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01-02. 〃

   〔2〕


 みちみち。ぎちぎち。


「あいててて。おい潰れる潰れるっ」

「なんだよこれ!」

「おい何人詰まってるんだよここ! 石部屋? 強制おしくら饅頭会場?」

「知るかボケぇ。ほらそっち、出口っぽい扉あるだろ。開かないか、近場のヤツ!」

「ゆっくりだぞ! もし開いても、動くのは一人ずつだ!」

「あせって引っこ抜きになると雪崩れ転びしかねん。こんな状況で転んだら死ぬぞ!」

「一人ずつだ! 端の近いヤツから頼む!」

「オーライ、オーライ!」

「よぉ~しおいらっちに任せろーバリバリ」

「やめて!」

「そーゆーネタはいいから」

「ならば……扉ッ! 開かずにはいられない!」

「そーゆーネタもいいから」

「これ、カンヌキ式だよな。なんで密室の内側から……?」

「考察は後だ! そこの左右の端にいる人、手が届くなら引っ張ってみてくれ」

「お、動く……。こいつ、動くぞ!」

「だからそーゆーネタは以下略」

「もうね、ナムサン」

「抜けたぁ!」

「そして開いたぁ!」

「外開きでよかった!」

「マジよかった。もし内開きだったら致命的な致命傷だった」

「同意だが、カンヌキ式なら外開きが普通の構造じゃね?」

「そうとは限らんでしょうがぁ!」

「おいアホやってんな、こんなところで圧死も窒息死もごめんだぞ」

「一人ずつ順に出るんだ! ゆっくりと、一歩ずつ動け!」

「転ぶなよー。倒れたら踏まれて死ぬぞー」

「周りは支えあってやれー」


 わいわい。がやがや。



   ◆


「で、これなんだったんですかねー」

「てゆーか、あんたら誰なんですかねー」

「そーゆーアンタ様もどこのどちらさんですかねー」

「老若男女ぐっちゃり混ざってるし、意味不明にも思うが」

「しかも明らかに人間じゃないだろこれ的な種族が大いにいらっしゃるわけですが」

「なぜか、見覚えがある気がする。そして嫌な予感がする……」

「ところで小人っぽい体格の人ら、さっきよく潰れなかったよね」

「マジ危なかったんよ……。意識遠のいてたし、もしあのままだったら」

「状況も見えてなかったし、声上げてくれてた人らマジ助かったわ。さんきゅー」

「おう」

「おう」

「おうよ」

「で、状況整理ですけど。心当たりある方いらっしゃいます?」

「いや~、ないですわ」

「さっぱりですわ」

「はぁ~あ、サッパリサッパリ!」

「だからそーゆーネタなつい」

「なつい」

「あ、ここはツッコミないんスね」

「うむ。ぎっぷりゃ!」

「それ以上いけない」

「うむ」

「うむ」

「話進まねー!」

「いやさぁ、なんかこー、嫌な予感から目をそらすっていうかさー」

「状況には心当たりないが、お互い同士には見覚えがなきしにもあらずというか」

「半分以上人間じゃない、人間じゃないんだけど……」

「おれなんて猫耳猫尻尾生えてるしな。あ、にゃー」

「ごくっ、このわざとらしいネカマ味!」

「そして眉毛がない! コイツは本物だ!」

「産毛とは言い難き毛深さ! リアルだと女の子がこれは業が深いな」

「ケモレベル要求がなにげに高いよな」

「言ってくれるな……。あ、にゃー」

「天丼はいらないですカッコくしょう」

「アッハイ。すんませんした」

「ということは、だ。この太い尻尾生えてる巨漢のおれらは、暗灰色の肌といい、つまりトカゲモチーフのアレなわけか。ガル」

「ならばこっちは、耳が長く伸びて尖り、そして体格ムキムキ。外見はエルフっぽいけど中身はドワーフと言われたアレなわけか。ヴぁーん」

「その女版のおれらはどーすんだよ。エルメェス」

「こっちなんて一人だけ爺タイプのエルなんだが……。じゃよ」

「嫌ならやめても?」

「いいんじゃよ? ――ふぁっきん!」

「ふぁっきんメモリアル! あの爺さまだけはいまだに! いまだに!」

「落ち着きたまえ! その手のネタはデリケートな話題だから触れるのはやめよう」

「カッコしきたりカッコとじ」

「すごく落ち着いた」

「サーカムフレックス、サーカムフレックス」

「つまり、『^^』だな」

「おいいまのどうやった」

「チャット芸意識してみたらイメージ形作れましたしおすしwww」

「草までwww 生やすなよwww」

「はいはい芝刈り芝刈り」

「夢がひろがりんぐな人たちは話が落ち着くまでしまっちゃいましょうねー」

「あわーwwww」

「うはwwwwおkkkwwwww」

「で」

「ああ。しかしいまのやり取りのおかげで突破口が見えてきたなヒュム」

「その語尾ネタ続けるんだ……」

「聞き分けるのに便利やん?」

「たしかにそれは認めるが……。同じヒュムでも雌になってるこっちは困るんですけどぉ」

「えー。じゃあ雄のこっちはヒムオ、どよ?」

「あーうんもうそれでいいわヒュメス」

「すごいてきとうタルぅ~」

「このわざとらしい存在主張!」

「はいはい、もういいから。ちっと仕切り直して点呼でもとろーぜ」

「んだな。無駄に大人数いるからごっちゃなん。さすがに百はいないと思うが」

「はい整列してねー! ついでに名前も名乗ってみてくださーい」



   ◆

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