彼女の優しい微笑み
台所でトントントンと包丁で食べ物を切っている彼女を見る。
僕より年上で綺麗な彼女いい所に就職していて僕なんかとは比べ物にならないくらい人が出来てる彼女。
それに比べて僕は大学中退で親にも見捨てられ外にあまり出ず彼女に養ってもらっている状態・・・・・。
いつ別れようといわれてもおかしくないだろうし彼女の美貌なら男だってほっとかないはずだいやもしかしたらもうすでにいるのかもしれない。
不安に押しつぶされそうになりながら料理中の彼女にそっと抱きつく。
「ん?どうしたの?」
包丁をおいて優しく微笑みながらこっちに振り向いてくれる彼女、そんな彼女の優しさに触れてしまい甘えてしまいそうになる心に喝をいれ僕は彼女にいう。
「僕たち別れたほうがいいんじゃないかな?」
この方が彼女の為なんだと思いながらも、彼女の横には僕じゃなく知らない男がいる所を想像しただけでも涙があふれそうになるのを我慢して彼女を見る。
彼女はあいかわらず優しく微笑みながら「嫌ですよ、貴方と別れる理由がありませんもの」と僕の提案を拒否する。
その彼女の言葉に僕の心が喜んでしまっているが、その喜びをした唇を噛んで顔に出さないようにして僕は言う。
「で、でも、僕が別れたいと思っているんだから理由になるよ・・・・・・・多分」
彼女は僕が言うにつれて優しい笑みをやめ無表情で見てくる、その彼女の無表情に声がどんどん小さくなってしまったがきちんと言えたぞ、と思い下を向いている状態から彼女の反応を見るために顔を上げる。
「はあ~さっき、別れるの嫌ですって言った時ものすごく嬉しそうな顔をした貴方が言ったって説得力ないですよ」
あきれ顔でいう彼女の言葉にあわてて顔を隠しながら「そ、そんなわけないじゃないよ」そう僕が言うと、彼女は「ふふふ」とほほ笑むと僕を抱き寄せ。
「まったく、貴方は嘘がつくのが本当に苦手ですね、それに貴方のことですから私には自分よりもっと他の人が似合っているんじゃないかと思って急に別れようなんて言い出したんでしょ?」
彼女が僕の考えを読んでいたことに驚きながら彼女の胸の中でうなずく。
「で、でも本当に別れたほうが君は幸せになれると思うんだ」
そんな僕の言葉にあきれたため息を彼女はつきながら僕と目を合わせて言う。
「私にとっては貴方と一緒にいることが幸せなんです、他に幸せはありません」
「そ、そんなのウソだよ」
「じゃあ嘘じゃないっていう証拠を持ってきてあげます」そう言って彼女は机の引き出しから一枚の紙を取り出した。
「これは婚姻届です、後は貴方のサインすれば私たちは晴れて夫婦です書いてくれますか?」
「へ?え、こ、これはえ?」
いまいち状況がの見込めない僕を見て彼女は困った顔をすると僕の手を握って言う。
「女の私が言うことじゃないと思うんですけどね、まあいいでしょう一度しか言いませんからね」
「私と結婚してください」
その言葉を聞いて僕の心は大変なことになっていた、結婚?結婚って言うのは愛する男女が夫婦になるということ、つまり彼女はこんな僕の事を好きでいてくれているということで・・・・事態を呑み込めた僕は彼女の眼を見てはっきりと。
「はい」
と答えた。
後日談
「さすがに女の子にプロポーズされるのはあれだから、僕バイト始めるからその時はそのお金で指輪を買って僕からプロポーズするからその時まで婚姻届は書かないからね」
「それで貴方が満足するのならそれでいいですよふふふ」
そう言って彼女は僕に優しく微笑んだ。
面白いと感じていたらければ幸いです