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愛玩動物勇者  作者: マロンさん
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第3話

【第3話】あなたのことを知りたいの!


「私はアリトンお姉様の妹、レヴィアと申します。…ペットさん。」


アリトンも小さい娘だったが、勇者の目の前の少女はさらに小さい体つきをしていた。

服装は紫を基調としたドレスに白いフリルが付いておりとても可愛らしい。胸にはこれまた可愛らしいブローチが付いている。髪は腰まで伸びているが、手入れがきちんとされて綺麗な黒髮だった。魔族は角を見ればその魔力が分かる。レヴィアの角は小ぶりではあるもののサタンと同等かそれ以上の魔力を感じ取ることが出来た。しかし、それより勇者が驚いたのは


「妹って…あのおっさん(サタン)意外と子沢山なのか⁉︎」


そこか。

まぁ、サタンと直接対決した者としては気になる部分なのだろう。


「私を含めて七人兄弟です。アリトンお姉様から聞かれませんでしたか⁇」


更に衝撃発言がレヴィアの口から出て来たため、勇者は口をパクパクさせて言葉が出てこなかった。


「私が今から呼んで来ましょうか?お兄様達にご挨拶しましょう。」


勇者が今おかれている状況からしてそれはまずい。折角逃がしてくれたアリトンにも示しがつかない。勇者は話題をそらすことにした。


「わざわざそれは悪いよ。それよりも本を読んで良いんだよね?何かオススメとかある?」


レヴィアは少し考えて一つの棚を指差した。


「アリトンお姉様はそこの本をよく読まれていましたよ。」


勇者は話を合わせてその棚に向かった。心中は適当に読んだらしれっと部屋を出ようと考えていたのだが本を見てふとあることに気がついた。


「あれ?他の棚の本は見覚えのない文字だけど、ここの本だけ人間の文字で書かれている。」


「他の本はみな魔族の文字で書かれています。アリトンお姉様は人間に興味があるみたいなのでよく調べていらっしゃいます。気になるなら話を聞いてみたらどうですか?私は人間が苦手なのであまり聞こうとは思いませんでしたが。」


ではゆっくりどうぞと言ってレヴィアは部屋を後にした。人間の言葉で書かれている本はかなりの数で絵本から小説。伝記や魔族の誰がするか分からないゲームの攻略本まであった。


「アリトンは何でこんなにも人間のことを調べてるんだろうか。…気になるな。城から出るのはレヴィアが言う通りアリトンから話を聞いてからでも遅くないんじゃないだろうか?」


そう言うが早く勇者は図書館を出て元来た道を引き返した。

アリトンの部屋の前に辿り着いた勇者は扉をノックした。


「アリトン…居るか?」


ぐすっと声がした後しばらくして扉が開いた。


「何で戻ってきたのよ。もう協力はしないわよ?…スン」


鼻水をすする音と赤い目頭先程まで彼女が泣いていたことが想像出来た。


「どうしたんだよ。何で泣いてんだ。」


「だって、折角人間と家族になれると思ったのに…」


勇者はしっかりと話に耳を傾けていた。

順を追って説明すると、アリトンは人間との争いで魔族の人が傷ついて帰ってくることが嫌だったらしい。しかし、魔族は人間を食料としている。つまり生きるためには人間と戦わないといけないのだ。そこでアリトンは人間となるべく争わなくて済む方法を昔から探しているらしい。だから…


「人間の中で最強と言われているあなたをペットとして…家族として迎え入れて一緒に過ごせばもしかしたら書物だけじゃ分からないことが分かってくるのかもしれない。正直兄弟にはあなたと一緒に過ごすことをよく思っていない人がいるけれど、人間と一緒に過ごすことが出来ると証明出来たら何かのきっかけになるかもしれない…そう思ったの。私はあなたの…人間のことがもっと知りたいのよ。」


勇者はその話を聞いてアリトンの考えに非常に共感を覚えた。出来れば協力してあげたい。しかし、人間側も魔族に散々食べられてきた歴史がある。この娘に協力する理由があれば…まてよ


「なぁ、アリトンって魔王の娘なんだよな?ってことは次の…」


「えぇ、魔王候補よ。なるには7人の兄弟全員を納得させる必要があるけど。」


やはり。と勇者は自分の考えが正しかったことを確認してアリトンにある頼みごとをすることにした。


「なぁ、僕が魔王城で捕まっているって噂を流すことは出来るかな?仲間の耳に入ればきっとあいつらなら助けに来てくれるはずだ。」


「…?何が言いたいの?」


それだけの言葉ではアリトンは理解できないようだ。


「その…つまり、仲間が助けに来てくれる間までなら…」


これを認めるのは気がひけるので勇者は言葉を濁してしまったがアリトンにはそのセリフが伝わったらしい。俯いていた顔が一気に明るくなる。


「本当に!?じゃあ…」


「…君のペットになろう。」


認めてしまった。これからどうなるのだろうと勇者は自分の言ったことをもう後悔しそうになっていた。


「じゃあ…早速。」


アリトンは楽しそうに笑っている。勇者は何を言われるのか身構えていた。


「あなたの名前をつけなきゃね!」

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