悲しい一人の時間
いつだって私は、一人で揺られている。
いや、揺れてはいないのかもしれない。この最高速度300km/hの箱は、静かに君への距離を狭めたり広げたりする。
一人は寂しい。
こんな時間も、君の隣にいられたらと思う。どうして君はいないのだろう。当然のことだ、君はそこで待っていて、きみはそこで見送ってくれるから。
絶対に、一緒に居られない時間。
隣には、見知らぬ誰かが座っていたり、いなかったり、寝てたり仕事してたり。
私も目を閉じて眠ってみようかな。スマフォを鞄にしまって重たい頭を背もたれに預けてみる。結局、高まる鼓動か寝過ごす恐怖のせいで満足に眠れやしなかった。
君と一緒なら、寝過ごしてもいい。いっそ終電なんかなくなって、困ったなって顔を見合わせ、駅で言葉を交わしながら一夜を明かすのも、良いと思ってしまう。
鈍行に揺られ、ふと目が覚めた時、君の頭が私の肩に乗っていた。はっとする、降りる駅。私の最寄り。慌てて立ち上がり君を急かす。私一人、必要以上に動揺してる。よく考えたら、終点なんだから平気なはずだ。
この最高速度300km/hの箱の中、思い出して胸が締め付けられた。
君の手が、声が、体温が、全てが足りない、足りないんだ。
耳元で囁く二文字、甘えた瞳、たまに強気な態度、君はすべて分かっててやってるんでしょう。
でも、本当は迷ってる、戸惑っている。どこまでしていいのか、どこまで触れていいのか。
お互い、この関係が崩れてしまうことに怯え、必要以上の口約束を交わし、縛られ、縛りたいと思っている。
冗談から始まったようで、本当はずっと冗談を盾に本音を隠していただけ。だから、遠回りし続けた。鈍感で大胆な二人。
魔法がなければ、ずっといい友達のまま、苦しいままだった。
怖くなる。あのままだったら、私たちはいつか別の誰かと、そしていつか関係すらも無に還るのかと。
どうかお願い、離さないで。
書いたのは一年近く前だと思います。なんだか恥ずかしくてずっとメモ帳にいれたままたまに読み返してました。
当時の気持ちを思い出すとなんだかむず痒いです。この時はこんなだったかーとか、そんな思いやったんやーとか、言葉にして残しておくと思い出せていいですね。
今でも毎回色々思うし言葉は溢れてくるんですけど、疲れちゃってその場で書けなくて、諦めちゃうんですよね。
思い返すと独りよがりで恥ずかしいことばっかですけど、やっぱりちゃんと書こうかな。また投稿は気が向いたらになりそうですけど。
そんなわけで、何時ぞやに東京行きの新幹線で書いたエッセイ的なものでした。お題とかありません。前話の後書きなんてなかった。
それでは、また。
2018年4月18日水曜日 春風 優華