新世界編 第五話 領地内でのあれこれ
お世話様です。
今の世相はいやなニュースばかりですよね。。。
誰かヤツを粛清してくれませんかねぇ?
(う~~~む…なかなかの頑固もんやなぁ。。。)
デュオンを【アナライズ】して真意を覗いてみたのだが、混じりっけなしに雄二に対する崇敬の念しか無く、そこには打算も邪な思惑も存在しなかった。だからこそ余計蔑ろにするわけにはいかない。
しかも一本気でなかなかの堅物のようである。
このままでは埒が明かないと感じた雄二はデュオンにこんな提案をする。
「ほんなら俺の補佐役として働いてくれへんかなぁ?」
「補佐役…ですか?・・・・・」
「そう。補佐役っ!ほいで俺達がこっちにおる時は相談に乗ってもらったり、意見を聞かせてもろたり。俺達が向こうの世界に帰っとる時は俺の代理として皆をまとめて行って欲しいねん。俺らが本格的にこっちで生活するのんはまだしばらく先の事やし。…どうやろ?」
この雄二の提案にその場に同席している嫁達は“無難な落としどころ”に納得のサムズアップを決める。
サリエルも頷きつつ、
「それは良いお考えですっ!主様」と称賛する。
「・・・・・で、でも…それでは奥様方が・・・」
尚も渋るデュオンに嫁代表としてアリーが、
「私達は妻として雄二さんを支えて参ります。ですが、夫の仕事には基本的に口出しをするつもりはありません。そりゃ…意見を聞かれればその限りではありませんが。そして雄二さんは立場上、様々な場面、様々な事柄に対処して行かなければなりません。勿論、私達も一緒に考えて行きますし、私達で出来うる事はして行く所存です。ですが、良識を持った相談役はなるべくたくさんいた方が雄二さんも助かるでしょうし、私達も心強いです。」
と、雄二の提案を後押しする。
実際は雄二ひとりがいれば万事は全て解決できるだろうし、事実雄二一人にまかせても問題ないだろう。
おまけに雄二には【アカシック・レコード】という森羅万象に通ずる相棒もいるのだ。
だが、デュオンの処遇を鑑みると建前ではあるもののその様な位置づけにするのが妥当だと判断したのだ。
「た、確かに色々な人から様々な考えを伺った方が宜しい場合もありますわよね。。。」
アリーの説得力のある言葉を耳にして見事に誘導されて行くデュオン。
トドメとばかりに生粋の王族であり、姫君として公務も熟してきたメルが、
「それに…何よりもデュオン様はこちらの銀河の女神様であらせられます。こちらのあらゆる分野においても造詣が深いのでは?と推察いたします。で、あればユージ様も非常に助かるのではないでしょうか?」
と語った。
雄二もその言葉に賛同する意味を込めて首を縦に振る。
こうしてまんまと乗せられたデュオンは皇帝秘書兼相談役として雄二の傍に就く事になった。
デュオン用の私室も嫁達と同じく4階にあてがった。当初雄二は3階にしようとしたのだが、嫁達が、
「1人だけ3階にするのは可愛そう」とか「どのみち私達の仲間になるんでしょ?だったら最初からそっちの方が良くない?」とかで押し切られてしまった。。
(ちゅーかデュオンを嫁にする気は・・・)
何故か嫁達の間では既にデュオンが嫁仲間になるのは既定路線のようで、既に仲良くなっている。
デュオン本人もそんな嫁達に戸惑っている様子だ。
「わ、わたくしごときが皆様と同じ位置になろうとは・・・畏れ多いですわ;;;」
と固辞しても、詩織達から、
「いいからいいから♪ダイジョーブだよぉ~!!」と言う具合に押し切られる始末。
(俺の意志はいずこへ~~!!!(哀))
確かに嫁らの部屋や雄二の部屋がある4階にはまだまだ未使用の部屋がたくさんあるし、一つ一つの部屋も全て【空間拡張】が施されている為、見た目や実測面積の数十倍は広い。と言うより、この宮殿にある全ての部屋(謁見の間、大浴場、大広間、食堂、応接室、会議室、作業室…等々も含め)が十数倍~数十倍 拡張されているのだが。よって物理的な問題はないし、すぐ近くにいた方が何かと便利ではある。
と言う訳で雄二は4階にデュオンの個室を設定し、サポートするための専属メイドを手配した。
更にデュオンの部屋にはユメサイアン達の住居のモニタリング及び連絡が容易にできるような設定をした。
(な、なんか…最初デュオン達と対面した時とエライ態度が変わっとるんやけどぉ??…嫁らの)
そして夕食時間になった。
今回は歓迎と親睦を深めると言う事で急遽、宮殿で働いている使用人(天使達)と今日就いたばかりのユメサイアン達全員が集められ、一緒に食事を摂る事にした。
元々あったメイン食堂を雄二が大幅に拡張し、全員が余裕で座れる大食堂にした。
料理や飲み物なども人数分をメイド達だけで用意するのは無理だし、そのメイド達も今回は一緒なのだ。
よってその全てを雄二が用意した。無論、『権能』を駆使して。
初めて食す地球式の夕食にデュオンをはじめとするユメサイアン達は戸惑いながらも徐々に慣れていき、美味しそうに舌鼓を打つようになっていった。
ちなみにメニューはイタリアンコース。
・アペリティーボ→シャンパン
・ストゥッツィーノ→バゲット
・アンティパスト→カルパッチョ
・プリモ・ピアット→ミネストローネ
・セコンド・ピアット→グリル(肉or魚の選択可)&ルッコラサラダ
・フォルマッジィ→リコッタチーズ
・ドルチェ→タルト&ティラミス、エスプレッソ
上の順番で自動的に一人一人に提供される。{重ね重ねご都合主義である}
食後、ユメサイアン達は各々自分達の居住区へ。宮殿の使用人達はそれぞれ自分の持ち場へと戻って行った。
余談だがユメサイアン≒天使という事らしい。
嫁達はデュオンを連れ立ってガールズトークを敢行し、その後は5階の展望大浴場に行くらしい。
何を話すのか気になるがとてもじゃないが聞き出す勇気のないヘタレ雄二であった。
そんな雄二は自分の書斎で一人、【アカシック・レコード】と接続させたモニターと睨めっこしていた。
今後、日本が、そして世界がどのような道を辿って行くのかを再確認するために。
雄二がタイムリープして来てあの病院で目覚めた時点で雄二がタイムリープする直前まで居た21世紀の地球=『前・世界』は既に消滅している。そして現在、雄二が存在している地球=1975年の地球がこれから『前・世界』で起こって来た事象の多くをトレースする。雄二のせいで若干相違点はでてくるものの、基本的にはやはり同じ道を歩むのだ。こうして見ると1970年代の世界は米ソ冷戦はあるもののまだまだ健全で多少は前向きであった。未来へ向かう建設的な思考が多くあった。
が、しかし…欧米とイスラム圏との対立。そしてその合間をぬってそれまで発展途上だった中国、インドといった地域が力を蓄えていった背景。日本がバカみたいにつぎ込んだODA。その間に日本の技術やノウハウが盗まれて行く。やがて自己主張を強め、身勝手な論理を展開し始めるわけだ。ソ連崩壊で一気に自由主義に変わると思いきや、ロシアのように上手く自由主義化できず、プー○ンのようなソビエト懐古主義者と一部金持ち連中により再び共産主義的な政治体系になってしまう。中国は中国でソ連に代わるアメリカに対抗しうる超大国になり、世界征服の野望を燃やしている。
国民全員が万遍なく平等に全てを分かち合うと言う基本理念がマルクス&エンゲルスが掲げた共産主義のはずなんだが、現実は党の最高幹部と極ほんの一握りの富裕層だけがブクブク太ってるが、貧困層は貧困のまんま。
気が付けばバブルが弾けて経済的にも段々力を失っていった日本の周辺は敵国だらけになっている。21世紀はとんでもなく混沌とした病んだ時代に成り果てていくのがデフォルトみたいだ。
仮に雄二がいなくなった以降も『前・世界』が存在し続けていたとしてもそのままその傾向が続いていたみたいだ。
結局のところ建前では人々を救うだとか、より良い社会にする為だとかのたまっている宗教やイデオロギーも他者を拒絶・排除する事が主眼に置かれてしまうだけらしい。つくづく人間とは愚かな生き物である。
(うーむ・・・・ほっといてもええんやけど、日本の周辺国は少し介入してお灸をすえた方がええんかもなぁ。。。)
モニターで21世紀前半までの将来的流れをチェックした雄二はそんな思いをもたげさせるのだった。
(本当の意味での共産主義を実践している国なんてほとんどないやんかっ!ソ連も中国も北朝鮮も一党独裁の国粋主義やん!モロ専制国家やん!戦時中の日本と変わらんやんっ!)とも嘆く。
韓国も歴史的史実を捻じ曲げた反日教育をし、慰安婦だの徴用工だの喚いている。自分達がこの1975年前後、ベトナム戦争に参加した際、ベトナム国民に対し行なった蛮行を棚に上げ、呪われし負の遺産『ライダイハン』を置き去りにして。
憂鬱な気分のまま書斎を後にした。
雄二も風呂に入り、寝る事にした。さすがに今晩はいつものルーチンワークは無かったが、嫁達が一斉に雄二の居る主寝室へなだれ込んで来た。
ネオアースを再度訪れた第一日目の夜はお決まりのみんなと一緒に眠る事で更けていった。
ただ一点だけ。。。嫁達に混じってデュオンもネグリジェ姿で眠っていた。
翌朝 朝食後、早速雄二はデュオンを連れてユメサイアン達の居住区にある集会場に来た。
昨日のうちにデュオンを通じて招集をかけているので既にユメサイアン達総勢500名が集まっていた。
今日はいよいよ雄二が創ってきた各施設の担当を割り振って、その施設の運営のためのノウハウを伝授して行くのである。
「まずは動植物園、水族館関係やな。。。動植物の世話とかもあるから…200名くらいかな?」
最初に希望者を募り、不足分はデュオンが直々に指名していく。
「次は遊園地関係かな?アミューズメントも割と多いから100名でええかな?」
このように各施設毎に必要人員を割り振っていく。
シアター&イベント会場管理に30名。
大図書館&各種ミュージアム&プラネタリウム関係に60名。
陸上競技場、スタジアム、コート、体育館、ジム関連で40名。
訓練場、闘技修練施設にはユメサイアン達ではなく、サリエルの部下(天使)を30名ほどあてがう事にした。
研究&教育機関に25名。
残りの45名のユメサイアンとサリエルの部下の天使10名で茶室、庭園、温泉の運営管理をしてもらう事にした。
ちなみに以前からいるサリエルの部下である天使のうち、執事、庶務、メイドを除く警護や雑務を担っている人員が200名いる訳だが、その中の100名程は主に庭の管理や農作業に従事している。
残りの100名は警護、パトロールを行なっていたのだが、雄二により21世紀でも実現不可能なセキュリティ&防衛一元管理システムが確立されており、警備用ロボットまでもが数百体配備されているので実際は半数で事足りている現状なのだ。
更に雄二が作業能率を飛躍的に上げるこれまたオーバーテクノロジーな道具や機器を次々と創ってしまったので農作業なども頗る捗ってしまうので暇を持て余している者さえ出ていたのだ。
こうして各施設の担当が決められていき、同時に雄二によって運営管理に必要なノウハウと知識が一斉に伝授され、有事の時の対処方法も丁寧に教えていった。
午前中いっぱいの時間をかけて各施設の運営管理に関する準備を整えると同時に午後からの運営開始準備をしていくのであった。
尚、雄二が嫁達の要望に応えて創っていったこれらの施設は無論、雄二達家族専用なので、雄二達以外は利用者はいない。よって雄二達が不在の時や利用しない時は各施設のメンテナンスを行う傍ら、雄二が敷地内の地下に創ったダンジョンに潜ったり、海で漁をしたりして割と自由に過ごせる事になっている。
このように施設の運用開始に向け雄二が動いている間、嫁達はというとこれも雄二が敷地地下の一部に即興で創ったトロッコ列車ツアーで遊んでいた。まるで某ハリウッド映画『インディー○ョーンズ』に出てきそうな地下迷路である。
まさかこんなモノまで創ってしまうとはっ!…嫁らは皆、一様に呆れかえるやらなんやらで乾いた笑いを浮かべるだけだった。
昼食後、雄二は嫁達と一緒に動植物園の入り口に来ている。
「ほな、今日は動物園、植物園、水族館を試験的に見てもらうからっ!問題点とか気が付いた点があったら後で教えてな?」
「えっ?もう動物さん、いるですぅ~?」
ルーシェがオメメキラキラさせて尋ねてくる。
「昼飯前に全部集めといたから大丈夫やでっ♪」
とサムズアップする雄二に抱き着いてキャッキャッ喜んでいる。
「俺は今から私有地以外の帝都の設計に着手する。どうやら近いうちに新しい住民が来るみたいやからな。」
ルーシェを地面に下ろしながらそう伝える。
デュオンも嫁達と一緒に巡る事を勧めて雄二は一人だけ皆と離れ、私有地の外に向かった。
そこに広がるのは何も手が加えられていない平地。ところどころ雑草が生えている。
帝都として割り振ったのは約40万㎢の土地。まずはそれを囲うように帝都の北 東 西各三方境界線上の土壌を盛り上げ、高さ10mくらいの壁を形成する。南の一部分は海(内海)に面しているそこも数㎞沖に結界を施す。許可なき者は侵入不可である。海に面していない南の境界線にも壁を生成する。
次に数か所、壁に通用門を設置する。その通用門を貫いた道を舗装して行き、帝都全域まで張り巡らせる。この通用門もセンサーが設定してあり、悪意がある者の侵入を防ぐ。
帝都平野部の1/2の地域を12区程に分割して、各区ごと独立行政機関、公共機関等東京23区を参考に構築していった。役所、公園、病院、学校、警察、裁判所、居住区、商業用施設等々全て網羅するよう立てて行った。
インフラ(電気、ガス、上下水道)ももちろん整備する。河川や湖、池なども適量散りばめる。緑も多めにし、見栄えも良くする。
自分の私有地を含んだ帝都全体の1/10の地域を特区として国の行政、司法、立法の中枢機関を建設した。
私有地には許可した者以外絶対侵入できない【絶対防御結界】が施してあるのだが、更にカムフラージュとしていかにもな雰囲気を漂わせる濃霧に包まれた山の幻影を偽装し、怪しい雰囲気を醸しだしておく。
その私有地から手前1㎞程離れた土地にはこれもカムフラージュとしてフランスのシャンボール城を彷彿させる帝城を創った。
カムフラージュと言ってもそこは雄二なのでしっかりとした豪華な城の創りになっている。
帝城そしてその前にはだだっ広い広場を創ってこれらを中央に国の中枢機能を立派な高層建築群として扇形に集約設置し、ここにも緑地公園を適当に複数設けた。ついでに移民してくる者達の一時的な宿舎、更に集会場や大聖堂も設けておく。
残りの平野部と山間部を上手く開拓して地球から模倣して創った歴史的建造物及び名所のいくつかを配置したり、動物園、遊園地、美術館、図書館、映画館、運動公園、体育館等々の教養娯楽施設を創ったり、大型複合施設、商業用地、工業用地、一般住宅用地、集合住宅用地として整地しておく。他にも念のため農業用地や原っぱも適量分散させておく。
これらの作業を雄二はいつもの【マルチタスク】による同時進行で一気に片付けてしまう。
更に雄二は手を緩めることなく、帝都以外の国内地域開拓にも着手する。
6,000万㎢という半端なくだだっ広い領地であるのだが、雄二は事も無げに作業を進めていく。
その広さは21世紀の地球でいえば、世界一広い領土のロシアからカナダ、アメリカ、中国、ブラジル、オーストラリアまでを合算した面積に匹敵する。
道路などの交通網やライフライン(インフラを含めた)を万遍なく張り巡らせ、要所要所にその地方の中心となる都市を構築していく。
これらの都市にも都市機能が充足するだけの建造物をビルドする。
もう一つ大事なモノとして各種交通拠点を整える。無論帝都も含めて。
要所要所に駅、停車場、空港、港を創造していき、そこまでのルートもキチンと整備する。
農業、工業、畜産、漁業、林業…地方によってそれぞれ特色が出るような整地を行なう。
文化水準、教育水準、生活水準なども大きな隔たりが極力出ないようにしていく。
食料、水資源、エネルギー資源、鉱物資源等も十分自給自足できるようにしなければいけない。
21世紀の地球が抱えて来た様々な問題がこの国ではなるべく起こらないよう最善策を講じていく。
とは言え、所詮人間だっ!向上心とエゴは表裏一体であるもの。
この国、もっと言えばこの『ネオアース』に転生希望の人間(魂)は篩にかけるし、ある程度は【常識改変】させてもらうつもりだ。
(あとはこんなけ広いんやから交通手段も考えんとなぁ…)
帝都だけでも日本列島より広いのだ。大まかな事案は地方都市で十分賄えるようにはするつもりだ。それでも地方都市と帝都を結ぶ輸送手段や地方同志を結ぶ交易手段は絶対必要だ。
(条件付きで転移装置とかも考えるべきかもなぁ。)
(【テレポート】をある程度使える高速鉄道、飛行機、自動車、船舶とかもいいかもなぁ。あっ!車は目的地を指定してその目的地近辺まで移動できるトンネル形式の転移装置でもええかっ!)
そう思い立った雄二は早速、試験的にトンネル形式の転移装置『ドコトン』を創ってみた。
この際だからと言うわけで自動車も雄二が若い頃『前・世界』で憧れていた車を何台か創った。
世界のTO◦OTAが誇る名車、2000○Tとかソ○ラ2800GT。
○産のフェ○レディZとかスカイ○イン2000GTR。
マ○ダのR○-7。い○ゞの117ク○ペ。
ついでに外車や二輪も何台か創造してしまう、またもやはっちゃける雄二だった。
言うまでもなくこれらも地球にあるソレを完コピしたモノである。
次回は初の一般国民受け入れです。




