その14
「誰じゃ!」
「イヌです、居ぬ!登場後一度も喋っていないイヌです!」
「まだ居たんか!」
「まだ居たじゃないですよ、まったく……それより桃食老さん!鉄製の剣なんてすでに竜宮城と契約していて不要です。需要ないです!それに桃食老さん一トンも買ってどうするんです?置き場所ないですよ!」
「はっ、それもそうじゃった。契約は取り消し!なしじゃなし!」
なんということでしょう!
せっかくの契約書はその場でビリビリと破かれてしまったではありませんか!
しかし赤太郎は落ち着いた様子です。
なにせ赤太郎からしたら、こんな事は想定内。
むしろ「あんなツボとふいごでは製鉄など不可能、過剰パフォーマンスの詐欺だ」と指摘されなかっただけましだと考え、次の行動に移ります。
「わしらは帰る!」
「桃食老さん、待ってください!まだ私たちのプレゼンは途中です!」
「なんじゃと?」
「はい、こちらをご覧下さい」
そうして次に運ばれてきたのはシュポシュポ煙の出ている装置。下の方では何かが燃え、その上で管がねじれるように繋がって車輪のようなものがくるくると回転しています。
「なんじゃそれは!」
「蒸気機関です」
「ジョーキキカン?」
「はい」
「これも石が関係するのか」
「はい。これは石炭を燃やす事で熱エネルギーを運動エネルギーに変えています」
「ほぅ」
「……」
「……」
「……」
「……」
「で?」
「はい?」
「だから何じゃ?」
「え?この凄さがわからないんですか」
「わかるも何もただ車輪が回っておるだけじゃないか!」
「そうですか……はい、それでは次はこちらをご覧下さい」
そうして指差したのは霧のかかった海の方角。運びこまれてきたのは
「何もないじゃないか!」
「いえ、待ってください…………来ます!」
「んう?」
耳をすませば、ボーボーと音が響いてきます。音はだんだん近くなり、霧の中から現れたのは、それはもう大きな大きな真っ黒い
「く、く、黒船じゃぁぁぁぁぁあ」




