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愛玩動物勇者  作者: マロンさん
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第5話

5話 「誓います」


「そうよ、契約!契約しないと!」


そういうなりアリトンもといアンリはバタバタと棚から何かを探し始めた。

この娘は計画的に行動することは出来ないのかとアバドンもといブランは呆れながらその光景を見ていた。


「あったわ。これ無いとブランが私のペットだって証明にはならないのよね〜。」


アンリの手元にはペンダントが握られていた。


「ペンダントについて説明が必要かしら?」


アンリの質問にブランは首を横に振った。

このペンダントは魔族が自分の従者やペットに送るものである。形や色は魔族1人1人に異なるため、見れば誰と主従関係にあるかが分かるようになっている。魔族は横にペットがいるため人間の彼にもペンダントについては知っていた。アンリのペンダントは中央に小さな黒い宝石が埋められており、黒と白を貴重とした少し複雑な形をしたものであった。


「じゃあ、早速契約の儀式を始めるわね。あなたは特に何かをするわけじゃないからあんまり緊張しなくて良いわよ。」


そう言いながらブランの首にペンダントをかける。最初は身構えた彼であったが、素直に受け入れることが出来た。

アンリがなにやら呪文的なものを唱え出す。


「イサ・ナ・シャシンカ・ラカルゲ・アテシキ・エシヲタ・ナーアガ・シタワナキテステ・クイワ・カノコ。」


聞いたこともない言葉とともに(恐らく魔族特有の言語なのだろうとブランは思った)紫の光が2人を包み込んだ。

何処からともなく声が響いてくる。


「アリトンよブランをパートナーとし、共に困難を乗り越えることを誓うか?」


アンリは力強く答える。


「誓います!」


「本当に?」


「本当に!」


「大丈夫?」


「大丈夫よ!あんたこれするたびにしつこく質問繰り返すのやめてもらえる!?」


「はいはい。すみませんね。これで契約終わりだよ〜。」


声の主が終わりの宣言をした。なんか分かりやすい終わり方だとブランは心の中でそんなことをボーッと考えながら2人(?)の会話を聞いていた。


「と、とりあえず。」


コホンと咳払いをしつつアンリはブランの方を向いた。


「これであなたは正式に私のペットよ。」


アンリは更に契約についての説明を続けた。


「このペンダントがあなたが私のペットだって証明になるんだけど、中心の宝石を砕いたら契約破棄になるの…まぁ、やっぱりペットになるのが嫌だったらやってみて。」


そして、と彼女は続ける。


「一応契約を行ったことであなたは私の場所が分かるようになったわ。勿論私もブランのことが分かるようになってる。契約して1番大事なことがそれかなぁ。」


他にはどんなことがあるのかブランはアンリに問いかけた。


「あとは特に大した効果は無いわね。しいて言うなら私に故意に攻撃した場合あなたが死ぬくらいかしら。」


「なにさらっとやばいこと言ってんだ。」


アンリは得意げな顔で事実を突きつける。


「まぁ、あなたが叛逆しようものなら問答無用で関係が破棄されるってことね。永遠に。あと、この効果は宝石砕いても続くから注意してね。」


それ下手したら悪用できないかと思いながらブランはため息をついた。

ひと段落ついたところでアンリがさて…と言葉をこぼす。


「やることはやったわけだし、そろそろ寝ましょうか?」


そう言われてブランは外に目をやる。

闇がすっかりと空を覆っていた。今日は雲量も多いらしく、星すら見えない。漆黒。時々魔物の蠢く音が聞こえてくる。魔族は人間と同じ日中過ごし、夜間に休息をとる。夜は魔獣や魔蟲といった魔物達の時間である。


「そうだな。もう寝ようか。」


「じゃあ、こっちよ。」


アンリが手招きしていたのでブランはそれに従ってついていく。部屋の隅には黒のカーテンで仕切られた場所があり、アンリがカーテンを開くと巨大なクッションのようなものがドンッと置いてあった。そこにアンリが身を投げ出した。どうやらこれがベットのようだ。


「なにボーッとしてるの?早く来なさいよ。」


アンリがブランの方を向き叫ぶ。彼はえ?といった表情していた。思考が止まりかけている。アンリは自分の横に空けた空間にバンバンと手で催促していた。どうやら添い寝しろということらしい。


「確かに僕と君はペットと主人の関係だけどさ、見た目はそっくりな種族なんだよ?異性と寝るのは恥ずかしくないの?」


戸惑いながらもブランは思っていることを口に出した。アンリはきょとんとした顔をした後少し考え事をした。少ししてこう答える。


「でも私達って家族みたいなものでしょう?そうね…私のことを姉と思って見たらどう?」


そう言いながらアンリはブランをベットの方へ引きずり込んだ。そのまま彼女は彼の胸の上に頭を乗せる。


「むふー。毛が無いからもふもふ出来ないのは残念だけど、まぁ合格点ね。」


アンリはそのままギュウッとブランを抱きしめた。ブランは「妹」が居たらこんな感じなんだろうなぁと考えながら静かに目を閉じた。

………

ふとブランは目を覚ました。外を見るともう日が昇り始めている。アンリの姿が見えなかったので彼は部屋を見渡すと姿見の前で身支度をしている姿を見つけた。


「あら、目が覚めたのね。朝ごはんあるから、食べたら出かけるわよ。」


また唐突に話が進んでいるのでブランはどこにいくのか慌てて聞いてみた。


「きまってるじゃない!学校よ!」


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