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6 約定

成り切りを頑張っているようです。

6 約定



ふっふっふっ、実は彼からプレゼントをもらったのだ(成り切りだ、成り切り・・成り切らないと・・)



竜弓 『魔導弓 洋弓・火竜の皮巻き・魔力付加』   

竜矢 『魔導矢 (ユニコーンの角・火竜の鱗)・トレント材・飛竜の翼』 

矢筒 『火竜の革製』

帽子 『火竜の革帽子』

面頬 『火竜の鱗製』  

皮鎧 『火竜の革ドレス・火竜の鱗の胸当て』

手甲 『火竜の革の腕鎧』

足鎧 『火竜の革のロングブーツ』 


弓は握りの皮を火竜のと交換しただけなんだけど、下等竜とはやはり違うのかも知れない。

矢も火竜の鱗の欠片をやじりにした火属性の矢も拵えてある。元の矢はただの矢なのでこちらが優先になった様子。

ロングブーツは職人に色々注文して拵えてもらった。だって長靴みたいになるんだもん。

後はサイズ合わせしてもらった特注品になる。


火竜の素材は爆発のショックで散乱していて、集めたけど結局魔石は見つからなかったらしい。

ただ、それらしき破片があったので、それを王家の宝物として蔵に収めたとか。

なので破片は渡せないが、せめてもの礼だと、装備一式もらったのだ。

後は素材も王家に欲しいと言われ、せめて鱗の破片はこちらにもらってやじりにした。

伝説竜討伐の褒賞として黒金貨50枚授かる・・辞退したんだけど、持っておけって・・

アイテムボックスの件は、王家の秘密としてもらさないので、安心して欲しいと言われた。


随分と惚れ込まれたものである。

やっぱり胸か、胸なんだな、このスケベ・・


     ☆


「また殺めに参ったのか、小さき者よ」

「何と言っている」

「狩りに来たのかって」

「話し合いと言ってくれ」

「聞く耳持たぬ、早々に立ち去らねば食い殺してやろうの」


『ほうこう』


「な・・そ、それは、しかしあれはもう・・」


『いかく』


「ぐぅぅぅ・・そ、それは、紛れも無く・・な、に、者」

「あいつは殺したよ」

「ま、まさか・・しかし、あれは」

「うん、受け継いだ」

「さようか・・して、話とは何じゃ」


大人しくなったので後は通訳に専念・・


《称号を開放します》


ほぇ?【ステータスオープン】なんじゃこりゃ・・


称号 魔導を身に宿し者・世界を渡りし者・紅き竜を屠りし者


こんなの見られたら終わりだ、隠せ隠せ、マスクマスク・・しかし、何だって急に。

ヘルプを見ると条件開放項目って書いてあった。つまりまだ隠れている可能性がある訳だ。

そういや賞罰は別ページになってたし・・あれ、何か増えてるぞ。いつの間に・・


(2ページ目)


賞罰 救世主(女性の救い主・国の救い主)


女性の救い主って豊胸商店かよっ・・

そりゃ確かに商会の娘さんは縁談がまとまったけどさ、あれはただの商売だろ。

マスクだ、マスク・・あれ、これ何だ。え・・簡易表示?・・ポチッ・・おおお、これは良い。


     ☆


簡素表示


ツキミ

レベル 18

HP   280/280

MP   420/420

装備 弓・矢・矢筒・帽子・面頬・皮鎧・手甲・足鎧・腕輪


スキル

生活魔法

土魔法【4】

水魔法【16】


称号

賞罰


     ☆


もっと早く気付けよな、オレ・・


てか、全部表示だから2ページ目に賞罰が消えてたんだな。

しかもこれマスクすら消えてるから、サッパリして良いな。


お、終わったな。よしよし・・これでもう旅に出ても良いんだな。


「我らからは違えぬ」

「オレは違えん」

「人は短き命、そなたの後は分からぬが、致し方あるまい」

「ただ、伝えてはおこう」

「それで良い」


     ☆

取引成功で、来期の産卵の時期にいくつか渡されて、それからも順次渡される事になるとか。

なんせ凄い数のようだし、卵も大量になるんだろうし、だから間引きのようなものかもな。

しかしなぁ、ここでこんな契約があったのなら、もうワイバーン狩りはここでやれなくなるな。

美味しい狩場だと思ったのになぁ・・

帰ろうと思ったら呼び止められる。

何でもドラゴン系がちょっと煩いんだそうだ。


「我らもようやくこの地で安穏と暮らせると思うたに、また別の竜を寄こすと言いおっての」

「じゃあ力ずくで抑えれば良いんだね」

「うむ、あやつらは力が全てなのじゃ。じゃからおぬしに頼みたいのじゃ」


用を言い付かったとして、ネイスにはそれを伝えて長と共に話し合いの場所へ向かう。

乗せてもらわなくても飛べるけど、あんまり見せると宅配便に使われそうだしな。


「じゃあまたね」

「必ず帰るんだぞ」

「はいはい、分かってるって」


そんな訳でオレは長の背に乗って一路、話し合いの場へ・・


《称号を追加します》


あれ、まただ。一体なんだ、今度は。


称号 魔導を身に宿し者・世界を渡りし者・紅き竜を屠りし者・飛竜の長を従えし者


ただ、背中に乗っただけなのに・・従えてねぇぇ・・

どうにも判断基準がおかしいぞ。

そんなこんなでしばらく乗っていると、彼方で何か騒動が起こっているような・・


「うぬぬ、ワシが居らぬと思うて好き勝手に」


見れば黒いのが妙に暴れているような。


「あれってブラックドラゴンだよね」

「いかにもじゃ。紅き竜よりも位が上じゃが、何とかなるかの」


ふふん、もう逆転現象は治ったんだ。今のステータスならいけるさ。


HP  280/280 『10452/10452』

MP  400/420 『37520/37520『(∞)』』


黒き竜目掛けて・・矢に水の魔力が渦巻いていく・・【超流の矢】

MP1万の威力を知りやがれ・・


「グギャァァァァァァ」


痛かったか、痛かったろ、くくくっ・・

さすがに不利属性じゃなければ死なないか。


「なんとも凄まじいの。あれが紅き竜を屠ったスキルなのじゃな」

「ああそうだよ」

「あれはかなりの痛手じゃろう、なればこれで収まろうの」


オレは口添えをしながら交渉に入り、2撃目を矢に番えたところで話が付いた。


「おのれ・・このような・・人如きに・・くち惜しや」

「いいな、この谷は飛竜のもので」

「うぬぬ・・これでは・・合わせる・・顔が・・」

「殺されそうになったって、言えば良いじゃない」

「そのような事・・この我が・・まさかそのような・・」

「もう1発食らったら死ぬよ、それでも良いの?」

「致し方・・あるまい・・」


黒竜はふらふらと飛びながら南西の方向に飛び去っていく。


「これで安心じゃ、済まぬの」

「気にしなくていいよ。どちらかと言えば、そっちに近いんだし」

「なんと、そのような存在かの」

「ちょっとね、そうなっちゃったのよ」

「なれば、おぬしも長く生きるのかの」

「多分ね」

「なればまた来るが良い」

「ありがとね、じゃ、ここでさよならだ」

「よもや、そなた」

「人の前で見せる訳にはいかないでょ」


『ひしょう』


「おお、確かにの」

「じゃあまたね」

「うむ、また会おうぞ」


長と別れて黒竜の飛び去った方向に飛んで行く。

竜の谷か・・念の為にダメ押ししとくか。


スキルに魔力付加・・速度がかなり上がっていく。


眼前に風を吹き出し、顔に当たる風を相対的に緩める。

やれやれ、まともに息が出来るようになったな。

高速移動は呼吸に難があるが、どうやってクリアするかな。

試しにと、自分の身体に魔力付加・・顔の表面にしてみる。

お、これ良いな、これでもっと速度を上げてもいけるか。


猛速で追撃するかのように飛んでいけば、黒い点がポツリと見え、それが見る見る近付いてくる。

よーし、追い付いたな。


「うぬ、まさか・・こごで、我を」

「くっくっくっ、死ねよ」

「おのれ・・このような・・」


【大回】


「うぬぬぬ・・な、これは」

「くっくっくっ・・」

「脅かしおってからに」

「約定を破れば、あれが殺しのスキルになってたさ」

「それはさせぬ。いかに理不尽とて、あの場にて定めし事なれば、我が命をもってしても」

「口添えはいるかい」

「いかなおぬしとて、我らが神には勝てぬ」

「となると、あれより強いスキルを考えないといけないか」

「おぬし、人ではあるまい」

「まあな、魔石持ってるし」

「うぬぬ、やはりかの、そのマナの揺らぎは」

「人より外れし異形の存在ってとこ」

「諦念かの」

「いいや、認めて受け入れているよ」

「そなたなれば、我も友になれるやも知れぬの」

「嫌だなぁ」

「どうしたのじゃ」

「こちら側に知人が出来たら、狩りがやれなくなると思ってね」

「ふふふ、なれば尚更、知人にならねばの」

「参ったなぁ」


     ☆


とりあえず自由になったのでそのまま付いて行く事にした。

その竜の神様ってのにも会ってみたかったし。


「エルグよ、どうであった」

「申し訳なき仕儀にして」

「おぬしをもってしてもか」

「ははっ」

「何者が味方したのじゃ。おぬし程の者を退けるとは」

「オレ、オレ」

「まさか・・このような」

「紅を屠りし者らしく」

「あやつをか・・まさか、人がそのような」

「1発でドカン、魔石も砕けた」

「とんでもないの、おぬし」

「何、試したい?紅即死、黒瀕死のスキル」

「エルグ、痛めたのかの」

「痛めし者にて回復されし」

「そのような者か」

「友になりし」

「なれば致し方あるまい」

「悪いな、国の王に頼まれたんだ。だけどさ、あいつ、人より成熟しているような感じでさ、本当は嫌だったんだよ、ごめんな」

「しがらみなれば致し方無し」

「ああもう、ドラゴン狩れなくなっちまったぁぁぁ」

「ふふふ・・それはありがたいの」

「あああ、もぉぉぉ」

「ふふふ」


     ☆


馴染みになっちまったら仕方が無いと、そのまま谷で魔法の特訓をする事にした。

さすがに長く生きているだけあって、コツなんかも的確に教えてくれて、中々良い環境。

そして、狩れないと言うならと、剥がれた鱗をたくさんもらったり、脱皮した皮をもらったりした。

特訓の傍ら、怪我した若い竜の治療をしたり、汚れた鱗を水で洗い流したりと、次第に馴染んでいった。

もうこのままここで過ごしたいと思う程に・・


あの国で3月、ここに来て3月・・娼婦辞めて7ヶ月か。姉さんどうしているかねぇ・・

あの生活も楽しかったけど、ここでの生活も楽しい。ボックスの食料はまだまだあるし、もう少し・・


楽しい日々は時の流れが速いと言うのは本当のようで、腹が目立つようになっちまう。

やっぱり妊娠してたか。あれから解いてないからもしかしたらと思ったけど、産めそうだな。

あいつの子か・・さて、ひとまず戻るとするか。


竜の神と呼ばれし古代竜。彼に別れを告げる時が来た。


「また流れるよ、クァロ」

「うむ、また来るがよい、サツキよ」


馴染んだから名前を教えたんだけど、王子にも教えてない名前だからな。

光栄に思えよ、なんてな・・

腹が重いので上向きで飛んでいく。

頭のマップがあるから、これで問題無いけど、どうにも寝ちまいそうで・・


久しぶりにと爺さんに会いに行く・・「やっほー」

「おぬし、それはもうじきではないかの」

「ここで産んで良いよね」

「知らせなくても良いのかの」

「信じないならここの子にしちゃえば良いし」

「産んでまた何処かに行くのじゃな」

「だってさぁ、柄じゃないよ、王妃とか」

「なれどそれは説得せねばならぬぞ」

「うっ・・腹が・・」

「これはいかん」


なんか・・急に・・ぐぅぅっと・・なって・・女って・・大変・・なん・・だな・・


『錬金術【32】 土石【1】・石粉【5】・鉱金【25】・粉晶【30】・晶粉【30】』

『土魔法【38】 盛土【1】・土壁【8】・土穴【16】・土槍【24】・形成【28】・家屋【32】』

『風魔法【28】 微風【1】・強風【6】・烈風【16】・風刃【20】』

『水魔法【78】 流水【1】・放水【3】・洗浄【10】・放流【12】・水槍【16】・小回【16】・中回【20】・大回【24】・快復【48】・欠損【60】・復帰【75】』

『火魔法【32】 灯火【1】・松明【4】・火炎【12】・炎熱【16】・猛炎【20】・爆炎【24】・業火【30】』

『光魔法【31】 蛍光【1】・照明【5】・陽光【10】・放射【15】・閃光【20】・集光【25】・光線【30】』

『闇魔法【47】 薄暗【1】・日影【5】・日没【12】・夜半【16】・闇夜【20】・闇潜【30】・闇化【45】』

『回復魔法【0】』

『空間魔法【0】』

『完全魔法【0】』


     ☆


「されどそれがほんに若様の子とは限らぬのでは」

「娼婦上がりなれば、何処の馬の骨とも知れぬ」

「なればそなたらは、火竜を滅せると申すのか」

「そ、それは、しかし、それとこれとは」

「違わぬ。そもそも、初代の偉業を忘れたか。仇名す竜、滅びし時、国興きし」

「確かに、なれどそれは知恵を授けしが若様なれば、あの者は単に水を流しただけでござろう」

「なればそなたに知恵を授けるゆえに、竜の谷にて火竜を滅してくるのだな」

「そ、そのような、事は」

「筆頭宮廷魔術師の名において、あやつに及ばぬとそう申すのだな」

「まさか・・あれを、この地位へ」

「あれは我の妃とする」

「ですから、それだけは」

「他は認めぬ。我の傍らに立つ者は、あやつより強き者以外はあやつだ」

「才で言うなれば、我が娘も劣りませぬ。ただ、病を得し隙にかっさらわれた功績なれば」

「なれば競おうか」

「もとより。ただし、我が娘優位なれば、お認めくださりまするか」

「いいだろう」


     ☆


はふうっ・・きつかった。あれは大変な作業だな。

レベル上げててあれなら、低い奴は生きるか死ぬかなんだな。

産んでとっとと【大回】使ったぐらいはきつかった。

男だったから跡継ぎになるのかねぇ・・まあ、幹部連中は反対だろう。

下手に送り込んで暗殺されても可哀想だし、爺さんを養い親にしても良いか。

内緒で王家の血を家に入れちまうって手もあるしよ。


「どうかな、爺さん」

「まあのぅ、確かに認めまいの」

「倒したら妃とか言ってたけど、あいつだけが言ってたんだし」

「分かってて請けたのじゃな」

「貴族にするって王様の話も、そのままになってるし」

「どうにもならぬの、じゃからワシは隠居のままなのじゃ」

「装備はもらったけどさ、はっきり言って割りに合ってないのよね」

「黒金貨50枚のぅ。伝説の竜退治の報酬にしては、いささか安価じゃの」

「魔石砕けてたとか言ってたけど、見た訳じゃないしさ」

「あり得るの」

「まあ良いんだ。あいつの子を産めたってのも、何かの記念みたいなものだし」

「なればあの子はワシが引き受けようぞ」

「息子さんに子が無いのなら、こっそり王家の血を混ぜちゃお」

「ほっほっほっ、痛快じゃの。王家途切れし折にでも、騒がしてやろうの」

「さあ、文献を残そう」

「ほっほっほっ」


何て言うかさ、後出しじゃんけんとか言われても困るんだけどな。

病気だったから倒せなかったのに、その隙に倒されてしまったとかさ。

病気も治せない魔術師に、そんな事を言われる筋合いは無いんだがな。

しかも勝負とか言われても、勝手にそんなの決めやがって。


「よろしいかしら、勝ったほうがあの方の妃よ」

「はい、負けた負けた。あんたの勝ち。じゃあね」

「あら、やっぱり、そんなとこね。王子の知恵あれば、やはりわたくしが倒してたのよ」

「うんうん、そうだと思うよ。水蒸気爆発を考えた王子様は素晴らしいわ」

「すい・・じょ?・・まあいいわ。そう言う事だからもう、貴女の出番は終わりよ」

「失礼しますわ、未来の妃様」

「おほほほほほ」


やれやれ、これで終わりだ・・ふうっ、なんかこう、胸にぽっかり穴が開いたような・・

成り切りとか言ってたけど、もしかしてオレ・・認めたくないけど、惚れてたのかなぁ・・

初恋が男ってのが釈然としないけど、元は女だと言うし、それならそれでいいや。

初恋は実らないものとか・・そういう話もよく聞くしさ・・う・・だから・・もう・・良いんだ。


上を向いて・・歩かないと・・涙が・・くそっ・・なんで・・こんなに・・くそぅ、オレは・・男だ・・

だから・・あいつも・・男だから・・性癖・・ノーマルだから・・違うんだ・・これは・・これは・・


     ☆


あいつの子。男の子か、あいつに似ると良いな。それも瓜二つぐらいにさ。

そうしたら嫌でも分かるだろ、あいつの子だと言うのが。

庶子になるんだろうけど、頼むから殺しに来るなよ。

あの子に何かあったら国を見切る。そして長に何かあったら国を敵視する。

その時は覚悟するんだね・・あの時の・・黒竜を瀕死にした、赤竜を即死にした・・あれをぶち込んでやる。

マナも5万越えたし、もう1ランク上の構想の矢も撃てそうな気がするんだよ。


神流の矢 MP50000


マナ凝縮と螺旋回転と安定化、まだまだ課題はあるけどさ。

今、考えているのは、マナを超圧縮して矢の形の魔石のような物体の構築。

だから神流の矢にリアルな矢は必要無い。

ただマナを凝縮して矢を構築すれば良いのだから。


散歩と称して山で検証してみたんだけど、マナが足りなかった。

どうやらこの方式、更なる上の矢になりそうだ。

なので神流の矢は自作の矢の外周を覆うタイプの凝縮魔石効果に留めよう。

これならやれそうだから。


作った矢?上に撃ったよ。どこまでも飛んでいけ、オレの初恋と共に・・


     ☆


爺さんの屋敷でのんびりしていると、忘れたはずの彼がやってくる。

頼むからもう来ないでよ・・折角・・割り切ろうと・・努力が・・無駄に・・


「何しに来たの」

「迎えに来た」

「妃様、決まったんでしょ」

「あんな奴、どうでも良い」

「次の王様になるんでしょ、さあ、帰って」

「オレは国を捨てる。こんな国に・・何で今まで、バカらしい」

「ダメだよ。王様は民の為の存在だろ。自分が嫌だからと逃げてどうするの」

「宝物庫にはな、お前が倒した火竜の魔石がな、そっくりそのまま置いてあったぞ」

「欠片しか無いとか言ってたのにね」

「問い詰めれば白状したさ。欠片が無いからこそ渡せなんだと」

「良いんだよ」


「どうして勝負を投げた。お前ならあんな奴」

「ダメだって、オレは男だよ」

「そのような事、信じれると思うのか」

「女に化けているだけだからさ、絶対に無理なんだよ」

「ここにオレの子が居るんだろう、会わせてくれ」

「ダメだ、庶子になんてされたら、殺されちゃう」

「オレが守る」

「火竜に手も足も出なかった人が何を言ってるの」

「いや、だから、それはな」

「あの攻撃、単なる水を撒いただけって思ってないよね」

「違うのか」

「あれはさ、1発の攻撃スキル。必要マナは1万」

「いちま・・そ、そんなにも・・だからなのか、伝説とも言われる・・おかしいと思った」

「病気も自分で治せないような、そこらの小娘に勝てる相手じゃないよ」

「治せるのか、病を」

「何かあれば1回は助けてあげる。だから良い王様になるんだよ」

「どうしても、無理なのか」

「最後に抱いてくれる?」

「最後・・か・・抱けばもう・・お前とは」

「うん、最後の契り」

「わ・・かっ・・た」


刻み付けておこう・・心に・・魂に・・君とはそういう運命じゃなかったんだよ。

だからさ、心の奥底にしまっておくからさ、いい王様になるんだよ。

こんな国と思うんなら、せめて王様はまともじゃなくっちゃ。

民が可哀想だろ・・だからさ、これが最後の・・


ああ・・ネイス・・私の・・愛して・・もっと・・今だけは・・もっと・・ねぇ、もっと・・


     ☆


やれやれ、これで終わりだ。さてと、また修行の旅にでも出ますかね。

それにしても、水蒸気爆発、計算通りだったな。

マグマ溜まりに撃ち込んで、マグマの中で膨大な量の水を発生させる。

あれで体積が瞬間的に増えて、ああなったって事だろ。

だって・・あんなに寝てた竜なのに、あの攻撃避けたんだよ。

当たればそれで終わりだけど、避けても終わりってのが計算外だったね。

こればっかりは科学の基礎知識が無いと理解出来ないんだ。

だからあんな小娘に理解なんて無理。


あいつが水を撒いたとしたら、きっと自分の攻撃で死ぬ事になるね。

蒸気はマグマの中で発生させないと、猛烈な水蒸気で我が身を蒸す事になるから。

小娘の蒸し物なんて、ドラゴンもまたぐかな、くくく・・


翌日、気だるさの中で目覚め、昨日の事を思い出しながら・・はふうっ・・

しばらくおかずにしてあげるから、それで良いよね、くっくっくっ。


さあ、行こうか、修行の旅の続きだ。


玉の輿は趣味じゃないようです。

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