その8
「お父さん、お母さん。それでは行ってきます!」
玄関の前で今すぐにでも行けるよう準備を整えた赤太郎。
そこに親二人は駆け寄ってきます。
「待ちなさい、赤太郎。鬼の正装をしなくては!」
そう言ってトラのパンツを差し出してくるお父さん。
「お父さん、僕にそんなの着ろって言うの?今は冬だしそんなの着て行ったら風邪ひくよ、『この頭が硬くて残念すぎる馬鹿な親父め』」
お父さんはしゅんとして鬼のパンツを背中に隠しました。
「赤太郎、道中どんな危険があるか分からないわ。護身用にこれを持って行きなさい」
そう言ってトゲのたくさんついた大きな金棒を差し出すお母さん。
「お母さん、僕がそんな重いもの持って行くと思う?それこそ船が沈んじゃうよ、『このなんでもかんでも暴力で解決できると思ってて、殴った相手が死んでも仕方ないとか思ってるドS鬼畜母親め』」
お母さんはアハハと笑いながら棍棒を後方へ投げ飛ばしました。
「それでは改めて、行ってきます!」
「ああ、船は同僚の三人に手配してもらったから、いい子にするんだぞ。お父さんは家でお母さんの面倒みてるからな」
「は?何言ってるのあなた」
「え?」
「昨日の夜、話したでしょ?
赤太郎が無事に帰って来られるようにあなたが命にかえて盾替わりになるなら出発を許す
って」
「ウソ……」
「そういう訳だから、赤太郎。お父さんのことよろしくね」
そうして赤太郎のお父さん、吉備太郎も一緒に行くことになりました。




