4 変化
娼婦とか出て来ます。描写は殆どありませんが、嫌な方はご注意ください。
4 変化
ウザい領主嫌って別の街。
家を借りて美容整形もどき。
まずはとばかりに、家主のお姉さんの悩みを解決してみます。
「え、その胸、偽物なの?」
「ええ、これは作り物です」
「信じられないわ、そんなに・・なのに」
「お客さん1号になってくれませんか?タダで良いので」
「え、良いの?」
「その代わり、家を貸してくれるかしら」
「うちは間借りになるけど、それでも良いなら」
「私の腕前にいくらの値を付けてくれるか、楽しみですよ」
「うん、満足したらお金は要らないわ」
「じゃ、そこに上半身裸で寝てくれるかしら」
「楽しみだわ」
『すいみん』で健やかな眠りに導き、胸に偽肉を盛っていく。
形成時に色形を整えて、そのまま1時間放置。
体内魔力でじわりと馴染んでいき、見分けが付かないぐらいになる。
そして後は覚醒に導けば、そのうち目が覚めて・・
「どうかしら」
「う、重い・・これは・・うわ、柔らかいし、なんか、感触があるような」
「体内魔力で擬似的な感覚です」
「これは凄いわ。うん、お金要らないから」
「ありがとうございます」
「それにしても、凄いものね」
「どれぐらいで売れると思います?」
「そうね、お金に余裕があるなら、いくらでも出すと思うわよ」
そして始まりました、豊胸商店・・見てそのままの店ですな。
一目瞭然を意識してみました。
看板は書いてもらったから合ってると思うけど、はっきり言って読めません。
そして2人目のお客は、家主の妹さん。
どうやら相手が出来ないのを胸のせいにしている人。
まあ、つるぺただから無理も無いとは思うけど。
「え、そんなに高いのね」
「内緒にしたいならその価格、人に教えるなら割引です」
「そうよね、黙ってたら宣伝にならないものね」
「どうしますか、もちろん、その価格は家主さんの妹なので半額になってますが」
「え、本当はこの倍なの?」
「お姉さんの感想は?」
「凄いわこれ。本当の胸みたいに、触ったら感触があるのよ」
「いいな、姉ちゃん」
「ねぇ、マリン、もう少しダメかしら」
「じゃあ、更に半額にしましょう」
「ほっ、それなら何とか」
マリンという偽名で始めた豊胸商店。
1グラム金貨1枚というボッタクリなのは、値下げサービスの為。
家主の妹は結局、片方250グラムの両方で白金貨1枚になった。
半額の半額はさすがに値下げし過ぎだけど、これも宣伝の一環で・・
あの街の受付のお姉さんと似たような、リンゴクラスになると思うが、それで良いのかな。
聞いてみると、あんまり大きいと重そうだからと。
そして1時間後、重さは感じるけど、嬉しさのほうが大きいとの事。
白金貨1枚獲得です。
その次は比較的大きな商会の娘さん。
縁談がどうにも巧く進まないのを胸のせいにしています。
これまたつるぺたのようでして、オレのと同じにしろと要求します。
1グラム金貨1枚の話では、そのまま出すそうです。
さて、これ、かなーり重いんだけど、本当に良いのかねぇ。
片方800グラムを望まれたので、その通りにしちゃいます。
前金で親から白金貨16枚獲得なので、後は娘の望むままです。
1時間後、彼女には身体の前面に1.6キロのオモリが付いたのと同じ。
明日から肩こりの日常になると思うけど、自業自得って事でよろしく。
大量に作ったんだから、もっと売れて欲しいんだけどな。
レアスライム1匹で、200キロもあったスライムジェル。
牛ぐらいのでかさだったんだ。マジびっくりな大きさでよ。
思わず手持ちのトレント材で、思いっ切り引っぱたいたら、そのままお亡くなりに・・
どうやら番か何かだったようで、もう1匹も近くにいて・・
合計400キロのスライムジェルを獲得したんだけど、まだまだあるんだよな。
レシピには、スライムジェル10・ユニコーンの血3・レアトレント魔石の粉1の割合とあった。
なので10キロのジェルが14キロになるって事で、400キロだから560キロになる。
3人で2.6キロ消費なので、まだまだ減った気がしないな。
しかし、年が明け、その商会の娘さんがほどなく結婚になってから、クチコミがあったのがやたらと申し込みが来るようになる。
「アンタより大きくしてよ、出来るよね」
「倍ですか?」
「大きいほうが良いわ」
「失礼ですが、ご予算は」
「はい、これでやれるだけ」
白金貨100枚寄こしやがったよ、この女。
本当に片方5キロの胸に耐えられるのかねぇ。
ビーチボールだと思うんだけど。
こってり盛り上げてやりました。
1時間後に目が覚めて満足してたけど、肩こりは治せないぞ。
「凄く重いけど・・満足よ・・ありがと・・うね」
女はよろよろとしながら俯いて歩いていく。
どうにも胸が重くて真っ直ぐ立てないらしい。
あれじゃ婆さんと何も変わらないと思うんだけどよ。
それでも爆弾みたいな胸の女が出て行くものだから、我も我もと・・
その日は白金貨100の客がその後で8人も来て、なので平行作業で全員施術。
白金貨800枚と引き換えに、腰の曲がったスイカ胸の女が8人出来たっと。
どうやら歩くのは辛いが夜は好評らしく、それなりに満足している様子。
ここで1人、勘違い野郎が来ちまった。
アレを太く長くしてくれって依頼。
なので、大きさの変わる物には対処出来ませんと言ったんだけど、それでも良いからと・・
白金貨200枚に負けてしまいました。
どうにもお金に弱い今日この頃・・そろそろ夜逃げの季節かな。
太ければ太いほど、長ければ長いほど、そんな事を言われてもな。
仕方が無いので300グラム消費で5倍の太さで長さにしておいた。
本人はうっりと自分のアレを見てたけど、夜にどうなるかは知らないぞ。
一応、液体の通る道筋は作っておいたけど、中が洗えるかな?
洗わないと何かの病になるかも知れないけど、オレは知らんからな。
そのうちに奴隷商館から秘密の依頼が来たんだ。
綺麗で素直なんだけど、あれがどうにもお粗末ってのがたくさんだと。
どうやらあちこちで不人気だった、綺麗なお姉さん達がたくさん。
聞けば、奴隷商館合同での依頼らしく、35人も居るとか言われた。
「1グラム金貨1枚ですけど」
「あいつらはな、胸さえあれば白金貨何十枚って女なんだ」
「ああそうさ、だからな、1人800グラムでやってくれ」
「総勢中に入れて良いのか」
「は、はい、早急に致します」
「ほれ、全員の分だ」
「1時間の定着が必要なので、1日あれば何とか」
「丸一日か、半日でやってくれ」
「では、何とか急いでやりますね」
「ああ、後で来るからな」
「おい、お前ら、こいつのいう事をよく聞けよ」
「「かしこまりました」」
それからと言うもの、突貫工事で半日地獄。
手製のハカリで400グラムの塊を作っては載せ、載せては形成。
その繰り返しで35人終わるのにマジ、ギリギリだったぞ。
まとめて連れて来るなぁぁ・・
全員が出た後・・
「おう、こんなに自然な感じになるとはよ、これなら高く売れるぜ」
「アンタのもそうなのかい、おかしいと思ったぜ」
「ええ、宣伝ですので」
「また、集まったら連れて来るからよ、そん時は頼むぜ」
疲れた・・寝る・・
それからしばらくは客もちらほらで、過日の疲れを癒しながらのんびりしてた。
そうしたら妙に痩せた男がやって来て、いくら食べても太らない。
もっとふくよかにして欲しいと・・そう言われても困るんだがな。
「あくまでも脂肪なので、筋肉は無理ですよ」
「構わぬ。このままでは見てくれが悪過ぎる」
定価を提示すると、60キロ足してくれと言われた。
丸一日を承諾させ、まるでセメント工事か、って感じなんだよな。
素っ裸にひん剥いて、頬から肉付けをしていく。首周り、胸辺り、腕に腹に尻に足と。
後ろ半分やってひっくり返し、もう半分やって定着させる。
後は足首と足の甲にちょいと盛り、サービスで厚い胸板と割れた腹筋を形成する。
気分は芸術家だよな。
そして黒金貨6枚獲得なんだけど、何処のお貴族様だったんだろう、あんな大金を。
彼は逞しい感じになった自分に感激するが、身体が重くなったって当たり前だろ。
結局、また誕生日が巡り来て、あれから270キロ余りの偽肉が売れてしまった。
世の女性達を狙った商売は大成功である・・残り100キロになっちまったな。
これぐらいは予備に置いておこうと、品切れになったから引き払う旨を話す。
また世界を巡って素材を集め、作れたらまた来るからと・・
街移動をしようと思い、カルロになって買い出しに出る。
金はあるからもう、メロン見せなくても良いと。
つらつらと買って、気付くと領主の館の近くまで。
でっかい屋敷だよなと思っていたら、中から衛兵がどやどやと出て来る。
何かの捕り物かなと思っていると・・
「良いか、必ず捕らえるのだぞ」
「「ははっ」」
「あの女、見つけたらただではおかん」
「隊長、一体その女が何をやらかしたんで」
「領主様に狼藉を働いたのだ。あの方は今、起き上がる事も出来ん」
「そんな・・」
「だから良いな、必ず捕らえろ」
「「ははっ」」
いや、違うから。
あの痩せよう、きっと何かの病気だから。
オレも金に目がくらんだから何も言わずに施術したけどさ、後で考えたらヤバいと思ったのよ。
しかしこれは拙いな。
あいつが領主なら、近いうちに死ぬぞ。
ただでさえ病気なのに、あんなに身体に負荷を掛けて。
仕方が無いか、別の街に行こう。
久しぶりに男に戻って門を出る。
これしか無いんだよな、ライセンス持ちは。
たまにチョコチョコ薬草持って行ってたけどさ、1ヶ月で無効になるとか・・
金取って1ヶ月で無効にするとか、詐欺じゃないのかよ。
だから薬草を大量に刈って、期限ギリギリに10本納品でクリアしてた。
また刈っておかないとな。
下手にギルドで魔物素材売ると、ランクがどうのこうのって煩いからな。
試しにとオーガの魔石、1つ持って換金しようと思ったのさ。
そうしたらランクに合わないからどうのこうのって・・
だから知人に換金頼まれたって誤魔化した。
あんな騒ぎはもうコリゴリだ。
でもさ、薬草だけでもランクは1つ上がったから、表に出る依頼は受けられるんだよな。
相変わらず文字は読めないけど。
街道をのんびりと歩いていく。
カルロはもう良いかと、『げんえい』を解いてぶらぶらと・・
馬車が通りかかってオレの前で止まるんだ。
何かなと思っていると・・
「おお、何ともでかいのぅ。おぬし、ワシの妾にならぬか」
どんな女好きだよ。
いきなり呼び止めてこれかよ。
けど、馬車に乗れるのなら良いかな・・なんて。
乗るといきなり服を脱げと言いやがる。
まあなぁ、こちとらもうかなり慣れたから、別にやっても良いけどさ。
「くぅぅん・・もっと・・優しく・・して」
「良いのぅ・・実に良いぞ」
まあなぁ、荒いと言っても盗賊よりはソフトだけどな。
最初に洗礼みたいに派手にハードなの体験したから、これぐらいじゃ何とも思わんけどさ。
まあ、好きに味わうといい。どうせ、仮初の身体なんだしよ。
ああ・・このまま・・この快楽に・・委ねよう・・もう・・何も・・考え・・られ・・
「実に良かったぞぃ」
「それはどうも」
「これはワシからじゃ」
金貨10枚ね。
100万円相当の金だけど、どうするのかと思ったら街で降ろされた。
あんたさ、妾とか言って無かったか?
まあ良いや、馬車に乗れて金もくれた。
吸収の制御もやれたし・・
切り替え、切り替え。
でもさ、女って何かとお得と言うかさ、このまましばらく体験してみるのも良いかも・・
アレも慣れたら快感だけだし、後はそれっぽく声を出してたら相手は満足するみたいだし。
経験吸収の修練、この際、熟練するまでやってみるのも手だよな。
そんな訳で、やって来ました娼婦の館。
「あら、凄い胸ね」
「雇ってもらえるかしら」
「あっちの経験はどうなの?」
「何回かは」
「それならすぐにでもお客取れるわね」
「お願いします」
「うんうん、このミョールに任せなさい」
そんな訳で割りとあっさり娼婦になれちゃいました。
なんか気楽と言うか・・
男は単純だと言うか・・
こんな楽して金になって良いのかと思うぐらい、毎日楽しんで金になってます。
動くのはあっちだけ、こっちは快感だから自然に声が出るし。
だから寝てて金になる美味しい商売。
普通はそうじゃないけどね。
だってオレ、たまに解くから妊娠とは無縁だし。
水魔のレベル上がってるから、病気も治せるんだよ、内緒だけど。
水魔50越えたら、水魔術師ってランクが付いた。
んで、今はこんな感じ。
ツキミ 『サツキ=ミドリヤマ』
レベル28 『126』
クラス 水魔術師
HP 460/460 『32284/35280』
MP 820/820 『3246/9828『(∞)』』
筒服
腕輪 『魔導腕輪×2 闘争心【大】・性欲【小】・精力【中】・体力【大】・精神【極】』
『狼の恩恵』
生活魔法(種火・洗浄・飲水・清掃・灯火・)
『錬金術【23】 土石【1】・石粉【5】』
『土魔法【16】 盛土【1】・土壁【8】・土穴【16】』
『風魔法【14】 微風【1】・強風【6】』
水魔法【52】 流水【1】・放水【3】・洗浄【10】・放流【12】・水槍【16】・小回【16】・中回【20】・大回【24】・快復【48】
『闇魔法【12】 薄暗【1】・日影【5】・日没【12】』
『【フルランゲージ】』
『【マジックボックス】』
『【セックスチェンジ】』
『【ボディチェンジ】』
『【マッスルパワー】』
『【プレミアムテン】』
『【トリガーマックス】』
『魔導体 (マナ吸収・経験吸収・スキル吸収)』
『とつげき』『けり』『なぎはらい』『ひしょう』『げんえい』『すいみん』
☆
えー、ちなみに筒服と言うのは、頭からすっぽり被るだけのお手軽な服。
薄いドレスって感じかな。
後?何も着てないよ。
男が服を引っ張ったらスッポンポンってお手軽だし。
でも普通の娼婦は普段は色々着飾っているんだけど、オレは普段もこれだ。
気分は裸族だね。
街とか歩くと視線が凄いのなんのって。
胸はメロン、服はスケスケ、下は何も着けてない。
歩くだけで宣伝になるから、毎日大繁盛。
レベル高くて耐久力も派手だから、どんなに激しくても問題ない。
風呂とか入れなくても生活魔法でいつも清潔。
どんな病持ちの噂の男と寝ても、快復で病気治るから余裕。
どれだけ中に出されても、男に戻ればリセット。
一番良いのはアレが無いんだ・・月よりの使者が。
だから妊娠は元々無理なような気もする。
ただ、女の身体で女の快感だけど、それだけって感じ。
まあそうだよね。いくら身体がホイホイ変わるからと言って、内臓も変わってたら怖いよ。
だから多分、胸はそこらから集めて、あれがちょっと変化しているだけなのかも。
そりゃ開いて見た訳じゃないけどさ、とても子宮があるようには思えないんだよな。
ただ擬似的に女を体験出来るだけのスキルって感じなのさ。
だったら体験してやれば良いと思ったんだ。
リアルでいくつになっても、素に戻れば相変わらず18才。んでリセットされるから女も18才。
あ、名前で引っかかってる人・・居ないよね。
サツキ=ミドリヤマの中から最初のサを省きます。
後はドリヤマも省きます・・ほら、ツキミの完成です。
候補としてはヤマドリってのも考えたんだ。
サツキ=ミを省いて、ドリヤマのアナグラム。
けど、他にも日本人が来ていてさ、ヤマドリとかだともしかしてとか思われるしさ。
オレもこんな究極の女装中だから、あんま知られたくないのよ。
ツキミも怪しいけど、オレ、名前考えるの苦手だし。
呼ばれて反応出来ないとヤバいけど、ツキミでギリギリなのよ。
「ツキミちゃん、ちょっと良いかしら」
「はーい、お姉さま」
口調には触れるな、頼むから・・
服を買いに行こうと誘われた。
ここの給与は完全歩合制になっていて、1人銀貨10枚になる。
オレは初日こそ暇だったけど、宣伝したら翌日から大繁盛になった。
1日平均10人ぐらいで、日本円で10万ぐらい・・金貨1枚な。
ここに来てもう5ヶ月だから、金貨150枚ぐらいの稼ぎになっている。
食い物はここで出るし、寝るのもここだ。つまり、金は使わなくてもいい。
浄化があるから風呂も要らないし、部屋も清掃で綺麗になる。
生活魔法は便利だと、館のお姉さん達にも愛用されている。
銀貨1枚で浄化してやると、かなり喜んでくれるのだ。
小遣いにもなるから、余計に稼ぎに手を付ける事は無いんだ。
身体を洗うのは普通、裏の井戸で水で洗うんだけど、これから寒くなるから辛いらしい。
確かに肌寒くなってきたけど、宣伝だから我慢して街を歩いていた。
だけどそろそろ厚着の季節・・だから誘われたんだと思う。
「それにしても、大きな胸で羨ましいわ」
「お姉さまは偽胸という技術をご存知かしら」
「え・・そんなのがあるの?」
「体内魔力で本物そっくりの大きな胸に、くすくす」
「ええっ、じゃあそれ」
「1グラム金貨1枚」
「うはぁ・・とんでもなく高いけど・・魅力なのは確かよね」
「頑張って元を取らないと、くすくす」
「それでなのね」
あんまり嫉妬されても困るから、ガス抜きに話しておいた。
本当は無いけど偽ででかいだけ、これならまだ何とかなりそう。
んで、金があるなら自分もと・・後100キロあるから施術も可能。
あんまり大々的にやると、前の町の領主の件があるからヤバいけど。
「これなんかどうかしら」
「暖かそうだけど、ちょっと色合いが派手かな」
「あらあら、娼婦なんて目立ったもんの勝ちよ。まあ、分かってるようだけどさ」
「宣伝の事ですか、くすくす」
「大したものよ。普通なら数日、いえ、1週間はまともにお客も取れないわ」
「あら・・触るのはお店にしてね」
「う・・いや・・これは・・そのな」
「気持ち良かった?」
「いや・・今のは・・その・・な」
「どうしたの、ツキミ」
「お尻をさわさわって」
「あんた、商売物にタダで触れて、それで良いと思ってんの?」
「いや、そうじゃない。そうじゃないんだ」
「若様、どうなされましたか」
「いや、なんでもない。行くぞ」
「ははっ」
「相手が悪いわ」
「良いのよ、お姉さま」
☆
娼館での暮らしにも慣れ、年も明けて・・まあ、正月とかやらない世界っぽいけど。
寒い時期もなるべく薄着で頑張って、月額金貨30枚は維持して何とか春になりました。
来月には成人です・・と言ってもあちらの話。
こっちは15才で成人だそうで、中々ハードな世界だと思っております。
相変わらずリセットがあるので18才女のままでやっておりまして、約1年・・
正確には11ヶ月で金貨352枚になりました。
寒い時期は人肌も恋しいようで、大盛況でご馳走様でした。
そして館中の娼婦のお姉さま方々から、浄化の申し込みがたっぷりで。
毎日の日課として浄化しまくってたら、水魔が遂に64ですよ、奥さん。
水魔法【64】 流水【1】・放水【3】・洗浄【10】・放流【12】・水槍【16】・小回【16】・中回【20】・大回【24】・快復【48】・欠損【60】
欠損ってのが新しく出たんだけど、どうやら手足の欠損すら治せる魔法らしい。
と言っても自分の手足切って試すとか嫌なので、まだ試してません。
狩りも当分やってないし、このままのんびりと100年体験するのも良いかな、なんて・・
思ってたんだけどなぁ・・
誕生日を越えてリアル二十歳となって数日後、あの若様が登場した。
てっきりすぐ来るかと思ったのに来ないから、冷やかしかと思っていたんだけどな。
「やっと見つけた」
あれ、店を知らなかっただけか。
そうか、そうだよな。別に宣伝と言っても店の名前とか言わないし。
慣れてるやつはそこらで聞いて、情報獲得して来るから気付かなかったよ。
だって翌日から大繁盛だったから、ビギナーの事なんて知らなかったよ。
「いらっしゃいませ、ご指名でしょうか」
「いや、身請けをしたい」
「は?」
「君を迎えに来たんだ。さあ、私と一緒に来てくれ」
「ち、ちょっと若様」
「いくらだ、いくら払えばいい」
「お待ちになって、この子は奴隷の娼婦じゃありません事よ」
「じゃあ問題無いな、私と一緒に来てくれ、さあ」
「そんな急に言われても」
若様を待たせて娼館のあるじと相談になる。
向こうは身請けのつもりで金を用意してきたと。
こちらは完全歩合だからすぐに辞めても問題は無いけど、オレが人気だから娼館としては困る。
看板娘みたいなのを引き抜かれたら、そりゃ困るよな。
オレが客の相手をしている間に指名が来ても、2時間待ちなら他の娘に流れるし。
それでかなり待遇が良かったんだ。
オレとしてものんびりと、ここで過ごすのも悪くないと思い始めていたし。
今でも小遣いは浄化で稼ぎ、仕事の分はそっくりボックスの中だ。
確かに年は取らないんだから10年は無理でも、数年はいけると思ってた。
まさか1年に足らずにこんな事になるなんて、想定外もいいとこだ。
相手は貴族らしく、下手に断ると娼館にも迷惑になるらしい。
なので身請けの金の山分けでと、娼館のあるじからの提案を受けた。
白金貨50枚・・つまり100枚で身請けのつもりだったんだな。
そんな大金でオレを買って、何に使うつもりだったんだ。
単に寝るだけなら別に奴隷でも、白金貨数枚出せばそれなりの女になる。
それを大枚はたいて求める理由が知りたいものだ。
もしかするとあいつ、あの領主の後継者か何かか?
本人が死んで体内魔力が尽きて、偽肉でも取れちまったのか。
文献によると、本人が死亡したらあれは取れるらしいな。
いわば、あれは本人の体組成に酷似になる、ある種のスライムに近い存在らしい。
だから皮膚の古いのや老廃物も食ってくれるみたいな感じになってるとか。
つまり、人工魔物と言えば良いか、擬似生命体と言うべきか。
本人に害は及ぼさず、魔力と不要物を食ってくっ付いているって感じだ。
だから魔力が無くなれば、そのまま干からびてポロリと取れちまうってな。
なんせ使うアイテムがレア素材ばかりなんだ、そんな擬似魔物にもなるさ。
荷物とかは特に無い・・みんなボックスの中だ・・ので、以前に買った地味な服。
捨ててもいい安い服で行こう。そのまま殴る蹴るされたら服がもったいないからな。
オレのステータスでまともにダメージが通ると思うなよ。
だけど、服はそうはいかない。だから安い服で捨てるつもりで着て行くのさ。
ダミーカバンだけ肩に提げ、中にはこれまたダミーの毛布が1枚。
丸めて放り込んで偽の荷物の完成だ。
「せっかく仲良くなったのに、寂しくなるわ」
「お姉さま・・」
☆
ツキミ 『サツキ=ミドリヤマ』
レベル28 『130』
クラス 水魔術師
HP 460/460 『36400/36400』
MP 820/820 『10140/10140『(∞)』』
上着
中着
足着
布靴
腕輪 『魔導腕輪×2 闘争心【大】・性欲【小】・精力【中】・体力【大】・精神【極】』
『狼の恩恵』
生活魔法(種火・洗浄・飲水・清掃・灯火・)
『錬金術【24】 土石【1】・石粉【5】』
『土魔法【18】 盛土【1】・土壁【8】・土穴【16】』
『風魔法【19】 微風【1】・強風【6】・烈風【16】』
水魔法【64】 流水【1】・放水【3】・洗浄【10】・放流【12】・水槍【16】・小回【16】・中回【20】・大回【24】・快復【48】・欠損【60】
『闇魔法【15】 薄暗【1】・日影【5】・日没【12】』
『【フルランゲージ】』
『【マジックボックス】』
『【セックスチェンジ】』
『【ボディチェンジ】』
『【マッスルパワー】』
『【プレミアムテン】』
『【トリガーマックス】』
『魔導体 (マナ吸収・経験吸収・スキル吸収)』
『とつげき』『けり』『なぎはらい』『ひしょう』『げんえい』『すいみん』
☆
せっかく、経験吸収の修練になってたのに、邪魔してくれるよな。
微量ずつ獲得でも11ヶ月で延べ360人以上でさ、中には冒険者っぽいのも居た。
彼らからは少し多めにもらってて、順調にレベルも上がっていたってのにな。
水魔以外も地味に少しずつ練習もして、少しずつは上がってたと言うのに・・
やれやれ、お貴族様という存在は、このように自由勝手に振舞える存在なのか。
なりたくはないが、係わり合いもごめんだな。
さて、外に出るなら途中で抹殺、そうじゃなければ目的地で抹殺。゜
どちらにしてもオレの身に何かするつもりなんだろうし、それならそれで良いさ。
やはり、馬車は街の外に出るとなると、こいつはあの領主の後継者になるのか。
オレのせいじゃないと言っても通用しないだろうし、通用しても貴族は無敵かぁ。
いっその事、大暴れしてやるか・・そうしてまた姿を変えてのんびりと過ごすか。
適当に狩りしていれば、のんびりでも問題無いだろうし、飯もかなり入れてあるし。
うおっ、急に止まるって、ここで暗殺か?、
「心配無い、どうやら盗賊のようだが、ここに居てくれ」
「はい」
やれやれ、お盛んな事で。
ぼんやりと外を見ると・・おいおい、こっちは8人なのにそっちは・・どんだけ居るんだよ。
さて、とんずらの準備でも・・服はとりあえず現状で、武器は持たずに杖もどき。
以前、言われたんだよな。魔術師なら杖が無いと偽者呼ばわりされるって・・
さて、ウォーターニードル・・オレの命名だよ、センス無くてさ。
【水槍】
オレの上空にかなりの数の水の針が出現。
盗賊に向けてそいつを射出・・さて、獲物はオレの物だから。
さっさと走って盗賊に止めを刺しながらボックスに収納していく。
周囲はなんか見てるだけって感じだけど、構ってはいられん。
総勢38人の盗賊は全員、倉庫の中で永久の眠りに就いた。
「これでいいね」
「凄い・・ますます好都合だ」
「え?」
「さあ、急ごう」
「は、はい」
強いと好都合?どういう意味だ。
処刑にするなら弱いほうが良いんじゃないのか。
しかも、マジックボックスに反応しなかったぞ。
まさかこいつもこっちに来た元日本人なのか?
それにしては西洋人みたいな顔だしな。
それから1ヶ月ぐらい馬車に揺られるも、行き先は言わないまま。
気持ち悪いけど、なんとでもなるって思いもあったからそのまま揺られてた。
そうしたらやけに賑やかな街に到着し、やっと着いたと言われたんだ。
それからが問題だった。
そろそろ投稿速度が落ちそうです。