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三田一族の意地を見よ  作者: 三田弾正
第伍章 坂東怒濤編
131/140

第百二十九話 暴漢退治、そしてコーヒーがべらぼうに甘い

お久しぶりです。やっと更新できました。


永禄元(1558)年十月三十日


相模国西郡小田原 万国飯屋 三田康秀


何だかんだで、色々あったが暴漢どもは御用とした。

良いんだ、助五郎(北條氏規)が痛い台詞吐いて、後から真っ赤な顔で悶えたとか、満五郎(藤橋秀基)が屋根から落ちてきたとか色々あったけど。取りあえず味方は満五郎が腰打った程度で他の怪我人はいないので結果オーライなんだよ!!!


それで良いのだが……


『助五郎様、あーんしてくださいまし』

『助五郎様、こちらも美味しうございます』

『えーと、えーと……』


『助五郎様、義は嬉しゅうございます』

『助五郎様、貴子も嬉しうございます』

『えーと何が?』


『『あの情熱的な告白は忘れられません』』

『告白って??????』


『この小田原城下での乱暴狼藉、お天道様が許してもこの僕が許さない!のあとで、妾達を抱き寄せたではありませんか』

『「未来永劫共に有る」と仰っていました』

『抱き寄せてないし言ってないし!』


『『あの時は胸が苦しくなりました、此が恋と思いました』』

見事に2人がハモっている。

まあ、半分以上は2人の妄想なんだけど、あれって俺の書いた同人誌や恋愛物の台詞やシチュエーションだよな……結果俺の成果……あはははは、笑えねー。


しかし、端から見ていると甘い甘い甘過ぎる!!!!!!

隣の席でイチャイチャしている姿を見ていると、コーヒーを飲みたくなって飲んだら、そのコーヒーが千葉県人御用達の砂糖Maxのコーヒーだった感じ。


助五郎が困惑しているが、お前の言動と行動がそうさせたのだ、仕方が無い。そう断言する!

なんと言っても危機一髪にご期待どおりに現れないヒーローじゃ無く、颯爽と現れた白馬の王子様って感じだったから。取りあえず食事が終わるまでの暫しの辛抱だ、諦めろ。


それにしても、今回は何とかなったが、実際の所は他国の使者と公家の姫様が危ういところだった訳で、万が一の事があったら、あの妹大好きな鮭様(最上義光)が激怒することこの上ないし、唐橋の爺さんも怒るだろう。下手すりゃ宮様に苦言を貰う可能性もあったわけで、それ考えたら頭が痛くなる。こうなったのも、全てあの暴漢どものせいだ、畜生めー!


まあ、あの暴漢どもは今は風魔と甲賀と伊賀の連中からありとあらゆる方法で尋問されている最中だ。尋問や薬のプロ揃いで死ななきゃ良いわけだからどんな風になるやら。風魔小太郎があれ(シュールストレミング)を使いたいとの事なので使用許可も出したが、付近一帯が大惨事にならなきゃ良いが。


それは置いといて、最上義姫に唐橋貴子姫は、ヤバいところを颯爽と現れた助五郎にメロメロで恋に恋する乙女の目。このまま行けば助五郎に二人嫁が出来るよ、やったね!

まあ、最上は羽州探題の家柄だから、政所執事の伊勢家の分家の北條家ならば釣り合いは取れると、父親の最上義守ならその辺りのメリットを考えるだろう。


貴子姫と義姫、二人とも可愛いし将来も安泰だぞ。何と言っても貴子姫は半家である唐橋家の分家の姫、まあ多少はオタク……じゃねーか、相当な腐女子な所はあるが大丈夫大丈夫だよな。方や義姫はかの最上義光の妹にして史実じゃ独眼竜政宗の母親! 気は強いし、嘘か真かどうかは知らんが、息子に毒を盛るという逸話もあるんでオッカナイかも知れないが、根拠は無いが助五郎なら大丈夫だよ、きっと。


それにだ、義姫は本来嫁ぐはずの伊達輝宗は未だ生きているのか死んでいるのかさえ不明だ。誰も頸を取っていないし、落ち武者狩りにあったとも聞いていない。恐らくは人知れず死んで草むす屍か熊の餌にでもなっているんだろうな。その為に伊達家は中野某が傀儡にする米沢の伊達六郎、史実だと留守政景と、伊達稙宗が後見する大森の伊達実元との内乱に突入した。


聞くところでは実元は桑折西山城を再建して居城にしたらしいが、伊達両軍が板谷峠付近で幾度となくせめぎ合いしているとか。その辺は東北に詳しいし地縁のある佐竹家からダイレクトに連絡があるので情報が入りやすいし、親戚の相馬家からも満五郎の実家経由で連絡がある。なぜなら満五郎の実家の本家は相馬家の家臣だからな。そして相馬家は伊達稙宗の娘婿だから実元側で戦っているそうだ。


そんな時期に仲裁をするべき将軍は朽木谷に長期バカンス中。亡命とも都落ちとも居候とも言うが、まあ朝廷からも無視されている。仕方ないじゃん偶にしか連絡が付かないんだから。それに幕臣が偉ぶってウザいから公家さえも嫌ってるぞ。俺も義輝たちは大嫌いだがな。 


そんな中で宮様が征東大将軍に就任という超弩級の金看板が関東に出来た。元々権威に弱い坂東武者や奥羽武者はあっという間に宮様に使者を送ってきたわけだ!


本当なら最上家は当主の義守か息子の義光が来るのが普通なのだが、義守と義光は伊達の内乱に対処するため残り、代わりに義姫が自ら志願して小田原まで来たらしい。流石は正史で兄と夫や兄と息子の戦闘現場のど真ん中に駆け付けて和睦を図ったりしただけのことはあるな、行動力が抜群だ。


このまま行けば本当に助五郎の嫁になりそう。まあ最上にしてみれば征東大将軍府執権の一族に連なる訳だから。その辺を鑑みれば、政略結婚の相手としては、氏政は武田から、氏照は公家から、氏邦は藤田から、嫁が来ているか予約済み、五男ではあるが、正室腹の助五郎は実質三男扱い、正史では次男扱いだったから十分にあり得るか。


ただな、あの鮭様(最上義光)だと妹可愛さに何かするかも、それが超不安だ。


『二人とも祝言と言っても御両親の許可がいるでしょう』

食事をあーんされながら考えているうちに助五郎、義姫、貴子姫のテーブルの話がついに結婚の話まで飛んで来たぞ。二人は既に嫁ぐ気満々、それを察した助五郎が両親の許可が要ると言ってはぐらかそうとしているか。


『ご安心くださいまし助五郎様、我が父は私のお願いなら聞いてくれますし、兄上も駄々甘ですので喜んで送り出してくれます』

『妾も同じじゃ、父もお爺さまも助五郎様に嫁ぐと聞けば諸手を挙げて賛成してくれます』


『いや、それでも……』

『もしや助五郎様には既にお方様がいらっしゃる?』

『義ちゃん、それは無いぞ。助五郎様はつい先日まで今川に人質として出向いて行ったのじゃから』


『もしや、今川に恋い焦がれた女子が』

『そういえば、お爺さまから縁談があったと聞いた気が』

『何と!』


いや、その縁談は完全に嫌がらせで大年増との縁談だし。

二人にタジタジの助五郎がチラチラとこっちを見て助けてくれと目で訴えてくるが、見られている妙がぼそっと呟いてる。


『あれぐらい捌けなければ生きていけないでしょう』

怖っ、うちの奥さん逞しくなったな。


「旦那様、こちらも負けじとやりましょう」

「だな」

「そうじゃな」

「賛成です」


うちの嫁達や嫁予定?も真似し出した……

大人しいのは美鈴だけですよ。


「さあ、此が美味しいですよ」

「こっちも旨いぞ」

「此が良かろう」

「いいえ、此ですよ」


「「「「長四郎さま、あーん」」」」

勘弁してください、そんな一遍には食べられません!



永禄元(1558)年十月三十日


相模国西郡小田原 万国飯屋 北條助五郎


弱った? まずった? しまった? 畜生メー!?


どう言ったらいいか、義姫と貴子姫の二人がベッタリなんだ。二人とも命の恩人と言ってくるんだけど、最初は格好よくしたけど、結局は義兄上たちとかが捕縛したわけで、今考えると恥ずかしい限り。

まあ、二人とも可愛いから嬉しいとは言えるけど、いきなり嫁ぐとか言われても人生経験少ないからどうして良いやら分からない。


義兄上と姉上に助けを求める目線を送っても無視された!

姉上は完全に自分で何とかしろと言う目だ。義兄上は何やら考えている上にあーんの連続攻撃を食らってるし。味方はいないのか?


『ささ、ややこは幾人欲しゅうございますか?』

『妾は三人は欲しいぞ』

「いや、それは、早いんじゃないかと」



永禄元(1558)年十月三十日


相模国西郡小田原 万国飯屋 三田康秀


うげっ、いくら旨い食事でも強制あーんじゃたまらん。

まあ、うちの奧さん連中は限度を判っているからなんとかなったし、助五郎もなんとかなっている。

が、もう一つのテーブル席じゃカオスが……


『満五郎様、こちらをお召し上がりくださいまし』

『はっはい』


『ややこは4人は欲しうございます』

『え、ええ』


『義父上、義母上様にご挨拶を致さねば』

『あ、ああ』


『そうそう、母上と義父上に手紙を書かねばなりませんね』

『そう』


凄く困惑している。主に満五郎だけが。だが。


『えっと、喜多殿』

『何でございましょう、旦那様』

『その旦那様なのですが……』


『あああ、まだ祝言も挙げぬままでは早うございましたね』

『そうでは無くて』

『もしやあのお言葉は嘘偽りなのですか』


んーん、満五郎が彼の独眼竜政宗を育てた片倉喜多の猛攻にたじたじだ。

それはそうとして、小田原城下でさえも世紀末モヒカンの様な輩が徘徊しているんじゃ、関東各地の治安の低さは推して知るべしだ。早急に治安維持の為に交番制度と緊急展開治安軍みたいな物の整備が急務だ。



永禄元(1558)年十月三十日


相模国西郡小田原 万国飯屋 片倉喜多


わたくしは片倉喜多と申します。出羽国米沢の成島荘八幡宮神官である片倉家の娘でございます。元々は伊達家家臣鬼庭良直の娘でしたが、当家は男児が生まれなかったのでわたくしは鬼庭家の唯一の子として少しでも役に立とうと文武両道に通じ、兵書を好み講じてきました。ですが側室に男児が生まれたため母は離縁され、片倉家にわたくしを連れて再婚したのです。


しかし、昨年弟が生まれたので、そろそろ身の振りどころを考えていましたが、わたくしの様な年増な上に男勝りは嫁の貰い手が無いと諦めておりました。そんな折、最上の姫様に誘われて侍女としてお仕えすることになったのですが、まさかこの様な出会いがあるとは八幡様に感謝です。


先ほどは姫様の危機に颯爽と空より現れたお方に助けられて胸がドキドキです。

満五郎様は姫様を攫おうとした下郎を上から潰し助けてくれたのです。

その後姫様とわたくしの手を引いて助けてくれたのです。


その際にお怪我を負ってしまいましたが、大したことがなくてほっとしています。

下郎を満五郎様の御主君が捕縛し、あっ、わたくしも手伝って下郎どもを退治したのですが、投げ飛ばした後で、折角満五郎様と言う素敵なお方と知り合えたのに、またやってしまったと凹んだのです。ですが満五郎様は、なななんと、わたくしに求愛してくれたのです。


ああああ、先ほどの事を思い出すだけで胸がポカポカします。最初は冗談か嘲りかと思ったのですが『素晴らしいね、惚れ惚れするよ』と仰って頂いたのですからもう天にも昇る気持ちです。

聞けば、御主君は北條様の婿君とか。姫様も助五郎様に嫁ぐようですから、わたくしも満五郎様に嫁いでも良いですよね、うふふふふ。



永禄元(1558)年十月三十日


相模国西郡小田原 万国飯屋 甲賀の美鈴


助五郎様と満五郎が女子に給仕されている。助五郎様は判るさ。未だ未だ若いけどいい男の片鱗を見せているし、北條家の子息だから。けど満五郎の席では面妖な事態が起こっている。なぜって満五郎が妙齢の女性にグイグイ攻められているからね。


何故かと言えば屋根の上にいた満五郎が義姫様を人質にしていた賊の上に落下して義姫様と喜多殿を救うという奇跡が起きたんだよ。実際は騒ぎに驚いて屋根に登って上から見ている最中に足滑らして落ちて来たんだけどね。喜多殿にしてみれば命の恩人だし、長四郎様の仰っていた吊り橋効果って言うのか、完全に嫁ぐ気満々だね。


満五郎にしてみれば、何時もの調子で求愛したんだろうけど、まさか相手が承諾するとは思わなかったのか動きや言動がぎこちないね。ありゃ完全に尻に敷かれるね。それの方が満五郎には良いんだろうけどね。

出来れば一ヶ月に一回は更新を再開したいです。


まあ、半分以上は2人の妄想なんだけど、あれって俺の書いた同人誌や恋愛物の台詞やシチュエーションだよな……結果俺の成果……あはははは、笑えねー。


の成果ですが「せいか」「成果」をかけてますので誤字じゃないです。


最近の研究で、長男の名前が氏親、氏規が四男、氏邦五男、更に今川氏真夫人は長女では無いと言う事が判明してましたが、この作品は古い時代に書き始めた為に、旧来の説に基づき、氏邦四男、氏規五男、今川氏真夫人は長女と言う感じで行きます。つまりは平行世界とお考えください。


すみませんん、貴子姫の名字を間違えました。

飛鳥井じゃなく、唐橋でした。

飛鳥井は基綱君家だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] よっかったーふっっかつしたー [一言] 基綱君…もしかして淡海の海のほうって事???            ↑          漢字忘れた
[良い点] いつの間にか更新来てたヤッター [一言] >ご期待どおりに サインをねだって並ばなきゃ(使命感)
[良い点] お久しぶりです。戦国物にハマるきっかけの一つと成った作品なので心待ちにしてました!これから宜しくお願いします
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