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俺と彼女の復縁(2)

さっきのことがあり学校に向かう途中——


 俺らには沈黙が続いていた。お互いが話しづらい状況。でも俺らは一緒に同じ方へ、同じところへ向かっている。


 そして——沈黙を破ったのは東阪だった。


「さっきはありがと……」

「俺こそなんかごめん」


 自然に口からこぼれた謝罪。


 東阪は自暴自棄になってしまってついて行こうとしたのだろう。俺のせいで。俺のせいでいじめに合い、解決策だったとはいえ、俺は縁を切ることを選んだ。

  

 俺は別れてから気づいた。東阪は俺との別れが嫌だからいじめの事を俺に伝えなかったのだと。


「なんで謝るの」

「なんでだろうな……、人はあらゆる結果に後悔するものだからか」


 人は後悔をして取り戻せない生き物。


 例えば、テスト前にもっと勉強をしていればと誰もが言う。

 

 それはその点数よりもっと取ることができなのではないか、そう人は考えるからだ。


 恋愛でもそうだ。人は別れてから後悔する。その後悔から復縁《《復縁》》というものがある。


 カップルには倦怠期けんたいきという冷め期が必ず訪れる。それは付き合ってから3ヶ月後が多いらしい。そこで別れるカップルも多い。


 そして別れた後に彼女の大事さに気づく人が多いのである。


「後悔……?」

「いや、気にしないでくれ」


 また同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。なんの被害があるのかもわからない今、俺の今の気持ちを抑えなければならない。


 そんなことを考えていると俺らがなぜ同じところに行っているのか疑問に思った。


「俺らって学校に行く意味なくないか?」

「あ! そ、そうじゃん」


 東阪は今気づいたの笑っていて、付き合っていた頃のことが頭に浮かんだ。この笑顔。それも俺の失われたものだった。


 俺らに再び沈黙が続いた。


 帰るか、と言えなかった。帰りたくない。俺の欲求だ。俺は欲に弱い。


 子供のようだ。子供はあれやってみたいと言ってすぐに行動に出る。それらはすべて『やりたい』『やってみたい』という欲だ。


「じゃあ……あ、買いたいものあるから少しだけ付き合ってくれない……? ほ、ほらまたさっきの人たちが来るかもしれないし……」


 少し早口になっているが聞き取ることができた。俺は気まずいが、身の危険を守るため着いていくことにした。


 そんな時——


「お姉さんその人彼氏なんだ?」


 さっきの人だ。ナンパをしていた奴。悪そうな容姿をしていないが、ミステリアスな雰囲気がただよっている。


「ち、違いますよ」

「いや、でも、もう彼氏みたいなもんじゃない?」

「違いますよ……」

「彼氏じゃないなら遊ぼうよ」


 だんだん語尾が弱くなっていく東阪。

 

 どうすれば逃げられるのか。相手は彼氏がいないなら遊ぼうと言ってきている。


 ここは——


「この人は俺の彼女です、離れてくっくれませんか」

「え……」


 東阪には申し訳ないが、この解決方法しか思いつかなかった。もっと上手い方法があるとは思うが、俺には思いつくことができなかった。


「カップルなんだ、へ〜、悔しいな〜、僕気に入ったから今度また見つけた時声かけに行くね。あ、でも彼氏と一緒にいたら声かけれられないかな」


 普通に予告宣言みたいなことを言っていて怖い。そして、今度あった時、俺が彼氏じゃなかったら奪うということだ。そんな簡単に東阪がついて行くことはないが今回みたいに何が起きるかわからない。


 だが、ここはなんとか対処できそうである。


「じゃあ、俺たちは」

「またねお姉さん」

「は、はぁ……」


 そうして何とか助かったが、この後どうしよう……

 

 また見つかるかもしれないから一緒に帰るべきだろうか。彼氏のふり《《彼氏のふり》》をして。


「家まで送って行くよ、また会うかもしれない」

 

 俺は動揺を隠して、何とか言い切った。


「あ、ありがと。そうしよ」


 東阪も何とか受け入れてくれたため、東阪の家まで送ることになった。


 そしてさっきの男との会話を思い出す。そして顔も《《顔》》。


 俺は彼氏ヅラをしてまた過ごさなければならないのか。でも、東阪は今回のことなんか忘れて普通に過ごすかもしれない。いや、普通に過ごすだろう。今更彼氏ヅラして俺の近くにいるのは嫌だろう。


 しかも、現段階、さっきの会話のことなんか忘れて、今は友達みたいな距離感である。もう彼氏ヅラなんかしなくていいだろう。


 だが、また彼女の身になんか起きたときはどうしよう——


 そんなことを考えた。


 そして今回はっきりと男の顔を見て確信した。パン屋の近くのところでは東阪にしか目がいっていなかったが、今回言い合いをしたため、はっきり覚えている。


 あれは——累の友達だ。




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