本編 第037話 あーっ!夏休み⑤ ネオアースにて その一
どもーwじいじです。おさむうございます。
ひと通り紹介・挨拶も終わり、嫁らは一人ずつ付けられている専属メイドに案内されそれぞれの私室に散って行くのであった。
夜に行なわれる晩餐会までは自由に寛ぐよう雄二から皆に伝えられたのだ。
エリーはもちろんターニャが専属として付き従っている。
菜摘以外の嫁には既に決められた専属メイドがいて、それぞれの主とも打ち解けて信頼関係がそれなりに出来ていた。
初めてこの世界、この国を訪れた菜摘の専属メイドとして配属されたのはチェリエルというなりたての大天使だった。
「えとえと、菜摘様…精一杯お世話させて頂きましゅのでよろしくお願いしましゅ」
菜摘は思った。
((背格好といい、緊張して噛むところといい、自分によく似てる?))
そうなのだ!このチェリエルは背も低く容姿も童顔であり、当時の日本人の多くがイメージしていたであろう天使そのものだったのだ。
そして菜摘もまた同じく150以下の低身長、下手すれば中学生に間違えられそうな容姿、おまけに若干アガリ症。
菜摘にとってとても他人とは思えない親近感のある雰囲気を持っていたのだ。
そんなわけで菜摘とチェリエルはお互いシンパシーを感じ取り、
「「新人同士仲良くしましょう(^^♪」」
手を取り合って意気投合していった。
良好な主従関係が築ける掴みができたところでチェリエルからこの『ネオアース』や『トゥルリバパラピア帝国』の事。更にはこの宮殿の各所案内などの説明がなされた。
チェリエルらが雄二の要請により新たに『天界』から派遣されてきて3ヶ月余り。
サリエルやライラら先輩使用人達により、みっちり教育を受けていたので菜摘に対するチュートリアルも滞りなく行なう事が出来た。
「・・・にしても、まさか自分で星を創って、国を創って、そこの皇帝になってるって(*_*;」
「菜摘様が驚かれるのも無理はありません。」
そう答えながらチェリエルは菜摘の前で本来の天使の姿に変わる。
頭にはピカピカなヘイロー。そして背中には2枚の羽根。しかも宙に浮いている。
特撮とかトリックでは無く、現実にそれを見せられれば、紛れもない真実だとしか信じざるを得ない菜摘であった。
そもそもの話、雄二が尋常じゃない事は菜摘自身も身をもってわかってはいる。
それでも、
「雄二君ってあまりにも非常識過ぎるのよねぇ。。。(-_-;)」
チェリエルから視覚情報を織り交ぜながらの様々な詳細説明を聞き終えて菜摘はお疲れモードで一息入れて、
「んで…雄二君のお嫁さんになるという事はココに住んで、立場的にはお妃になると?」
「左様でございます(^^♪菜摘様」
「好きになっちゃったもんはしょーがないかww」
やや諦念モードになりながらも菜摘はその後も自分の私室として与えられた部屋に設置してある設備や電化製品、家具等の使用方法についてのレクチャーをチェリエルから受けてゆく。
しばらくすると、ローテーブルの上に設置されている室内フォンが呼び出し音を鳴らす。
チェリエルが応対すると相手は純だったようで、
「純様がこれより5階にある展望風呂に女子のみで入るけど一緒に入りませんか?というお誘いですが、如何なさいますか?菜摘様」
「私も入りますっ!」
というわけで着替えなどの用意もチェリエルにしてもらい、菜摘は彼女の案内で5階にある展望大浴場に向かうのだった。
菜摘がその『展望大浴場』の大きさにまたしても度肝を抜かれたのは言うまでもない。
嫁らがそれぞれ寛いだり、メイドとの親睦を深めている頃 雄二は1階にある謁見の間にてサリエルから近況報告を受けていた。
「今のところ本国はこれと言って大きな問題やトラブルは起こってません。ただ、国民の人口がまた増えまして…現在100万人に達しております。」
「うん。。。今回まではしゃーないかなw」
前回、50万人に達した時、転生者の受け入れをそろそろ打ち切り、後は自然増加させるつもりでいた。
しかし先だって地球で起こった災厄によって夥しい数の犠牲者が出た。
その犠牲者にせめてもの救済措置として他天体への転生を魂達に斡旋したのだ。
希望を募ったところ、やはり地球となるべく近い環境への転生希望が多かった。
で、その受け皿の一部としてこの『トゥルリバパラピア帝国』も担わざるを得ない事情になった。
更にここには雄二が地球の『高齢化問題』への措置として行なった対策へのフォローも含まれていた。
ここまで来れば神々が定めた“輪廻の理”から逸脱するのだが、雄二がやってる事なので【天の川銀河】の神々が文句を言えるわけが無いのだ。
中には雄二により意図的に転生では無く、生前の姿でそのまま転移させた魂もいくつかあったりする。
「人間関係も特には問題ありません。サザーランド達も上手く人心掌握してくれております。」
「ふむ...明日にでも幹部連中を集めて謁見させるかな?直接話も聞きたいしな。」
「畏まりました。ではそのように手配いたします。」
「うんっ!。。。。それから…各種産業の方はどない?」
「はいっ!そちらの方もお互い協力しながらかなり軌道に乗せてきています。食料の自給率も主様の御助力のおかげで随分高くなってきております。近い将来、100%になるのではないかと推測いたします。」
「そか^^サリエル達が色々アドバイスやらしてくれとるおかげや。ありがとう♪」
「そ、そんな…勿体無きお言葉・・・・・・ウルル( ;∀;)」
サリエルにしてみれば、一介の大天使に過ぎなかった自分に『神力』を注いでもらい主天使にまでクラスチェンジさせてもらったという返しきれない大恩があるのだ。
よって身命を尽くして雄二に仕えるのはごく当たり前の事なのだ。
ちなみに大天使が主天使クラスになるなど絶対あり得ない話なのである。【天の川銀河】に於いてだが。
こうしてサリエルからの近況報告を受けた後、しばらくは大樹の相手をする事にした。
ちょうど嫁らが大浴場に行くという連絡を受けたので純から預かる事にしたのだ。
5階に大樹専用に創られたプレイルームで遊ばせながら、
「そろそろ同じくらいの歳の遊び相手も必要かもなぁ。。。」
と独り言を呟いてみる。
「そういえば彩華はいつ逢えるんかなぁ?」
と、ついつい呟いてしまった。
それを聞いていたのか、大樹が雄二の傍まで来て、
「ねーたん、くる!あっちくる!」
と言ってきたのだ。
(あっち?・・・という事は地球かぁwそうか^^やっと逢えるんやなww)
雄二にとって彩華は愛娘であり、21世紀から『タイムリープ』して来て大樹にはこうして再会を果たしたのだが、彩華は唯一の気がかりであったのだ。
“宇宙の意思”の計らいによりこの時代に来てる事は知らされていたが、敢えてその時期や居場所などの詮索はせずにいたのだ。
雄二がその気になれば容易く再会も叶っただろうが、【アカシック・レコード】からも余計な詮索を強く禁じられていたし、無粋な事はしない方が良いと判断していたのだ。
その愛娘にやっと逢えるのだ!雄二のテンションが上がるのも無理はないだろう。
(どないな形で逢うのか気になるが…楽しみに待っとくかなぁww)
雄二がこのように想いを馳せながら大樹の相手をしていると、嫁らが風呂からあがったという連絡を受けた。
「大ちゃん?お父さんとお風呂でちゃぷちゃぷしよっかぁ?^^」
「あい^^」
雄二は大樹を抱っこすると嫁らと入れ替わりに大浴場に向かうのだった。
大樹はケロリン洗面器に黄色いあひるさんや魚の形のおもちゃを入れて遊んでいる。
それを眺めながら雄二はのほほーんとお湯に浸かる。
それにしてもこの浴場も桁違いに大きい。
ど真ん中に大きな風呂があり、その周りにはいくつかの少し小さくした風呂があるのだ。
低周波が流れている風呂やらジェットバブルバス、サウナはもちろんのこと、五右衛門風呂まである。
完全にスパーランドである。
こうして全員がお風呂に入って寛いだあとは、正式に雄二の嫁に新たに加わったエリーと菜摘、そしてこちらも新たに仲間として加わったターニャ、この3人の歓迎晩さん会が行なわれた。
ターニャは「自分はあくまでもメイドの身分ですので;;」と固辞していたが、そこは雄二が強引に席へ着かせた。
本日のメニューは全て『トゥルリバパラピア帝国』で収穫した食材をふんだんに使った和洋折衷のコースメニューだった。
既にこの国では畜産業も軌道に乗り始め、黒毛和牛も安定供給されている。
今日のメインディッシュはその黒毛和牛のシャトーブリアンステーキにこれまた国産のフォアグラ、白トリュフが乗せられている。
おまけに前菜は舌平目、ズワイガニのミソ、伊勢海老、本マグロの大トロ…。これらも全てこちらで獲れた天然物。
これらを目にした菜摘は、やややさぐれたように、
「雄二君といると普通の生活しているのがバカバカしくなるわっ!;;」
と吠えていた。
するとそれに同意するように地球組の新人嫁である恵、柚姫らが激しく首を縦に振っていた。
しかし...そんな彼女らだが、デザートとして配膳されたフルーツてんこ盛りパフェや濃厚ジェラート等を前にした途端、黙々と一心不乱にそれらを咀嚼するのであった。
食後、嫁らは再び各々思い思いに過ごしている。
雄二は私室にて帝国各地の様子を【マルチタスク】で覗いていた。
(ふむ...サリエルの言うた通り、特に大きな問題も異端分子も無いようやな。)
この国の国民は総じて善良で他人にも慈悲深く、お互いが助け合う事を是としている。
転生時にフィルターにかけられているのはもちろんだが、ある程度 雄二によりそう植え付けられているのである。
それでも様々な考えを持った人間が多く集まっているので、見解の違いやいざこざが多少あるのはいたしかたない。
それでも地球とは比べものにならないぐらい健全である。
地球は既にこの1970年代には腐りきって衰退の一途を辿り始めていた。
とうの昔に神々に見限られていたのだ。
中には自助努力して少しでも改善しようとする者もいるには居る。
しかし残念ながらこの衰退の流れは容易には変えられないだろう。
遅くとも数年後には雄二も地球を見捨てて、こちらへ本格的に移住するつもりなのでどうでもいいといえばどうでもいいのだが。
帝国内各地の様子を見終わった雄二は視野を『ネオアース』全体にまで広げる。
国外は一部の遠洋漁業従事者と雄二ら以外はまだ誰も足を踏み入れていない。
いずれは自分達の国を持ちたいという野心家が現れて独立して行くかも知れない。
雄二の創った国である『トゥルリバパラピア帝国』に仇成す行為をしてこないのであれば特には止めるつもりも無いし、支援もやぶさかではない。
ただ、背信して来るのであればそれなりに対処するつもりであるようだ。
(うおっ!そうやっ!!ラビリンスを創ろうww)
何の脈絡もなく思い立った雄二は『ネオアース』の南海に浮かぶとある孤島に大きな迷宮を建てて行くのだった。
(嫁らを何組かに分けて挑戦させるのもアリやなぁw)
確か私有地の地下にはダンジョンが既に創ってあったはずなのだが、それだけでは満足しなかったらしい。
{全く困ったおっさんである。}
色々なトラップや部屋、アイテムを配置して行く。
無論、大切な嫁達なので命に係わる様な危険度はない。
それでも地球ではお目にかかれないモンスターも散りばめながら、
(オラ、ワクワクしてきたぞっ!w)
などと相変わらずな厨二病患者がここにいた。
完成したラビリンスを【クレヤボヤンス】で満足げに眺めながら雄二が優雅にコーヒーを飲んでいると、
《主様?夜分に申し訳ございませんが、今 宜しいでしょうか?》
とサリエルが呼びかけて来た。
(ん?サリエルか?どーしたん?)
《はい...実はつい先だってこの宮殿の追加増員として主様が連れて来られたメイドの中に主様直々にお目通りさせて頂きたいという者がおりまして。。。》
(ふむ…寝るまでまだ少し時間があるから、今から会ってみようか?)
《えっ?よろしいのですか?奥方様がたは・・・?》
(??・・・今なら特になんもしとらんし、かまへんで?)
《さようでございますか?それでは・・・っと》
(そのメイドって専属じゃないよな?)
《はい、仰せの通り一般メイドとして配属した者にございます》
(だったら恐らく既に宿舎か…ならば俺が談話室にでも出向こう!内密に手配を頼む)
《よ、宜しいので?・・・で、ではそのように手配いたします。》
(うん。)
現在 雄二と嫁らが滞在している宮殿は800m四方の正方形をしており、見た目は5階建てである。
そしてその宮殿をぐるりとリング状に囲む形でサブ棟があり、宮殿の全使用人の宿舎になっている。
もちろんこの宿舎の方も雄二により全室【空間拡張】が施されている為、見た目からは想像もつかない程広いのだ。
更にそこには一人一人の個室だけではなく色々な施設が完備されている。
談話室もいくつか配置されており、使用人は自由に利用できるのだ。
そしてその談話室の中の一室に雄二は転移してサリエルが連れて来るであろう一使用人(天使)を待つのであった。
数分後、サリエルにより連れて来られたのは菜摘専属メイド:チェリエルを彷彿させるような容姿の女性型天使メイドだった。
有能な執事長であるサリエルは何も言わずとも、一礼をして退室して行った。
入ってくるなり雄二の前に跪き首を垂れたままでいるそのメイドに頭を上げるよう促し、更にこの部屋に【結界】を張る。
「んで?何の用やねん?アテナさん」
「ありゃりゃ…ばれちゃってるぅ?・・・エヘヘ♪来ちゃった♡♡♡」
そう答えるとメイド姿が一瞬閃光を放ち、刹那 神々しい女神の姿が顕現する。
頭の上には古代ギリシャの戦士が被る様な兜を乗っけている。
「来ちゃったって・・・・・(;・∀・)」
「だぁってぇ~~~アルちゃんとヘスちゃんを娶っておいてボクだけ仲間外れなんて嫌だぁ~~~!!!それからぁボクの事はちゃーんとアテナって呼び捨てしてくんなきゃ嫌だからねっ(^_-)-☆」
(うわぁ~!ここに来てアテナまでがぁ?しかもボクっ娘って…汗;;)
〔おやおや…おかしいですねぇ。。。アテナが来訪するのは来年以降の予定だったんですが。〕
(えっ?・・・来るっちゅう事は既定なん?)
〔もちろん規定ですが、何か?〕
(・・・・・・・いえ・・・・)
「でも流石 主様だねっ♪サリエルとかライラとか、アルちゃん、ヘスちゃん、ガブちゃんも気が付かなかったのになぁ…もしかして最初からわかっちゃってたぁ?」
「ああ、わかってはいた。でも何か目的があるんやろ思うてな、そっちから何か言って来るまで知らん顔しとったw」
「ええええ~~!!!ひっどいなぁ~(--…こんなに主様の事、好きなのにぃ~♡♡♡♡」
「でも【天の川】はほっといてええのん?ちゅーかアルテミス、ヘスティア更にアテナまで抜けたら『オリュンポス』とか大丈夫なん?」
「それは心配ないよぉ♪だって【天の川銀河】もその中の神界も主様の強力な加護で護られているから何もする事ないんだぁ^^ゼウスも毎日ぐうたらして他の女神にちょっかいばかり出してるんだもんっ!」
「はぁ?神界って暇なん?」
「うんっ!暇だよぉ。だからゼウスにボクも狙われそうだったからねぇ。。。ボクの操はもう主様のものだもん♡♡♡♡だから予定より早く逢いに来たってわけェ♪」
(人のコト言えんけど、ゼウスも半端ねぇな;;)
〔確かに【天の川銀河】もそれに属する天界、神界もマスターがいらっしゃる『銀河』という事で自動的に強力な加護下にある状態ではあります。よってこれまで神々が行なってきた仕事の多くはする必要が無い状態でもあります。暇をもてあましているゼウスが女神達のお尻を追いかけるのも仕方ないかと。。。〕
「それでそれで、ボクもアルちゃんヘスちゃん同様、お嫁さんにしてくれるよねぇ?(ウルウル」
〔わたくしからも強く推奨いたします!このまま向こうに帰らせれば間違いなくゼウスの毒牙に…〕
「そっかぁ。。。神界って暇なんやなぁwwまぁ^^アテナはカワエエし、ゼウスのジジイにはもったいないわなww」
「\(^_^)/やったー♪主様大好きぃ~(*˘︶˘*).:*♡♡♡♡♡」
と叫びながらアテナは雄二に抱きつくと、唇を奪い更に、
「ボクの生まれて初めてのキスなんだから責任取ってねっ♪♡♡♡♡」
ビトーッとしがみついて来た。
これで雄二は見事にギリシャ神話の処女女神3柱コンプリートを果たしたのであった。
しかし、雄二はもう既に色々と感覚すら人間では無くなっているにも関わらず未だ人間だと主張するのだった。
この後、雄二はとりあえずアテナには今宵は擬態したメイドに戻ってもらい、このまま過ごしてもらう。そして明日改めて全員に紹介するという流れでまとめた。
ただし正妻である詩織には【テレパシー】を使いすぐさま、
(嫁…一人増えた。しかもまた女神)と伝えた。
これに対し詩織は、
[ゆうくんだもんねぇ^^仕方ないかぁ~;;でもぉ~ちゃんと私達も愛してねっ☆彡♡♡♡♡]
というどんな女神より女神な詩織様なのであった。
(もちろんっ!ちゅーかしーちゃんが正妻やから一番先に連絡した。他のみんなには明日改めて紹介するつもりやから!)
マリアにも【アカシック・レコード】を通じて既に伝わっているであろうが。
{それにしてもこの男…いったい何人まで嫁を増やすのだろうか?それでも『ゼウス』のような節操なしではないのがまだマシなのかもしれない…いや、似たようなものか。}
(他の嫁らはどない思うやろなぁ;;;)
少しだけ気が重い雄二であった。
処女女神コンプリートしてしまった;;;
でもさすがにアフロディーテは・・・・NTR嫌いなんでw




