本編 第017話 事件勃発!のちに3番目の・・・
お世話様です♪じいじですw
少子化問題と所得水準の問題・・・誰が解決するんでしょうね?
雄二は大樹の歩に合わせてゆっくりゆっくり歩きながら自宅を目指す。
車が横をすり抜ける通りでは大樹とその車の間に入るようにしつつ、しっかり手を繋いで。
傍から見れば少し歳が離れた兄弟に見えるだろう。
こうして普通に歩けば10分で辿り着くところを30分ぐらいかけてのんびり歩く。
途中途中で大樹は目についた小石を拾う。
「大ちゃん?ばっちいからポイしよっか?」
「あいっ!ぽいっ!」
大樹は素直に雄二の言う事を聞き入れ、小さな手で持っていた小石を「ひょいっ!」と放る。
こんな風にしばらくボチボチ歩いて行くと我が家がだんだん見えて来る。
「たらまぁ~!」
玄関を開け、中に入ると大樹が帰宅を告げる声を響かせる。
「おかえりぃ~♪」
返事をしながら純が出迎える。
「あら?大ちゃん?・・・ジュース飲んだのぉ?」
目ざとく大樹が着ている衣服の胸元に付いたジュースのシミを見つけると純は大樹に問いかける。
「あいっ!じゅーちゅ おいちぃ♪」
素直な大樹は正直にママに答える。
途端に純は目を細めて雄二を射貫く。
雄二は目を逸らしながら、
「大樹が欲しがってたし・・・(モニョモニョ)w」
「もぉーっ!雄さんはほんとっ大樹に甘いんだからぁ!!あんまり甘やかさないでよねっ!?」
(Σ( ̄ロ ̄lll)・・・)
お小言を頂戴してしまった。
ともあれ全ての家事は滞りなく完了しているみたいだ。
時間的にもまだまだお昼前なので大樹を純に渡すと雄二は自分の部屋にそそくさと退散する。
そして昼食後、今自宅にいる者全員が2階のリビングスペースに集合している。
嫁達は期待に満ち溢れた眼差しで即席ステージの雄二を見つめる。
「せっかくやから一人ずつ順番にリクエスト言うてくれへんか?」
そう言いながら雄二は慣らしとして軽く電子ピアノを奏でる。
『猫ふんじゃった』を弾いたのだが、何故か大樹にはウケたようでノリノリになっていた。
一番最初に手を上げたのはやはり…と言うか何と言うか、秀美様だった。
「じゃあ、あたしからっ!ユー○ンの“翳り○く部屋”が聴きたいっ!」
(をいをい…小学生が聴く音楽とちゃうやんかっ!)←あくまでも雄二の個人的見解。
どうやら最近の秀美は雄二や同居しているお義姉ちゃん達の影響で洋楽とかニューミュージックを聴くようになってきたらしい。
雄二は電子ピアノを弾きながらビートボックスを起動させ、原曲に近いものにして行く。
その卓越した演奏そしてヴォーカルに純をはじめとする初めて拝聴する嫁達は目を丸くする。
サビの「どんなぁ~うんめいっがぁ~♪」の所を秀美がハモってくる。
この曲を皮切りに嫁達が挙ってリクエストして来るのは既定路線であった。
ちなみに、
純は『中村○俊』の“俺○の旅”
妹の瞳は『因○晃』の“わかっ○ください”
柚姫は『エル○ン・ジョンの“Yo◦r Song”
恵は『ジョン・デ○バー』の“Take Me Home, Cou◦try Roads”
まどかは『サ○モン&ガー○ァンクル』の“Bridge Ov◦r Troubled Water”
文乃は『布○明』の“シクラメンのか○り”
メルは『田中星○』の“ビュー○ィフルサンデー”
ルネは何故か『ヒデ・○木』の“GO!GO!トリ○ン”
圭子は定番な『シ○ナル』の“二十歳の○ぐり逢い”
良江もお馴染みな『ビリー・ジ○エル』の“ピ○ノマン”
ラストの詩織は『E・フン○ーディング』の“愛の花咲くとき”
これらの楽曲を雄二は電子ピアノ或いはギターでの弾き語りで完コピしてしまうのであった。
(な、なんか…皆それぞれ音楽的嗜好がバラエティーに富んどるなぁww)
様々なジャンルをそつなく熟す雄二に驚きと感銘の表情の嫁達。
概ね好評だった様で何よりだ。
夕方になり、両親も戻ってきた。なので新たに嫁に加わった柚姫、恵、まどかを紹介し、瞳を改めて嫁として紹介した。
父親の功は青筋を立て、引き攣った顔になっていた。
母親の京子は・・・既に悟りの境地のようだった。
紹介を終えると雄二は新規の4人にそれぞれペンダントを渡しておく。
その使い方や付与されている加護などについては先輩嫁らが説明してくれているので雄二は特に何も言う事はなかった。
文乃と純も雄二から渡されていた物がとんでもないモノだという事に今更驚いていた。
その後は瞳、柚姫、恵、まどかを一人ずつ自宅まで納屋から【転移】で送り届ける。
こうして一段と騒がしくなった日曜日は過ぎて行った。
翌日の月曜日も全国的に『憲法記念日』で休みである。
この日は特に何をするでもなく、思い思いに過ごす事にした。
嫁達は買い物に行く者、ゲームに興じる者、大画面で映画鑑賞する者、それぞれ自由に楽しんでいる。
昨晩からルーシェも『転移ドア』を通って遊びに来ている。
雄二も珍しく一人で街中をぶらぶらする事にした。
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やって来たのは雄二達が済む地方都市で一番の繁華街。
(この頃はまだまだここら辺も活気があって賑わっとったもんなぁ。。。良き昭和の時代やったなぁw)
辺りを見渡しながら感慨深げに思いを巡らせていた。
中高生らしい年齢の若者が半数近く占めている。
GWという事もあるのだろう、土日と遜色ない人出だ。この時代の祭日は固定されている為、連休にならなかった事も多かった。
明日、5月4日は『みどりの日』でもなんでもなく、普通に授業がある。
アーケードに入ると、やはりGWらしい催し物があり、人だかりができている。
その人だかりを横目に見ながら通り過ぎようとした時、雑多な音の中から雄二のブーストされている【超聴覚】がまた厄介事の匂いがプンプンする音を捉えてしまう。
「へっへっへっ!丁度ええカモがおったなぁww」
「昨日はナンパも上手くできんかったしなぁ…憂さ晴らしにはええかww」
「この制服って○高じゃね?俺らと違って勉強ばっかしとるんやろーなぁww」
「ついでにちぃとばかりゼニも貰っとこかw」
聞いてて気分が悪くなる様なセリフを耳にして雄二は、
(やっぱこいつらアホやなぁ(呆))
と思いながら【クレヤボヤンス】を発動させて様子を窺う。
そこには福田の仲間である山田、大野、安藤、澤田が一人の気弱そうな男子学生に絡んでいる風景が映っていた。場所的には路地裏で人の往来がほとんど無い場所。
雄二はこの4人とも過去の因縁がある。
更に相手の男子学生は面識は特にないが、こっちでの雄二と同じ高校の生徒らしく、真面目に学生服を着こんでこの繁華街に来ていたらしい。
どうやら山田らはこの男子学生で憂さ晴らししようと考えているようだ。
(こいつらは自分より力が弱い者には半端なく強気やったもんなぁ…昔から。)
絡まれている男子の方は足がガクガク震えて逃げ出す事も出来ない様子。
どうやって場を収めるか少し考え、まずはこいつらの視界を奪うべく閃光を発現させる。
「うわっ!なんやっ!?」
一瞬眩い光から目を守るため、連中は瞼を閉じる。
その隙に絡まれていた男子学生を人通りの激しいアーケード内にごく自然な形で【テレポート】させる。
「あ、あれ?・・・えっ?」
急に視界が変わり、今まで居た場所とは明らかに違う事に固まってしまう男子学生。
しばらくは立ち尽くすのみだったが、キョロキョロ周囲を見渡すと、
「寝不足かな?さっきのは夢でも見てたんかもな…勉強のし過ぎで疲れとるんやな。帰って少し横になろっ!うん、そうしよっ!!」
と呟きながらその場からそそくさと立ち去るのであった。
一方、残された山田達は?
突然カモにするはずだったターゲットがそこから消え去ったわけなのだが、それどころではなかった。
雄二式制裁の第一段階で定番になりつつある【状態改変】による激しい下痢に襲われ、のたうち回っていた。
その後、山田らをそのまま放置して書店やレコード店などを見て回って時間を適当に潰して雄二は家に戻った。
明けて5月4日、普段通りにみっちり6時限授業であった。
参考までに、、、ここ○○高校は月曜日と木曜日は7時限授業で火曜日、水曜日、金曜日は6時限。
もちろんこの時代は週休二日制では無かったので土曜日は普通に4時限である。
さておき。。。
授業自体は特に問題がある訳でも無く消化された。
放課後、いつものように詩織をはじめとする生徒会メンバーは生徒会室にて執務を熟していた。
そこへ突然けたたましい勢いでドアをノックする音が鳴り響く。
雄二は毎日のルーティンとして今朝予め【プレコグニション】にて予見していた為、落ち着いて問いかける。
「はい、どうぞ?」
途端に息を切らしながら焦った表情で入ってくる生徒が二人。
「たっ!大変ですっ‼;;;うちの生徒が・・・」
「えっ?うちの生徒がどぉしたのぉ?」
雄二の落ち着きぶりを察して詩織も慌てる事無く応対する。
しかし柚姫は少々テンパって、
「えっ!?な、何っ?何があったんですかぁ!;;;」
「柚ちゃんも落ち着いてぇ?・・・で?何があったのぉ?」
「は、はい…私が友達と放課後に図書室で少し勉強をして帰ろうと思って校門を出た所に何か揉めている感じの10人くらいの生徒が居たんですよ。その内3人はうちの生徒だったんですけど、残りの数人は他の学校の男子生徒だったんですよ。詰め襟の学生服でした。」
「フムフム...それでそれで?」
「しばらくは言い合いみたいになってたみたいなんですけど、その他校の男子がうちの生徒3人を半ば強引にどっかに連れて行っちゃったんですよーっ!!」
「どこの学校の生徒だったのぉ?」
「私はあんまりわかんなかったんですけど、一緒に居た友達の話では『○○商業』の連中じゃないかって。その子、バス通学らしくたまに見かける男子がいたそうです。」
「○○商?ってぇことはぁ…その人達ってどんな格好だったのかなぁ?」
「みんなパーマとかリーゼントで中には茶髪の人もいました。怖かったです;;;」
「先生方には連絡したのぉ?」
「あ…いえ、まだ先生達には言ってません。突然の出来事だったんで、まずは生徒会長に連絡した方が良いって周りの人たちが言ってきたもんで。」
実はこれも雄二が先生達に知らせる前に話を生徒会に持ってくるよう仕向けたのである。
その雄二は、
「話は分かりました。僕らの方から先生方に連絡しておきますので、先輩達はできるだけ用心しながら帰宅してください。」
と言って知らせに来てくれた二人に帰宅を促した。
現場周辺にいた他の目撃者達にも雄二が【状態改変】を行使して下手に騒ぎ立てたり、事を荒立てたりしないで大人しく帰宅してもらう様に仕向けた。
知らせに来た二人が生徒会室から出て行った後、雄二は念のため生徒会室に【結界】を施し、実際の経緯を確認する為、『第六の権能』である【スパシオ・テンポラル】と『第五の権能』【スーパー・センス】を複合させ、過去の事象を“再現フィルム”の如く検証する事にした。
もはや詩織は元より、そこに居合わせている瞳や柚姫も雄二の異能については理解できているので一緒に見てもらう。
やがて4人の前には大きな液晶画面のようなものが設置され、時系列順に映像が映し出される。
そこには雄二達の通う○高付近も含まれる路線バスの車内映像が再生されていた。
恐らく今朝の登校時の場面だろう。
黒縁眼鏡のいかにもガリ勉風の○高男子生徒が分厚い学生鞄を片手に持ち、もう片方の手で吊革を握っていた。位置的には出口専用昇降口のやや後ろ当たり。
その周囲には同じ路線バスの終点付近に建てられている『○○商業』の生徒が相当数。
しかもその大部分がいわゆるヤンチャな方々。
必然的にその黒縁男子を恰好のターゲットにして揶揄い始める。
黒縁男子本人は震えながらもすぐに自分が降りるバス停に着くという事でやり過ごす。
しかしバスは何らかの原因でそのバス停に到着の際、急停車する。
すぐにでも降りたくて吊革を離してしまっていた黒縁男子はよろめいて重い学生鞄に重心がかかり後方へ流されてしまう。
そして運悪く二人掛け用のシートの通路側に座っていた○○商業のヤンチャな奴の一人、山田の足を踏みつけながら覆いかぶさってしまう。
山田はリアクション芸人のそれのように大げさに痛がり、蹲る仕草をする。
「うぎゃ~~っ!!いっでぇ~~!!!」
「す、すみませんっ!!;;;」
と一言謝って、黒縁男子は慌てて昇降ドアに向かう。
すかさず山田が、
「待てやっ!コラァァァッ!!」
それに乗じて山田の仲間らも悪ノリしてギャーギャー騒ぎ出す。
ここのバス停で何人か他の○高生も降りるのだが、前方に居た生徒は運転手に断りを入れて入口専用のドアからそそくさと降りて行く。
バスの運転手も機転を利かせて黒縁が降りきったのをバックミラーで確認すると、とっととドアを閉めてバスを発車させる。
アホ共は相変わらず周囲の迷惑など全く考えず、大きな声で喚いている。
「どうやらきっかけ、ちゅーか根本原因はこれみたいやね。」
画面を睨みながら雄二が呟く。
「フムフム…んで?」
詩織が先を急かせるような視線を雄二に送る。
徐に映されている画面の時系列を進めて再び雄二は事の成り行きを再現させる。
再開された過去映像にはプンスカ怒っている山田、そしてこちらもイライラしている福田とゆかいな仲間達が勢揃いしていた。
つまりは『前・世界』にて雄二がかな~りお世話になった連中が全員集合しているという事である。人数にして20人ほど。
場所はいつも仲間同士で屯っているメイン校舎棟から離れた所に位置する体育館の脇、道路側フェンス付近の死角になっている箇所。
教室から結構遠いため、教師らの目の届かない色々と都合の良い場所になっている。
煙草をふかしながら今朝のバスの中での出来事を喚いている。
「クッソぉ!!○高の奴らめぇ!ちょっと頭がええからってバカにしやがってぇ!!」
「ほんとっ!ムカツくよなぁ!!」
「っきしょぉ~!!この前のナンパは全然アカンかったしっ!!」
「んがぁぁ~~!!イライラするわぁ!!」
自分達の都合の良いように考えている為、都合の悪い事や理解できない事は全て他人のせいにして責めまくる。どうしようもない連中である。
「よっしゃっ!今から○高の校門まで行って誰でもええから弱そうなヤツ見っけてふっかけようぜっ!!」
「そうやなっ!昨日の憂さ晴らしも兼ねてガリ勉共をボコってこようぜっ!!」
「ついでに女もええのがおったら拉致って輪姦そうぜっ!?」
「ノッたぁ~!!何気にあそこってマブいネエチャン多いしなっww」
聞くに堪えない下劣極まりない会話に詩織も瞳、柚姫も青筋を立てて憤怒の表情MAXになっている。
「幸い?連れていかれたのは男子ばっかやし、どこに連れていかれたかも把握しとる。」
これも雄二によって女子生徒には指一本触れさせないように仕向けたからである。
「そっかぁ・・・じゃあ、ゆうくん?任せていい?」
それを聞いた詩織は心なしかほんの少しだけ表情を和らげて雄二に対処を任せるのであった。
託された雄二は不敵な笑みを浮かべながら右手で『サムズアップ』して見せた。
取り敢えずは今日の生徒会活動は終了という事で雄二以外は帰宅する。
心配性な雄二は他の3人を【テレポート】でそれぞれの自宅付近まで送って行った訳だが。
詩織を最後に転送した後、雄二は生徒会室の施錠をして自分自身も校門を出て、目的地近くへと転移する。
ここに来てついに最後の“ざまぁ”が開始されるのであった。
「どうせやからヤンな連中を一網打尽にすんべっ!w」
いよいよ次回は最後のざまぁを成し遂げる話になりますw




