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戦いは終わらない

作者: あまみや

最近学校の講義の中で小説を作っています。モチベーションの向上のために色んな人に作品を見て欲しいです。

一体何分経った?いつまでこうしてんだ?そう考えながら視線を落とす。自分との戦いってやつは、もっと重要な局面でぶち当たるものだと思っていた。なんというか、こう…一生に一度覚悟を見せる時みたいな…それがどうだ?いや、覚悟と言えば覚悟か?なぁ、お前はどう思う。プリンさんよ。

冷蔵庫を開けた時の俺はそりゃもう喜んださ。なんとなく腹が減ったもんで扉を開けたんだ。お宝が眠ってないかと、開けゴマ〜なんて言いながらな。そしたらホントにお宝があったんだ!眼前に輝く黄金!甘味の金山!偶然大好物に出くわすなんて、これは運命だ。おお、おお、いいじゃねぇのとプリンを手にとり、スプーンと皿を用意する。ただ食べるだけなら皿はいらない。けど、やっぱこれだよな。プッチン。子供じみた悦楽だが、プリンを食べる時に大人ぶってどうする?俺が食おうとしてんのは高級スイーツなんかじゃない、子供だましの安いプリンさ。なら、子供に戻ってだまされて食べんのが一番うまいってことだろ。「おやつにネ!」と陽気に歌うふたを剥がし、皿の上にひっくり返す。ここからだ。山の頂で空を仰ぐつまみに指をかけ、滑らかな黄金が落ちてくる様を思い浮かべて横に倒す。さあ、プッチン!


ぐにゃ


ん?んん!?おいおいおい、マジか、おい、この流れで!?なんで!?困惑する俺をよそに、つまみは未練がましく45度の姿勢で山頂の空気を堪能している。なあ、どごぞのキング・オブ・ポップじゃねえんだぞ。倒れろよ。穴を開けろよ。あーあーあー、どうするよコレ。口では慌てふためきつつ、頭を冷静に。まあ、つまみが一生はずせなくなったわけじゃない。こねくり回せば取れないこともないんだ。それに、空気が入りさえすればいいんだから容器の横をグッと押してやれば落ちてくるはず…。打開策を素早く提起する。だが、本当にそれで良いのか?プッチンの何が好きかって、あの一発でドスン、プルンと舞台が整うことだろ!つまりあの一発で終わらせなきゃプッチンにならない!つまみを無理に取るのも、横から押すのも邪道!だからといって容器に入ったまま食べるなんて言語道断!それこそ意味がないだろ…ッ。

誰に見られているわけでもないが、食べ方を歪めることは許されない。ここまでの俺を裏切らない。そう覚悟する。けど…食べたいッ!すぐに!欲望を信念で抑えながら、プリンを見守る。プリンと共有した時間の長さなら、俺が一位を取れる。そう思えるほど見守っていた…。そして遂に、こいつは俺に応えた。山の標高が下がる。天を仰ぐことをやめ、地を見据えているようだ。

どすん。ぷるん。ああ!ああ!やっと、やっとだ!放置されている間にじわじわと空気が入っていったのだろうか。とにかく、俺は一発の指の動きだけでプリンを落とした。プッチン成功だ。俺は喜びに手を震わせながら、それでいて震えがプリンを崩さないように注意を払い、口に運ぶ…。ぬるい、いやもう温かい。そりゃそうだ。長時間放置したから。冷蔵庫に戻すか?しかし、容器から出した状態をキープするのはまずい。シンプルに劣化する。それにこのまま冷蔵庫に戻すのはなんか汚い…。でも、ここまでしたプリンを温かいまま食べるなんて、もったいないにも程がある。クソっ、どうすれば…。

俺は子供に戻って食べるということを忘れ、再び自分との戦いに戻された。


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