その12
大きな大きな黒いツボ。それを見た桃食老は目を大きく見開いて驚きます。
「そ、それはなんじゃ!」
「無視してください」
「へ?」
「後で説明しますので。まずはこちらをご覧ください」
そう言って、赤太郎は二つの石を差し出します。一つはカラスの羽ように黒い石、もう一つは赤錆のような色をした赤い石です。
そうです。これは
「きびだんごか?!」
「阿呆ですか?」
「さては桃か?」
「今まであなたは何食べてきたんですか?これは正真正銘『石』ですよ。黒い方が今まで貿易品にしてきた石炭、そしてもう一つが鉄鉱石です」
「なんじゃ、食べ物ではなかったんか」
「どうして食べ物と連想なさったのかはわかりませんが……まあ置いといて、我々が取引したいのは石炭に加えてこの鉄鉱石のことです」
「所詮石じゃろ?」
「いいえ、ただの石とは言わせません。ここでこちらをご覧下さい」
赤太郎はそう言って、先程持ってきたツボを指さします。するとなんということでしょう!ツボが燃え始めたではありませんか!
「さてはお主魔法使いじゃな!」
「普通に助手が火をつけただけです」
「なんじゃ、つまらん」
「あの中にはこの二種類の石を砕いたものが入っています。さあ、魔法はこれからです」
そう父親の同僚を助手呼ばわりした赤太郎は再びツボの方に視線を向けます。すると助手鬼達が大きな大きなポンプのようなもの、ふいごでツボの下から空気を送り始めました。
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