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N. E. O. S  作者: オルトマン
CODE:N.E.O.S
72/72

生存競争

あと2話くらいで終わりにします。

「座標をシャンバラへ」

 通信制御室でエクスシスが衛星グングニールの照準をシャンバラへと移す。制御室のモニターに巨大な円形所のRAS秘匿研究所シャンバラが映し出される。そこから数キロ照準を移すと、そこへと向かうエリー達が見える。


「……頼んだぞ、皆。」

 彼は祈るようにそう呟いた。



「思った以上にでかいわね…。」

 目標地点のシャンバラに到着したエリーの開口一番のセリフがそれだった。彼女はその巨大さに感心しながら、辺りを眺めていた。


「エリー!警戒を怠るなよ。ここは敵の本拠地だ。」

「分かってるって…うるさいなぁ!」

 アランの最もな指摘に若干彼女はイラつく。


「それにしても、道中でリリンたちに遭遇しなかったのは幸いだったな。無駄に体力を消耗せずにここまでこれたのは僥倖です。」

「そうですね…でも、私たちだけでギルバードを倒すことができるのか…心配です。」

 セブンスにそう告げるルナ。彼女は胸の内では興奮しつつも、やはり、その不安は付きまとっていた。


「こちらには“三天使の護符”があります。リリン上位種に効くならば、必ず、あの人にも効くはず。ジェイドとアンバーがそのウイルス弾を持っています。」

 シャンバラから2km離れた先の崩壊したビルの上から、ウイルス弾を装填したスナイパーライフルをジェイドが構えている。


「ジェイドの腕は超が付くほどの一流です。それに加えて、アンバーの補助もついている。必ず、上手くやってくれるはずですよ。」

 彼は真剣な表情でそう口にする。その腕を実際に見てきた彼の発言には説得力があり、彼女の不安を少し取り除く。


「…期待しています。」

 彼らはシャンバラの敷地内へと足を踏み入れる。円形の屋根が太陽の光を遮っているため影が伸びており、ほんのりと気温が下がる。ルナが肌寒さを覚えたと同時に冷たい殺気が背筋に走る。


「まさか、ここを嗅ぎつけるとは…」

「!?」

 屋根から黒い影が彼らの近くに落ちてきた。


「ギルバード…!!」

「人類側の主戦力がここに集結するとは…偶然ではあるまいに。」

 彼らは銃口を構える。場に緊張が走る。彼はこの状況を少し考えようとしたが、すぐにそれを止めてしまう。


「まあ、いい…理由はどうであれ、ここで君らを処分すれば最後の希望の芽も潰えるだろう。そうすれば、ホモ・エクスシスの勝利は確実たるものになる。」

 彼は不敵な笑みを浮かべる。


「幾つか候補を立てていましたが…まさか、このシャンバラが本当に貴方の根城だとは。」

 セブンスが彼に言い放つ。


「候補だと?」

「政府要人らの決定で、貴方の抹殺が第1優先となりました。全ての元凶たる貴方を消せば、我々の中に潜んでいる身中の虫を気にする必要もなくなり、地上の奪還に注視することができると。」

「ほう…。」

「以前の邂逅から、我々の本部からそう遠くはない位置に身を潜めていることは予想していました。だから、貴方と関連深い施設を候補に立て、その最初にここを目標にしたということですよ、長官。」

 彼は悟られぬよう真実を混ぜながら、表情を崩さずにそう説明する。彼はそう説明するセブンスに追及はしてみたかったものの、ここまで来たからにはその理由などどうでもいいと考え、深く詮索することはしなかった。


『上手く躱せたのかは分からないが、ジェイドとアンバーは悟らせるな。』

「分かっています。」

 エクスシスからの応答にアランは小声で返す。


「今回は以前の様にはいかない。さて、今日が君らの命日となるが…何か言い残すことはあるかね?」

 挑発するように彼は言い放つ。


「調子乗りやがって…!お望み通りぶっ飛ばして…!」

「貴方は…。」

「ん?」

「貴方は心が痛まないんですか…?世界を…たくさんの人たちの生活を、大切な人たちを奪って…!」

 食って掛かろうとしたエリーを差し置き、ルナが彼に言い放った。


「ルナ…。」

 彼女の顔は激しい怒りと悲しみに満ちていた。そんな彼女の発言を聞いた彼は、それを一蹴するかのように鼻で笑う。


「面白いことを言うな。…ならば逆に問うが、君たち人間は他の動植物たちの住処を奪い、時に絶滅に追いやってきたが、それに対して心を痛めたことがあるのか?彼らの生活を、大切な家族を奪い、虐殺してきたことに。」

「何を…。」

「いや、考えてきたこともないだろう。所詮彼らは同族ですらない、人間にとっては下等な存在だ。彼らの悲痛な声も訴えも、例え聞こえたとしてもそれに構うことはないだろうな。だが、それは別に悪いことではない。繁栄のための致し方のないことだ。弱肉強食、自然の摂理…悠久の時から続く、この星の営みの延長に過ぎない。」

「あ…貴方は何を、何を言いたいの!?」

 狼狽する彼女に彼は嘲笑の笑みを浮かべて続ける。


「つまり、だ…人…ホモ・サピエンスではないこの私が…我が種の繁栄のために、君らの種族を滅ぼして何が悪い?君の家族を殺して、何が悪い?」

 その挑発的で直球な発言に、流石のルナも頭に血が上る。彼女がまさに行動しようとした時に、アランがそれを制止する。


「挑発に乗るな…奴の思うつぼだ。」

「…!でも…!」

「家族の無念を晴らせないぞ。」

「…!」

 彼に諭されたルナは深呼吸して気持ちを落ち着かせる。


「ギルバード…お前の言い分も確かにわかるが、だからと言って、俺たちが抵抗をしてはいけない理由もない。暴力には暴力で対抗する。それはお前も否定はできない。」

 彼はギルバードにそう答える。


「ハハハハハ!!綺麗ごともない、中々いい答えじゃないか!!短絡的な考えではあるが、正直、嫌いではない。」

「そう言っていただけると光栄ですよ、元長官殿。俺はアンタのことは嫌いだがね?たかだか、ガキ一人のためにここまで落ちる奴なんてな?」

「……なに?」

 明らかに不機嫌そうな表情をして、彼はアランを睨みつける。


「殺されたガキはカオリとか言ったか?笑えるぜ。RAS…世界トップ機関の1つ、その長官殿がどこの馬の骨とも知らねえガキを心の拠り所にしていたなんてなぁ。全く、情けない話だぜ。」

「……貴様…!」

 彼は青筋を立て、アランを睨みつけていた。


「そう怒るなよ、長官殿?アンタはさっき言っていただろう、弱肉強食…自然の摂理と、な?アンタの言葉を借りれば、その死んだガキが弱かっただけだ。」

 彼は捲し立てるように挑発を続ける。ギルバードの表情はますます強張り、その焦点がアランへと集中していた。内容が内容なだけに、何時もの冷静さや余裕が失われているようであった。


「…そんなに死にたいなら、今すぐ…!」

 彼が前へと身を乗り出した時、体に衝撃が走る。


「…がっ!!?」

 彼の右胸の部分にジェイドが放ったウイルス弾が命中した。


『着弾確認!セブンス!』

「了解。よくやった。」

 セブンスはギルバードの行動に注視しており、彼が隙をさらしたその時にアンバーにサインを送っていた。ギルバードは右胸を押さえながら、不敵に鼻で笑う。


「フ…なるほど…これが狙いだったのか。しかし、何も学ばない奴らだ。この程度の一撃で私に深手をあた……?」

 彼は右胸に打ち込まれた銃弾を取り出す。それは特殊な形状をしており、内部に何かが入っていたようだった。


「…何をした?」

 彼がそれを見ながらそう口にした瞬間、エリーが高速移動で背後に詰め寄りブレードで切りかかる。それに勘付いた彼はシールドを形成して、彼女の強襲を防ぐ。


「ちぃい!!」

「さっきから、不意打ちばかりだな?最初は通してしまったが…これからはないぞ。」

 そのまま、シールドで彼女のブレードを押し返す。


「クソ…!」

(ウイルスが効いていない!?)

(…いや、その判断は尚早だ。効果が表れるのに時間がかかっているだけかもしれない。)

 先ほどの光景を見たルナにセブンスがそう零す。


「覚悟を決める時だな…。行くぞぉ!!ギルバード!!!」

 アランは怒号を上げ、ギルバードに向ってアサルトライフルを発砲する。


「無駄だ。」

 彼は再びシールドを展開し、銃弾をすべて防ぐ。


「ルナ!!」

 アランの合図でルナは強力な電撃をシールドに向かって放つ。放たれた電撃はシールドを一瞬にして砕いたものの、それが届く瞬間にギルバードはその場から大きく距離を取った。


「君を先に始末すれば、だいぶ楽になるな。」

 彼はルナに注視し、彼女に焦点を定める。彼が今まさに攻撃に転じようとした時、セブンスが彼に切りかかる。


「とろい!」

 彼の攻撃はすぐに防がれ、黒い触手が彼の体を貫く。


「グッ…!!クソ…!」

「終わりにしようか、セブンス。私と同程度の再生能力を持つ君でも、頭を潰せばそれで終いだ。」

 もう一本の触手が彼の体から伸び、その鋭い切っ先が彼の眼前へと定まる。


「死ね。」

「!…セブンス!ジェイド!」

「任せて!」

 ジェイドがギルバードに照準を合わせて、数発発砲する。しかし、それを読んでいたかのように、その全てをシールドで弾き返す。


「馬鹿が…。同じ手が通用…」

 ジェイドの攻撃に合わせて、エリーとアランもそれに加わる。


「ちゃちな手だ。」

 彼はそう言って、さらに触手を伸ばし彼らを振り払う。


「化け物が…!!」

「フン…ほざいていろ、旧人類が。このまま、何もできずに君らはここで死ぬ。そして、その後は君らの根城を落とす。…女子供だろうが…老いも若いも、一人残らず皆殺しだ。」

「まだ、終わっていない!」

 セブンスは右腕を変異させ、鋭い鉤爪を彼へと勢いよく伸ばす。しかし、すぐにそれは防がれ、右腕ごと切り落とされる。


「ぐうぅう…!!」

「彼岸でエクセルサスの世界を眺めてるといい。」

「マズい!!」

「アランさん、エリーさんどいて!!!」

 ルナがそう叫ぶと同時に、ギルバードに向って再度電撃を放つ。電撃は伏せた二人の頭上を勢いよく走り、ギルバードに向けて直進する。それを確認した彼は呆れた表情で言い放つ。


「ワンパターンだな?間抜けな小娘が…。シールド1枚で無理なら、増やせばいいだけだ。」

 向かってくるルナの電撃に対して、彼は複数のシールドを重ねて展開する。


「そんな…!?」

「さぁ、処刑の続きを…」

 そうして、セブンスにとどめを刺そうと触手に力を込めた時、体に強烈な違和感を覚える。まるで体の全身から血を抜かれるような、無力感が彼を覆いこんだ。それと同時に、意図していないにもかかわらず展開したシールドがすべて崩壊し、ルナの放った電撃が彼に直撃した。


「な…!!?…バ…カな!!??」

 その衝撃で彼は吹き飛ばされ、セブンスを貫いていた触手も千切れ飛んだ。あまりに強大な電流に彼は数十メートル離れていた研究所の壁へと激突する。


「ウイルスが効き始めた…?」

 セブンスは貫かれた部分を押さえながら立ち上がる。


「やったぜ!!効果ありってやつだ!!一時はどうなるかと思ったぜ。」

「これからは私たちのターンってわけね!」

 アランとエリーの表情が目に見えて明るくなる。


「こ…これは…か、体が…。」

 フラフラとギルバードは立ちあがる。今も継続して体に力が入らず、ルナの電撃で焦がされた皮膚や千切れた触手の再生は始まっていないようで、新たな触手や組織の変形もできなくなっていた。朦朧とする意識の中で、彼は先に打たれた銃弾を思い出した。


「まさか…あれはエクセルサスの能力を封じる…。馬鹿な…!!この短時間に不可能だ。…なぜ成せた!?」

 彼はアラン達を睨みつける。


「大分効いているようだな、長官殿?その様子じゃあ、さっきの様な力は使えないようだ。」

「形勢逆転って感じね!今までの分、100倍にして返してあげるわ!覚悟しなさい!」

 アランとエリーは武器を構えてにじり寄るが、それをセブンスが制止する。


「最後まで油断は禁物です。ここで、確実に仕留める…ルナ!」

「ちぇっ…つまんないの。」

 エリーはそう吐き捨てて、渋々武器をしまい込んだ。それを見たアランは呆れた表情で一瞥し、彼に照準を合わせ続ける。ルナはセブンスに目を合わせて頷き、右手をギルバードへと向け、力を集中する。


「おのれぇえ…!!こんなことがぁ…旧人類如きが、新人類を……この私を…倒すなどとぉおお……!!」

 怒りに満ちた表情を彼らに向ける。しかし、それに怖気づくことなくルナは止めを刺すために溜めた力を解放する。

 ルナの放った雷に、なす術なく打たれ焼き焦がれるギルバード。そんな光景が彼女の脳裏に湧き起り、復讐心が満たされていくのを感じた。しかし、それは直ぐに裏切られる。


「なめるな!!!」

 彼の前に複数のシールドが形成され、ルナの電撃を防ぐ。


「な!?」

「グッ…が…はあぁあ!!」

 彼の体の一部が崩壊し、体液がこぼれ出る。限界を超えた力を出したため、体の組織が溶解しだしていた。


「まだ能力を…!?いや、体が溶解している…限度を超えた力を使っているのか!?」

「しぶとい野郎だ!!」

 アランは直ぐに彼に向けて発砲する。その銃撃を高速移動で躱し、一瞬にしてアランに詰め寄った彼は崩壊した部分から体液をまき散らしながら、新たに生やした触手でその体を貫こうとする。


(こいつ…!!まだ…こんなに動けやがるのか!?)

 触手が彼の体を貫く瞬間、エリーが間に入ってそれを切り落とす。


「抵抗してんじゃないわよ、この死にぞこな…」

 そのまま反撃に転じようとする彼女だったが、ギルバードは変異した右腕で畳みかけるように押し切ろうとする。


「嘘でしょ!?」

「二人まとめてぶち抜いて…!!」

 銃声が響き、ギルバードのこめかみに銃弾が命中する。


「着弾確認!ジェイド!」

「任せて。」

 ジェイドはもう一発、彼に向って発砲する。銃弾は体に命中し、彼は大きく後方へと体勢を崩す。


「が…あああああ…!!お、おのれぇえええ!!」

 ウイルス兵器の効果もあり、明らかに満身創痍にも見えるのだが、それでも彼は抵抗を止めようとはしなかった。


「ここまでやっても、死なないなんて…。」

「……一筋縄ではいかないようだな。…アンバー。」

 セブンスはアンバーにサインを送る。


『うん…能力を使っているときに、体の胸のあたりで高い熱量が感知できてる。ジェイドなら、命中させることはできるかもだけど…。あの話が本当なら、それで仕留められるかどうか…。』

「分かった……こちらでやるしかないようだな。私が切り込む…皆、援護を頼む!」

 セブンスはそう叫んで、ギルバードへと突進する。


「了―解…!!」

 彼のその行動に一同は覚悟を決め、行動へと移す。


「この私の姿を見て…調子づいたか!?この状態でも貴様らを殺すのはたやすいことを!!!その身をもって知らせてやろう!!!」

(それは分かっています。勝負は一瞬…ここで決めなければ…。)

 ギルバードは複数の触手を生やして、彼を待ち受ける。ウイルスの効果へと抵抗するために、過度の力を要している彼には最早、目の前の敵を排除すること以外に考えが及んでおらず、彼らの思惑に気を巡らせる余裕はなかった。




「――つまり、そのコアとやらを潰してしまえば…エクセルサスを殺せると?」

 アランが訝しげにそうエクスシスに訊ねる。


「ああ、RAS前長官のスコールランドの資料とエリー、そして、シャハラの発言からその可能性は非常に高い。」

「しかしですね…」

 納得できない様子の彼にエリーはからかうように言い放つ。


「全く、頭のお堅いことね~。リリンっていうあり得ない生物がいるのに、受け入れられないなんて意味わかんない。」

「…それはどうも、利口なエリーさん。」

 彼は苦笑いして嫌味を返す。


「そのコアってどこにあるんですか?」

 ルナがもっともらしい質問をする。


「普段は活性化しておらず、ハッキリとした形を成していない。それは力を使用するときに活性化し、莫大なエネルギーを供給すると…。それが本当なら、サーモで検知することは可能だが…先ほども話した通り重要な器官だ。それは形を成した時に、強靭な組織で覆われているようだ。」

「人間の心臓もそのような工夫をしてくれればいいんですがね?」

 アランは冗談交じりにそう呟き、続ける。


「サーモで感知できるのであれば、その装備をつければいいということですね?確か、サーモバイザーなら数点あったはず…。」

「そんな装備をしていれば、あの人にこちらの狙いがばれてしまいます。」

 セブンスが彼に反論する。


「こちらの情報を悟られるのは、大きな支障を生んでしまいます。あくまで、我々は偶然にも彼を見つけてしまったという体で話を進めなくては…。」

「セブンスの言う通り…こちらの手の内を奴に悟らせるわけにはいかない。ウイルス兵器“三天使の護符”、グングニール…そして、このことも。」

 エクスシスは立ち上がり、窓の外を眺める。


「“三天使の護符”が上位種の様に効けば、奴は無力になる。そうなれば、ルナの能力で安全にコアごと焼き焦がせばいい。だが、そうでなかった場合、直接対決でケリをつける必要がある。正直なところ、その状況に陥れば、君らに勝ち目はないと思っている。」

 彼は重い表情をしながら、振り返る。


「もし、君らが全滅の窮地に追い込まれた場合…私の判断でグングニールを起動させる。流石の奴も、これを防ぐことはできないが…それは君らにとってもそうだ。そうならないように、祈っているよ。」




(―“三天使の護符”の影響でエクセルサスの能力を使用するのに、過剰なエネルギーを使っている。…そのエネルギーを補うために、コアは常に活性化しているはず。)

「死ねい!!セブンス!!!」

 複数の黒い触手が彼の体を貫かんと一斉に向かってくる。


「させるかよ!!」

 アランはその触手めがけて発砲し、次々と撃ち落していくが、撃ち漏らした数本がセブンスに襲い掛かる。


「ジェイド!」

「任せて…!」

 彼の体に直撃する寸前で、ジェイドの遠距離攻撃がそれを防ぐ。


「小癪な…!!」

 そして、十分に距離を詰めたセブンスは右腕を鋭い刀のように変形させ、ギルバードに振りかぶる。しかし、それはシールドで受け流され、セブンスは体勢を崩してしまう。


「残念だったなぁ!!」

「それはこっちのセリフよ!」

「!?」

 その後ろからエリーが現れ、彼の胸部を大きくブレードで切り裂く。切り裂かれたその部分には黒い触手で覆われた、紅いコアの一部が露出していた。


「…エリー…貴様ぁあああ!!!」

「じゃあねー。」

 エリーへと注意を向ける彼に対して、彼女はセブンスの襟をつかみ、高速移動で目の前から退避する。彼女たちが彼の眼前から消えた瞬間、電撃を放つルナの姿が目に入る。そして、その狙いが胸部から露出しているコアであることに気付く。


「まさか…最初から、これを狙って……!?馬鹿な…なぜだ!?」

 彼が狼狽するや否やルナの電撃がコア目がけて猛スピードで直進する。彼はそれに対して力を振り絞り、シールドを形成し防ごうとする。しかし、それは不安定だったのか一瞬にして破壊され、露出したコアに強力な電撃が直撃した。


「がっ…ああああああああああ!!!!!!」

 コアに電撃が直撃した瞬間、絶叫と共に一部の電撃が上方へと飛んでいき、研究所の屋根へと激突する。屋根は先の大戦により損傷していたようで、電撃が直撃した衝撃で脆くなっていた部分に亀裂が走り、その大きな一部がギルバード目がけて崩落する。彼は何かしらの抵抗をしようと腕を伸ばすが、何かをする前に崩落した大きな瓦礫に押しつぶされた。辺りに砂ぼこりが舞い、それが落ち着くとセブンス達の前には巨大な瓦礫の山が現れる。


「……終わったか。」

 セブンスは瓦礫を前にそう呟く。


「死体を見るまで断定するなと言いたいところだが…」

 アランは彼にそう言いながら、瓦礫の山を眺める。


「この瓦礫をどかすのは相当骨が折れる。」

 その時、本部のエクスシスから連絡が届く。


『遂にやったのだな…。』

「ですが…まだ、断定はできません。」

 アランは率直な意見を言う。


『その懸念点は理解できるが、時間を無駄にすることはできない。奴がその研究所で何をしていたかを突き止める必要もある。』

 エクスシスはローズに目で指示を出す。


『シャンバラに追加で部隊を派遣する。事の始末は彼らに任せ、君らはシャンバラの調査、ジェイドとアンバーは現場の監視だ。』

「了解しました。ジェイド、アンバー。私たちはこれからシャンバラの内部調査を行う。君らはこのギルバードが下敷きになった瓦礫の監視を頼む。何か異変があればすぐに連絡をしてくれ。」

『了解、セブンス。』

 指示を受けたジェイドとアンバーはその場にとどまり、監視を開始する。


「果たして、鬼が出るか蛇が出るか…。」

 セブンスたちはシャンバラの内部へと進んでいく。


「……やったよ…お父さん…お母さん。」

 ルナは崩落した瓦礫の前で暫し、目を閉じ復讐を果たせた余韻に浸る。


「ルナ―?どうしたの、早く行くよ?」

 瓦礫の前で立ち尽くす彼女に気付いたエリーが声をかける。それにハッと気づいた彼女は、表情を取り作りエリーの下へと駆けていく。


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