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俺の彼女との高校生

高校生の夏、俺は告白にうとく、初恋の相手に朝早く学校に行き、下駄箱に手紙を入れて屋上に呼び出した。最後に名前も書いた。

 誰かもわからない相手に呼び出されて怖いだろうと思ったからだ。

 それに、俺らは全く話さないわけでもない。



 放課後になり、屋上で待っているとドアが開いた。


「ごめん。急に呼び出して」

「ううん、いいよ……。それで手紙のことなんだけど……」

「ああ、ちょっと伝えたいことがあって」

「なに……?」


 俺は思いこみだが、この告白は成功すると思っている。クラスでは2年と、3年一緒だった。


 2年の頃は、可愛いとして有名だった彼女だが、かなりシャイな方だったため、噂されるだけで誰も告白なんてしなかった。


 陽キャな美人だったら噂だけじゃなく行動に移す男子は少なからずいるだろう。

 そして、シャイだった彼女は唯一、俺に心を許していたと思う。

 毎日連絡もとっていたこともあり、適当な会話でも楽しかった。


 そんな彼女との生活が楽しく好きになった。

 

 そして——告白する。

 

「あ、俺好きな人できて……」


 思い切って言うと決めていたけど上手く言葉にできない。


「う、うん」

「実は……、その、東阪のことが好きで……、俺と付き合ってください!」


 当時は苗字で呼んでいた。


 思い切ってお辞儀をして、腕を伸ばす。


 握手を求めて、お辞儀をするのはこのためかと思う。告白する相手の顔を見るのが無理なのだ。


 恥ずかしいや、顔で判断できちゃうこともある。


 すると——


「う、うん! いいよ! よろしくね!」


 そう言い、手を握られる。その手は暖かく、心の奥まで暖かくなっていくのを感じた。


 そうして俺たちは高校の夏——付き合い始めた。


 

 翌日。朝は雨だった。ベットからゆっくりと起き上がる。


 まず、何時か確認するためスマホを開いた。

 すると、新着メッセージがあり、開いて見ると、『おはよう!』と書かれてあった。朝の4時に。


 はや! と思ったがそれには触れず『おはよう』と返した。

 


 学校に到着して、クラスに入ると東阪は先に学校にいた。

 時刻は7時26分。学校の始まりは8時30分。


 とても早いのだ。それもお互いに。

 俺は早く会いたいなと思っていると、すぐに家を出て学校に向かってしまった。東阪も同じなのかな……?


 東阪は何時に学校に着いているのか聞いてみたがったが、直接会うと上手く話かけられず自分の席についた。


 そして、スマホを取り出して、連絡アプリを開く。


 『今日早いけどなんかあったの?』と打つ。なんかあったなら協力できるかなと思った。すると、『何もないよ』と返ってきた。

 

 やっぱり俺と同じなのかな……、と思いつつ思い切って聞いてみることに……。『もしかして待ってた?』と送信。すると、『そ、そう。待ってた……!」と返ってくる。


 まじ⁈ 嬉しい! 心の中で心臓あたりが揺れ動いている。


 そんなことで机の下でスマホに夢中になっていると、ふと我に返った。いや、俺が馬鹿だったのかもしれない。俺は一緒の場所にいるではないか!


 と、思い東阪の方を見ると、机の下に視線を向けているが、口元がニヤついていた。


 かわいい! 歯を見せているわけではないが、あのニヤケ方にはとても共感する。好きな人との連絡中よくなるやつ!口を横に伸ばすが、歯は見せず、嬉しくなり、無意識にニヤついてるやつ!


 俺は生であいちゃんを見て、ニヤついているのに気づいた。

 そして、あいちゃんの返事をしていないことにも。


 『実は、俺も早くあいちゃんに会いたくて、つい早く家を出ちゃったんだ』と送信。即既読きどく。『一緒じゃん……!』と返ってきた。そして沈黙が続く。


 あることに気づき提案することに。『今日遊ばない?』と送信。即既読。『いいよ!』と返ってくる。

 

 今日は雨だったため、どこにしようか迷い、パフェとかどうだろうと思ったが、財布の中身を確認すると食べるお金すらなかった。そして、『俺の家とか?今日お金なくて、ごめん……』と送信。急に家に連れて行こうとして警戒されるかと思い、理由を入れて送信した。すると、『いいよ!行ってみたい!』と返ってきて安堵する。


 この後、いろんなことを連絡アプリで話していると、生徒たちの声が廊下から聴こえてくるようになった。



 そして放課後。俺たちは二人で家に向かった。


 東阪の家は俺の家から一駅しかかからず、夜まで遊び、送って簡単に帰ることができるなと思った。


 女子を家に上げるのは初めてで緊張したが、話しているうちに緊張が途切れ、会話がとてもはずんだ。


 そういう雰囲気になることもなく、あっという間に外は暗くなり、帰ることに。

 

 俺は駅まで行き、家まで送った方がいいかなと思い改札を通ろうとしたところ——


「ここまででいいよ」


 家までは大丈夫と言う。大袈裟おおげさかなと思ったが心配な気持ちになった。


「大丈夫?」

「心配しないで!」 


 これ以上は言っても大丈夫と言われそうで、それだったらさらに暗くなる前に帰らせようと思った。


「そ、そう? じゃあ気をつけてね」

「うん! またね!」

「バイバイ!」

「明日も遊ぶうね!」

「分かった!」


 そう言いお互い手を振る。東阪が階段を降り姿が見えなくなったところで俺も背を向け、家に帰ることにした。


 そして——次の日にあんなことになると思わなかった。 



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