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偽物でも許されたい  作者: 厚狭川五和
『種を遺す者』リーブス
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報告書091《種を遺す者》

【無形の生物】

 最初期に作り出された頃の彼は無形で存在そのものが不安定であり己の自我があるのかも分からない状態であり、それを人の理解しやすい言葉で置き換えるならば半液体生物(スライム)だった。

 ただし、通過した先から腐食したり吸収したりするような要素など存在せず生きている理由の分からない生物であり、多くの人間は目撃することはあっても不気味に思いつつも害はないと手を出さず放置することを一貫した。

 しかし、彼は何を思ったか近くを通りかかった生物の雌を襲撃し、その胎内に自ら侵入するとその生物の子として新たな肉体を持ち生まれ直した。


【種を遺す者】

 半液体生物から別の肉体を得たリーブスは再度、今度は生物の雄として雌を襲撃し強制的に新たな命を孕ませた。半液体生物だった時の細胞分裂による性質を引き継いでいたのか確実に新たな命を雌の体に宿らせることができ、絶滅寸前とされていた生物さえも彼の繁殖能力により数を劇的に増加させた。

 しかし、ある一定数を超えたからか、一定の期間を超えたからなのかリーブスはその種に固執せず別の種を探し、その雌へ同じように体液を注ぐと自らの胸を引き裂き自害した。

 リーブスが自害した後、残っていた死体は彼に孕まされた雌が補食し完全に肉体が消えたと考えられたが、その雌から産まれてきた個体は先のリーブスと同じように同種の雌を用いて次々に新しい命を産ませるような行動を取ったため死んだはずのリーブスと同様の個体であると判断された。

 彼は後にも同じように転々と種を変え、繁殖し、姿を移しを繰り返して生態系維持の要となっていた。


【主を遺す者】

 リーブスは同じ流れを繰り返したが、いつか人へと変化してしまい兵士として戦争に身を投じることとなると捨て身の戦いにより勝利すると傷ついた体で敵捕虜の雌を犯した。

 やがて彼が出血多量で意識を途絶えさせると犯されていた雌は自らの体に違和感を感じ、胎に命を宿したことを悟る。

 数ヵ月後に腹の子が外へ出るとそれは雌の同種ではなくリーブス(その時点で熊の獣人であった)が産まれてしまい、恐れた雌は自らと共にリーブスを葬ることを考えるがナイフを持った手からは力が抜けていく。それはリーブスが脆弱なタイミングで自らを産むはずの親に殺されないようにするための精神汚染であり、彼を孕んだ時点で汚染は防ぎようがなくなる。

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