俺TUEEE ~ 主人公を上げる為に弱体化する者達 ~
最近「なろう」の一部の小説が、主人公を「俺TUEEE」させる為に周囲のレベルを下げすぎているという話をよく見かける。
ぶっちゃけ言ってしまえば、主人公の思考やその手法は作者の能力を超えることは出来ない。理由は簡単、思いつかなかったら書けない、ただそれだけだ。
ならばどうするか? 簡単なのはとにかく主人公のステータスを引き上げることだ。数値化して表示すれば、なお分かりやすい。レベル? そんなものカンストさせておけば良い。
そしてもう一つの方法、それはある意味禁断の果実。周りのレベルを徹底的に落とす。大人だろうが知能は小学生並み。主人公が大して賢くなくても、とにかく凄いことにするのだ!
話が少し逸れるが、「週刊ストーリーランド」という、世紀末から21世紀の過渡期にやっていた番組をご存じだろうか?
色々な話をアニメ化し、なかなか面白い話も多かった。「謎の老婆」と言えば、記憶に残っている人もいるのではないだろうか?
そんな番組の中で「天狗の約束」という話があった。六左衛門という国一番に弱い侍が神通力を持つ天狗に「国で一番強い男にしてくれ」と頼む。結果、六左衛門は国で一番強い侍となり、そして侍大将まで出世する。
しかしそこには大きな落とし穴があった。態度が天狗になった六左衛門は、オレは無敵だと隣の国へと攻め込もうとする。ところが敵国よりも圧倒的な兵力を用意したにもかかわらず、結果はボロ負けしてしまったのだ。
実は六左衛門を国で一番強い男になるというのは、逆に国の男達が六左衛門よりも弱くなるということだったのだ。元々弱い六左衛門よりもさらに弱い、これでは他国との戦に勝てる道理は無い。
国へ逃げ帰った六左衛門は妻にめとった姫に、逃げ帰ったことを咎められボコボコにされる。一番強い男という願いに女は含まれていなかったのだ・・・というオチ。
「なろう」には、至る所に六左衛門がいる。それは世紀末から語り継がれた血統なのだ。
いいじゃん、素人の書く小説なんだから。