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やはり私の魔法の使い方は間違っている。

 我が家系ことクラマシス家が代々受け継いできた魔法は仕えているノトリアス家を援助するような魔法のようだ。そしてノトリアス家と言えば闇魔法。つまり、それを助長する形で私は魔法を受け継いでいて―――。


「死霊術魔法、召喚魔法、呪術?うーん………」


 夕食の手伝いまでの午後の時間。それは私の場合、仕事が比較的少なく、自由時間に充てやすい時間でもある。よって私は魔法の教本を持って外に出て、裏山の開けた場所に。ちなみに屋敷の東側には一部柵が破損している部分があり、私くらいの小ささであれば問題なく出入りできるというわけだ。


 私が成長して大きくなるか、または破損部が修復される時が来たら詰みなのだが、それを知っているのはまだ私だけだ。報告しなければ、向こう3年は使えるため、出入り問題はおいおい考えればいい。


 まずは魔法の教本通り、魔力を腹の底から感じる練習から始めた。


 30分が経過して、魔法が使えるようになった。

 ………まさか、そんな簡単に使えるとは。


 まあ、とは言っても使えるのは、闇魔法の威力を助長できるようなものが大半だが。水魔法や火魔法と言った通常の人間が使えるものが私には使えないことがわかった。

 ……流石、ノトリアス家へのお仕えに特化した家柄だ。

 日が暮れ始め、木々の影が長くなり始めたところで、私は慌てて屋敷に戻ることにした。


 翌日からは皆が寝静まってから屋敷を抜け出し、気づかれぬよう明け方に戻る日々が続いた。領地の外れにある山で魔物狩りに勤しむのだ。そしてお使いを頼まれたときにまとめて素材を売り、資金とする。そんことをしていれば傍から見ると、ただの怪しいガキだが、生憎それをやめるつもりは毛頭なかった。


 しかし一つ大きな問題が発生した。私の生死に直結すると言っても過言ではない。一週間経ってから気づいたが、これでも中々耐えたほうだと思う。


「ふぁー………ねむい………」


 最近の悩み。そう。ずばり、眠気だ。よく考えたら当たり前だろう。こんな6,7歳の子供が睡眠を取らずして労働という名のレベル上げに勤しんでいるのだ。いやむしろ眠いくらいで済まされているのは幸運か。


 さて、どうしたものか。前世の私なら大学を休み昼間は寝る、という選択肢を取っていたのだろうが。生憎、働かざる者食うべからずと言うし、おそらくこの屋敷の仕事をしないと首が飛ぶ。睡眠時間と夜の活動という矛盾する事柄が私の頭のなかでせめぎあっては折り合いがつかない。


 いっそのこと破壊魔法で屋敷ごと壊してしまおうかと思ったが、それこそだめだ。


 睡眠はゴミだ。


 私にとって不利益だ。


「ん………?ふり、えき?」


「―――あっ!!!」


 故人は言った。

 パンがないなら、ケーキを食べればいいと。


 この世界におけるダークエネルギーの本質は”負”である。

 魔法の教本にはそう書いてあった。


 なら、睡眠時間が不利益なら、ダークエネルギーに変換してしまえばいい。

 そして私の動力とすればいい。


 早速私は就寝時間を過ぎると例によって、屋敷を抜け出して屋敷の裏山に。睡魔によってふらふらとする体に重たい瞼が私の邪魔をするが、好奇心が勝ったので問題はない。


 いつもは持ち込まない魔導書だが、今日ばかりは新しい魔法を使うので指導書は必要だ。ちなみに、小耳にはさんだ話だが、最近、書庫の魔導書が消えたと、メイドや次女の間でひっそりと話題になっているらしい。まあ、まさかこんな少女が隠し持っているなんて誰も思わないだろう。それに、主人の耳に渡るとやや面倒なことになるので、誰も告発しないというわけである。こんな屋敷のメイドでいいのか、と思ったが、その原因は私にあるので私に発言権はなさそうだ。よし、何も言わないでおこう。


 さて。


 闇の変換魔法のやり方は至ってシンプルだ。


 1.変換したいものを思い浮かべる。

 2.魔力と融合させて、腹の中で練るようにする。

 3.魔導書の一節を読み上げる。


 ただ、手順自体は簡素なものの、そううまくはいかないと聞く。それとなく姉貴に聞いたところ、何やら1.で変換したいものへの思いが強くないといけないとか。


 まあ、とりあえず行動だ。


 ………イメージしろ。


 睡眠はゴミだ。


 不要だ。


 むしろ私の人生を狂わせるような代物だ。


 そんな睡眠というゴミをゴミ袋に入れて、魔力と混ぜるように………。


「ああ、悪魔よ。負の遺産を漆黒の炎を持って薙ぎ払え。そうして我にダークエネルギーを与へ給へ」


「――――エナジー・ネゲート!」


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