何が「まともに機能する」目的なのか
B:あとやっぱ、「オタライフの充実を目指す」は目的として使いにくいなと思いはじめてる
A:どこらへんが?
B:目的そのものが特殊なので、読者の共感を得やすいようにするよりは、なんていうか、キャラ立ちのための要素という感じ。読者に入り込んでもらうための目的は、もっと簡単なもののほうがいい。少なくともなろう小説では
A:まあ、ショートSFとかだったらもっと別の展開とかできるかもしれませんけどね
B:「犯人を探す」「女の子を守る」「敵を倒す」とか、そういうことのほうが目的として、物語の中で機能させやすいよね
A:まあ、説明が短くてすみますからね。ただ、そういった端的な目的は、どこの物語にでもあるようなことなので、物語の「魅力」にはならないですよね
B:そこで設定か、キャラ?何がいいんだろ。
A:書きやすいのはどっち?
B:うーん。話まわすだけだったらキャラじゃないの?
A:まあ、設定を延々と語られても困りますからね。
B:たださ、あれなんだよね。こういうキャラを登場させたいっていうモチベーションがないんだよね。オホホ令嬢とか、無口美少女とか、正直なところ書きたいという欲求がない
A:そりゃまあ、そうでしょうね。どういうキャラを書きたい?
B:なんか、やばい感じのひと。範馬勇次郎。
A:いや、それ、読むのは面白いかもしれないけど、書けるの?楽しく書ける?
B:正直なところ、キャラ造形的に書いてて楽しそうだと思うのはバルザックの小説の登場人物とかのほうが、書きやすそうな気はする。ああいう、多面性のあるキャラが長いセリフを喋っているのとか、個人的にはラク
A:いや、でも、それはラノベと違うでしょ……。そして、あの手の小説は昨今のエンタメ小説と比べると、登場人物の目的がどこにあるかが明示されない小説だから、読み手にとって親切でもないでしょ。
B:確かに。多面的な人物像って、まあリアルな人間描写にはなるかもしれないけど、エンタメ・ストーリーとしての輪郭がぼやけるわな。たぶん、俺が普通に書いてしまうと、そこがボケるんだわ
A:そこのボケてない話をやりたいわけでしょ
B:そうそう。普通に書くとボケるから。どうもね、やっぱ、自分が素人だと思うのは、設定、キャラクター、リアリティみたいなところには注目しがちなんだけど、エンタメとしての物語に養成される展開の骨格と意外性の絡ませ方とかをわかってないんだな、ということがよくわかった。
A:よかったじゃん。
B:そう。よかった。これがわかりかいがために書いてみたわけだから。
A:もう何作か、エンタメとしては、クソみたいな話書いたらいいんじゃないの?
B:そう、そう。そしたら、骨格の作り方のセンスみたいのが、も少し見えてくる気がするわ。




