モテる男の悩み
飯塚家の隆志の部屋。
健司狭いスペースの椅子に座り隆志に話しかけていた。
健司「どうだった?」
隆志「どうって?」
健司「その、転校生」
隆志「ああ、お前目当てだぞ絶対」
隆志はノートにシャーペンでコンペに出すべくひたすら案を描き続けていた。
健司「辞めそうかい?」
隆志「知らん」
健司「コンペ前の隆志といたらやめると思ったんだけど」
隆志「俺そんなにか?」
健司「自覚がないのは凄いよ」
健司「コンペなんて審査員の好き嫌いで左右されるんだし、琴咲さんにそんなに勝ち負けに執着してなくてもいいんじゃない?それに君はもう、絵を仕事としてやってるじゃないか」
隆志「そういう問題じゃねーんだよ」
健司「真剣なのはいいけど、またイライラしてるのバレバレだよ」
隆志のシャーペンが止める。
そしてシャーペンを置いた。
隆志「す、すまん」
健司「いいよ、でも、変わったね、この部屋も画材がないとか」
隆志「全部取り上げられた。夜は仕事部屋開けてくれねーし」
健司「言っとくけど自分のせいだからね」
隆志「わかってるよ、それで明日もサボんのか?部活」
健司「話逸らしたね、まあ、そうだね、いくよ」
隆志「知り合いなのか?」
健司「まあね、覚えていない?小学校の時同じクラスだった」
隆志「知らん」
健司「だと思った。親が県外に行くって転校した子なんだけどね、多分帰ってきたのかな?」
隆志「お前のことが小学校から好きだったってことか?」
健司「自意識過剰って言われてもだけど、多分そう」
隆志「お前の場合は事実だもんな」
健司「せっかく、ある程度の子フッて落ち着いたのに」
隆志「モテる男はつらいな」
健司「はあ」
健司は深いため息をついた。