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こんな美術部も悪くはない  作者: 利
美術部
2/7

美少女参上

2学期が始まってもう2週間になる。

クラスにできるグループがより一層わかりやすくなる頃だ。キャッキャと騒ぐ明るいグループ、リア充や運動ができる奴が集まったイケてるグループ、オタクグループ、様々なグループがもうできている。


そして、このクラスで一番目立つグループがある。数人の女子で構成されていて、中には別のクラスの女子、中には上の学年の女子もいる。この学校だ未だイケメンを図太く諦めない女子達が集まっているのだ。その全てがトップカーストの女子達なだけあってその容姿のレベルは高い、元美術部の何人かいるそうだ。彼女たちは黄色い声で談笑しながら、ある一人の男を狙っている。

この学校最強のイケメン、そして俺の幼馴染の加代健司だ。


俺から見える健司はそれとなく彼女達の会話を返しているが、おそらく、うざいなこのくそアマ共と思いながら愛想笑いをしているのだろう。


チャイムが鳴り、イケメン狙いの女子達は各クラスへ帰っていく。

解放された席に戻るクラスメイト達に謝る健司。謝られたクラスメイトも、いいよいいよ、いつものことだし、気にしないで、と言葉を返し、嫌な顔せずに席に座っていく


彼は別にこのクラスの男子には嫌われてはいない(一部を除いて)こうやって、席を女子達が奪ったこと、いつも謝ったりしているし、何よりも人柄がいい。大変だねと同情するクラスメイトも少なくない。それに、一学期に比べればましな方だ。一学期前半はそれ以上の女子が集まり、廊下まで押しやられたこともある。

そう、もうこのクラスの人間は、ラブコメ的な日常にもう慣れているのだ。


担任の先生が入ってくる。美術部の担任でもある。小池撤兵先生だ。どこか似た名前の俳優とは違いオッサン臭が強い35歳独身だ。


日直「起立、礼、着席」


皆が挨拶をしホームルームが始まる。


担任「はい、今日は転校生が来ることになりました。皆仲良くするように。あー特に男子は騒がないように


担任「藤井、いいぞ」


先生の発言の後、教室のドアが開き、女子が入ってくる。


入ってきた美少女に教室はどよめく


黒板に自分の名を描き自己紹介を始める。


隆志(字丸いな)


美少女「今日からこの薄山高校に転校して来ました、藤井槙乃です。まだ、ここに来て日も浅くて判らない事だらけなのですが、宜しくお願いします」


丁寧にあいさつをする美少女、藤井槙乃


案の定一部の男子が盛り上がり、テンションは収まり切れずガヤガヤと騒ぎ始める。


担任「俺は騒ぐなって言ったぞー、えーとうるさいのは、田中、佐藤、とあとは・・・・」


冷静に担任はうるさい男子を成績簿に書いていく。自分の成績が下がっていくことに気付かない男子は未だに盛り上がる。


そんな中、美少女の目線は一つに集中していた。・・・イケメン健司か

その視線に気づいた健司は、困った顔で、俺を方を向く。

俺は彼がまためんどくさいことに巻き込まれるんだろうなと予想し、親指を立て(ドンマイ)と彼に同情の念を送った。


担任「すまんな、ベタな野郎どもで、後ろの空いた席に座ってくれ」


担任小池先生がが指示した席は、席の最後尾、まだ名前もないキャラA君の隣だ。A君は必死に隠しているんだろうが、嬉しくて興奮しているのがまるわかりである。


俺は廊下側の端、前から3番目の席、イケメン健司は真ん中の前から2番目の席、漫画のように彼の隣にはなれないらしい、イケメンの右隣は男子B、左は漫研部の腐女子に取られていた。


槙乃「すみません先生、私視力良くなくて、できれば前の方がいいんですが、できれば真ん中あたりの」


眼鏡かけろよ・・・・

まさかこの女早速イケメンの近場狙ってんのか


なんだか残念そうなA君が可哀そうだ。


担任「そうか、悪かったな、でもいきなり一番前は緊張するよな」


有紗「は、はい!」


小池先生がニタっと笑いイケメンに目線を移す。


担任「B、お前視力いいか?」


B「あ、はい、まあ程々」


何かを察したのかイケメンの顔が強張り、担任にそれはやめてと無言で念を送る。それをニタリ顔で受け流す小池先生。

おそらく先生はイケメンが彼女を隣にしないでくれ!面倒くさいことにはなりたくない!と思っているのも知っているだろう。先生はそれをわかっていてこうしているのだ。


必死に念を送るイケメン、席に行けるのがうれしいのか特に反応のないB君、ニタニタと笑みが増す小池先生、イケメンの隣に行けるのが楽しいのか、まんざらでもなさそうに笑みを隠そうとする槙乃


そして、判決を下そうと小池撤兵の口が開く。





担任「そういや、加代の方が視力良かったな、お前後ろの席でいいか?」





槙乃「・・・は?」


担任「ん?どした?いやか?」


槙乃「いえ!そんなことは、ははは、なんか変わってもらって悪いなーって思って」


てっきりイケメンの隣に行けると思ってたのに、当の本人が後ろに行くとなり予想外だったのだろう。

美少女本人は嘘だろおい、みたいな顔に一瞬なっていた。


そして当のイケメンは、少し固まり、安心したのか気の抜けたように机に崩れ落ちる、


健司「、、、はい、わかりました」


端から見れば、美少女の隣になれず、残念で落ち込んだと見えるかもしれない。


そして、イケメンで遊んだ小池先生は唇を口にしまうような表情をしている。これはこの人が笑いを我慢している時の顔だ。


健司は立ち上がり、机の中の者を後ろの席に移動させ、安心しきった顔でその席に移った。

俺としても彼の動揺したところはなかなか面白かった。

美少女槙乃はと言うと、いかにも不満ありげな顔で元イケメンの席に座った。


B君は美少女が隣で緊張して固まっていた。


そのあとに担任が連絡事項を簡単に告げホームルームは一応無事に終わった。





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