報告書103《願いを届ける一等星》ミーティアス
【平凡な少女】
特に目立った性質も持たない少女、ミーティアスは吸血姫として生まれたことに誇りを持つように母親に言われて育ったが彼女自身には誇れる要素を感じることができず、いつも他人の功績を知っては憧れを抱くような生活をしていた。吸血姫として誇り高く存在することもできず、他の誰かのように終わることのない努力に時間を費やすことにすら打ち込めず、彼女は自分という存在を平均以下の少女として他の輝きの中に埋もれていくものだと勝手に決め込んでいた。
【偽りに愛される体質】
自らを平凡と言うミーティアスには他人にしか知ることのできない性質があった。それは至極単純でありながら自信のないミーティアスが自ずと気づくはずのないこと。それを彼女が初めて知ったのは親元を離れて一人で行動するようになった頃だ。吸血姫という種族の性質上、他種族の血を分け与えてもらうことで生きるしかないため、自然と異性を呼び寄せる体質ではあるが、その日出会った男は他にも吸血姫の仲間がいる中でミィを選んだ。理由は見た目と声。ただ、初めて選ばれたことにミーティアスは喜んだ。己が唯一誇れるものが見つけられたのだと自信を持てた気がした。しかし、彼女を選ぶ者達は決まって同じ言葉しか囁かず、耳元で「可愛い」と囁かれる度に彼女は自分への特別感を失っていた。無論、生きていくためには対象を選んでいる余裕はなかったミーティアスは本当の意味で選ばれた訳ではないと知りつつ受け入れ、偽りの愛を持って皆を誘惑するアイドルになった。自身を「ミィちゃん」と呼び、他人にも強要する。
【願いを届ける一等星】
ミーティアスの持つ権能の性質は『願いを叶える』ことにある。自分も他の者のように特別になりたい。みんなに愛されるアイドルでいたい。応援してくれるファンを喜ばせてあげたい。わがままにもたくさんの願いを背負ったミーティアスに答えた娯楽好きな『夜』を司る者は彼女に願いを聞き届けるための権能を授けた。彼女の「物理的に困難ではない願いを現実にする」力は、生まれた頃から抱えている障害でなければどんなに劣悪な状態からでも元通りに完治させることができ、世界に一つだけしか存在しない等の特殊な条件を持つものでもない限りは「お取り寄せ」して手元に呼び出すことができる。逆に存在するものを消したり、健常な者の体の一部を欠損させたり命を奪うなどの事象を引き起こすことも可能だが、ミーティアスはそれだけはしないと堅く誓っている。自分が輝けるのは他人の輝きに照らしてもらえるおかげだと信じているため強い輝きを持つ者に惹かれる。また、自分を他とは違う特別な扱い方をしてくれる者には無条件に心を開いてしまう。




