっ・・・・はぁ~い♪全校生徒の皆さ~ん、準備はいい?じゃあ今から第×□回○高祭:文化祭の部をスタートしちゃいまぁ~すっ☆彡」
生徒会長の詩織により『開幕』が高らかにマイクを通じて宣言された。
これを合図に予め指示されていたスタッフが配置につく。
スタッフとして配属されているのは各種専門部役員らである。
中学の文化祭の時は保護者関係しか入場できなかったが、この『○高祭』は一般公開されている。
従って一般客への案内、応対や警備にも配慮が必要なのである。
既に正門前には父兄に混ざって一般客も並んでいた。
周辺地域に於いても本校は一目も二目も置かれている存在らしく、地元住民にとっても誇りであり自慢なのだ。
よってひとたび『○高祭』が開催されれば挙って訪れるのがお決まりになっているのだっ!
学校側も周辺地域との親睦を深める意味で一般公開を許可している。
『開幕宣言』から30分後、遂に父兄・一般客の入場が始まった。
まずは前もってチケットを配布してある父兄から優先的に入場させる。
「お昼から秀美ちゃんや純さん達も来るんだよねぇ?」
「ああ、秀美が始業式から戻ってきたらアリーの運転する車で来る事になっとる^^」
秀美も夏休みが昨日で終わり、今日は小学校も始業式らしい。
で、秀美が○高祭を「見て廻りたいっ!」と言い出し、これに学生組以外の嫁達も同調して車で駆けつける事になったのだ。
前日に行なわれた体育祭はまだ休みであったにもかかわらず、「暑いからヤダっ!」という理由で来なかったのが何とも秀美らしい。
アリーは生粋の女神なので『権能』も使える。その気になれば全員まとめて【転移】も可能なのだが、ここではあくまでも人間として生活するつもりなので人間の一般的移動手段である自動車を使う事にしたらしい。
ただし…アリーは自動車学校などに通うはずもなく、『権能』でチョチョイと免許証を調達した。
この時、雄二は秘かにツッコミを入れたのだった。
(【転移】使うんとあんま変わらんやないかいっ!)
ちなみに雄二の家も家族が随分と増えたため、父親の功の乗る『ラン○ル』だけではなく、小型バスやワゴン車も購入している。
そして今回アリーが運転するのはワンボックスワゴンである。
とにもかくにも、こうして『○高祭』の二日目、文化祭部門の一日目が華々しく始まったのである。
一般客もかなり入場して来て賑やかになり始めた頃、詩織ら生徒会の面々は腕に腕章を装着して巡回を開始する。
実際は雄二が【マルチタスク】を用いて随時監視しているので、見回りなど必要ないのだが、詩織曰く『様式美』なのだそうだ。
「まだ始まったばっかやのにどエライぎょーさん人がおるなぁ;;おいっ!」
生徒会室を出た廊下の窓から見える校庭内に集っている人波を見て雄二は感嘆の声を上げた。
隣を歩いている詩織も目を丸くして、
「ホントにねぇ~!!!これって昨年の時より多いよねぇ~(+_+)・・・」
そんな詩織の言葉に呼応して瞳と柚姫も、
「うんっ!間違いなく去年よりかなり多いよねぇ;;」
「去年も○高創立以来、最多だって言われていたんですけどぉ…またまた記録更新しちゃいそうですねぇ(^_^;)」同調する様にやや戸惑いながらそう漏らすのである。
すると詩織らの一連の会話を聞いていたであろう第三者の声が後方からかかる。
「あなた達がいるからだっ!…ってもっぱらの噂よ?」
4人が振り返るとそこに居たのは雄二が所属する1年A組の副担であり、最近 詩織らの新しい仲間として雄二の嫁に加わった菜摘であった。
詩織達 嫁仲間はすぐさま菜摘を視認して手を振るのだが、雄二だけは菜摘と視線を合わせる事無くワザとらしく探すような素振りをして辺りをキョロキョロ。
いつものように背が低い自分を揶揄ってきた雄二に対し、菜摘もこれまたいつものように突っかかっていく。
「コラァぁぁ!!ココにいるでしょーがぁ!!ヽ(`Д´)ノ」
本人はマジオコしてるつもりなのだろうが、何ともまぁ…加護欲をそそる可愛さなのだ。
更に雄二はそんな菜摘に対し、あたかも今気が付いたかのようなワザとらしく驚きながら、
「おおっ!なっちゅやないかっ!!♡♡♡おったんか?ww」
「さっきからいるわいっ!!ってゆぅか学校では先生とよべぇ~!!凸(ヽ△⊿怒)」
「ハイハイ^^わかったわかった(-L-)ククク」
「うがあああ~~~っ!!!!」
相変わらずコントのようなやり取りである。
その光景をホンワカした気分で眺めていた詩織達だが、先ほどの菜摘の言葉が気になり柚姫が代表して尋ねてみた。
「それで…さっきなっちゃん先生が仰った事はいったい・・・?」
雄二とじゃれ合っていた菜摘はハッとして居ずまいを正して、
「そのままの意味よ?昨年から引き続き、超絶美少女の詩織ちゃんをはじめ瞳ちゃん、柚姫ちゃんも加わった美少女軍団がいる訳だし、更に今年は新たに圭子ちゃん、良江ちゃん、恵ちゃん、まどかちゃんが新加入してもっとパワーアップしちゃってるんだから話題になるのは必然でしょ?それだけでも凄いのに更に更に・・・」
一旦言葉を留めて菜摘は雄二をジト目で一目した後ため息交じりに続ける。
「更に今年は女性を尽く虜にする魔性のハーレム王様がいらっしゃいますんで┐(´д`)┌」
だが、言われている当人はあくまでもすっとぼけて、
「誰やねんっ?!そないな男の風上にも置けん奴はっ!」
と言ってのける。
刹那、その場にいる女性陣から問答無用に、
「アンタの事でしょぉぉぉっ!!!」×4
強かツッコまれるのである。
こんなひとコマもありーのでいちおう顧問である菜摘も参加した生徒会役員による校内巡回は続けられるのである。
そして雄二らは行く先々で注目を浴び、大騒ぎになるのである。
だが校内では既に雄二とその嫁達という認識が定着しており、特には大きな問題は生じない。
一般客も最初は驚くが、生徒達からの説明により何故か納得顔である。これも雄二仕様だからであろうか。
結局、生徒会室に戻る頃には昼近くになってしまっていた。
その間も雄二は【マルチタスク】を行使して事前にトラブルを防いでいる。
何だかんだでしっかり仕事はこなしているのだ。
やがてアリーから【テレパシー】で校門前に到着したという連絡が入る。
すぐさま学校にいる嫁達にもそれが通達される。
メル、ルネ、圭子、良江、恵、まどかは各々のクラスにおける模擬店対応で大わらわであった為、雄二は生徒会関連の嫁達を伴って校門まで出迎えることにした。
当然の如くアリーのような絶世の美女が校門前で佇んでいれば、騒然となる。
しかもだっ!他のツレもみな整った顔立ちばかりなのだから尚更である。
その一人は幼児を抱っこした色っぽいお姉さん。
また一人は大人しそうで清楚な感じのお姉さん。
そしてそこにお出迎えをする為に現れたのが当校ナンバーワン美少女・詩織を筆頭にした生徒会美少女3人娘なのだ。
雄二の姿を見つけるなり、純に抱かれていた大樹が自分から降りて雄二めがけてダッシュしていく。
釣られて秀美も駆けよって行く。
これ以上騒ぎが大きくなる前に雄二は【状態改変】と【認識改変】を施し、とりあえずは全員 生徒会室に案内する。
それでもこの現場を目撃した幾人かの生徒達によってこういった情報は瞬く間に拡散するものなのである。
今では詩織と並んで○高きっての有名人といって過言ではないアノ稲村雄二の関係者達が公の場に勢ぞろいしている訳なのだからやむを得ないと言えばそれまでだが。
色んな憶測やらが尾びれを付けて飛び交うのはもはや必然であろう。
「あの小学校高学年ぐらいの女の子が稲村の妹らしいけど、見るからにブラコンだよなぁ;」
「小さい男の子いたろ?あの子もかなり懐いていたよ?もしかして稲村のぉ??」
「という事はその子を抱いていた色っぽい美女がママ?つまり稲村の奥さん?」
「いやいや;;ちょっと待てぇっ!生徒会長さんが正妻じゃないのぉ??」
「というかさぁ!あのすげぇ綺麗でスタイル抜群の金髪美女も稲村の?」
「ついこないだ留学してきた銀髪お嬢様も自ら稲村君の嫁だって宣言してたよねぇ?」
「ホントかウソかわからんけど…江藤先生も稲村にゾッコンだとか?」
県内随一の進学校の生徒で本来は勉強の事しか頭にない彼等彼女等なのだが、やはり何だかんだで噂話は大好物らしい。特に恋愛絡みは。
ついでに想像力を働かせるのも嫌いでは無いようだ。
雄二はこれらの浮いた話は全て把握してはいたが、完全スルーする事にした。
(事実もかなり含まれとるしなwあんま否定できんしな;;)
一旦みんなを連れて生徒会室に戻った雄二は、
「大勢で一緒に巡るのは他のお客さんの迷惑になるやろうし、入ったとこも大変やろから分かれて案内しよう思う。」
と発言する。
するとこれに対し詩織が、
「じゃあさぁ~、秀美ちゃんと純さん、大樹君はゆうくんがエスコートしてあげてぇ?アリーさんと文乃さんは私達が案内するよ~♪^^」
具体的な案を出してくれて、そこにいる者は特に異論が無いみたいなのでこれに決定した。
まあ…秀美の性格が解っている詩織が‟正妻権限”を発動して告げてきた案なのでごく当たり前に受け入れられているのだが。
詩織は間違いなく嫁の中で最も古くからの絆があり、しかも一度轢き逃げに遭って詩織が事切れた時、蘇らせる為とはいえ、雄二は手加減なしに自分の『神力』を詩織に注いでしまったのだ。
その結果、詩織は『オリュンポス12神』が束になってかかって来ても到底敵わない『神力』を内包しているのだ。
雄二の中では嫁はみな平等であり、等しく愛している。
だが、詩織だけは別格であり特別なのだ。そこは他の嫁達もごく自然に受け入れてるし当たり前だと認識している。
尤も雄二と身も心も結ばれて絆が紡がれた嫁はもれなく『神力』は注ぎ込まれるのだが。
そしてそれが『オリュンポス神界』の処女女神であったアリー=アルテミスであってもだ。
アリーも雄二と結ばれた事により自分の生みの親であり、『天の川銀河』を統べる‟ゼウス”を遥かに凌いでしまっている。二人目の処女女神であるヘスティアも然り。
{※比較的最近、押しかけて来る形で嫁に加わったアテナは現時点では未だ雄二とは結ばれていない}
閑話休題。
───てなわけで、アリーと文乃の案内は詩織らに任せる事にして雄二自身は秀美と大樹そして純をエスコートする事にした。
別行動になってしまうが、詩織もアリーもいるのだから問題ない。・・・のだが...
心配性な雄二は彼女等に対し、少しでも邪な気持ちを持った者が半径5m以内に入って来た際、即座に文字通り抹消する様に『予防線』を張るのだった。
石橋を叩くどころか渡らず、破壊して別の橋を架けるのが雄二なのである。
雄二は大樹を片手で抱っこし、もう片方の手は秀美がしがみついている状態で歩きながら秀美に尋ねた。
純は秀美と反対側に寄り添っている。
「えっと・・・まずどっから見て廻るかなぁ?行きたいとこあるか?」
「じゃあ・・・お兄ちゃんのクラスから見てみたいっ!確かクレープとワッフルだったよねぇ?」
「ん?ああ、そうやな^^純もそこでええかぁ?」
「そうね♪メルちゃんとルネちゃんの働きぶりも見てみたいしネッ☆彡」
大樹は見るもの全てが珍しいのと人がたくさんいるのでキョロキョロ落ち着きがないみたいだ。
雄二は大樹に軽く【ヒール】をかけ、落ち着かせると、‟両手に花”状態で1年A組の教室へと歩き出す。
同時に【テレパシー】でメルとルネに連絡を入れておく。
「へぇ~!文化祭って色々お店もやるんだねぇ^^飾り着けも綺麗っ♪見てるだけでもワクワクしてきちゃうよ(≧▽≦)お兄ちゃん♡♡♡」
「ホントねぇ~♪学生時代を思い出すわぁ~^^懐かしいわぁ☆彡」
「うーたんっ!あでぇ?」
「ん~?ああ、あれはタコさんやね^^」
妹様は生まれて初めて見る高校の文化祭に興味津々なご様子。
純も自分の学生の頃を思い出しているのか、目を細めている。
大樹はタコ焼きを出しているクラスの入り口に設置してあったタコの赤いバルーンが気になるようだ。
{余談だが、純は当校の出身ではないが…それでも県内有数の進学校を卒業している。}
A組の教室へ向かう道すがら、雄二を見るなり生徒達は声を掛けたり挨拶してきたり…特に女子生徒は軒並み黄色い声でキャーキャーしている。
「・・・・相変わらずオモテになりますねぇ?!お兄様ぁ(▼皿▼メ)ノ」
「い、いや・・・(滝汗;;)」
「ホントにねぇー(ゴゴゴゴーッ)後で臨時の嫁会議を招集する必要があるかもねっ!」
(ヒィ~~~ッ!!((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル)
秀美も純も笑顔を振りまいてはいるが眼は決して笑ってはいない。
雄二には間違いなく見えているのだっ!両隣から発せられる黒い波動が。
そんな雄二の心情が解っているのか定かではないが、大樹は抱っこされながら雄二の頭をナデナデ。
こうしてすったもんだしてるうちに1年A組の教室が見えて来る。
入り口付近は結構な行列が出来ていた。
そこで雄二は【テレパシー】でメルに連絡を取って正規の入り口ではなく、後方の通用口として設定している入り口から入室する。
普通なら他の客から文句でも言われそうだが、『ご都合主義』なので誰も何も言わない。
「「いらっしゃーい(⌒∇⌒)大樹くん、秀美ちゃん、純さん」」
恵とまどかが揃って出迎えてくれる。
「やっぱ一番最初はココにきたがってたもんでなw」
「わわわーっ!メグねぇもまどかねぇも可愛い~♪」
「そうねぇ^^恵ちゃんもまどかちゃんもよく似合ってるわよぉ~☆彡」
「めぐたん、まどたん、かわうい^^きゃはははっ(⌒∇⌒)」
二人の出で立ちを見た秀美、純、大樹はその衣装に大喜びである。
恵はパンダの、まどかはトラのそれぞれ着ぐるみに身を包んでいたのだ。
メルも着たがったが、メルが着るとメリハリが有り過ぎてR指定になるので雄二が止めた。
そのメルはピンクのエプロンドレスを身に着けて雄二お薦めルネ特製スペシャルセットをお盆に乗せて運んで来た。
フルーツどっさりクレープとチョコワッフルそして飲み物のセットだ。
21世紀ならともかく、1970年代後半の日本ではあり得ない代物だ。
しかもそれらを調理する器具設備もこの時代の日本にはまだ無かったはずなのだが。。。
それどころか熱源もこっそりと21世紀でさえ実現していない方法で確保している事に誰も何も言わないし、気付いてもいない。
結構な量なのでクラスメイト達は心配そうに見ていたが…秀美、大樹、純の3人でぺろりと平らげてしまった。
日頃からルネの手料理を堪能しているし、雄二の加護がこんな所にも出ているかもしれない。
それは良いのだが、大樹はまだ幼児なので仕方ないが、秀美までもが顔じゅう生クリーム塗れになっている。
そんな二人をかいがいしく世話する純は正に聖母の如く母性に満ち溢れていた。
周りのクラスメイト達もとても暖かい気持ちになるのだった。
こうして秀美、大樹、純の3人はこの後も色々な催し物や模擬店を巡って雄二の高校での文化祭を存分に満喫するのだった。
そして大樹の小さな右手には何故か気に入ったらしい赤いタコさんバルーンの紐がしっかり握られていた。
次回は嫁らが無双?(ぇw)




