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父とパパは別かよ~っ!

作者: 浅川太郎
掲載日:2011/12/02

毎晩でも、今でもバリエーションを変え、繰り返されてる話だと思います。

もうすぐ卒業という頃、博多は中洲の夜の女性を好きになったことがある。


一度、店がハネた後、デートしようと誘い、デートしたことがある‥‥今なら、「アフター」した、で済む。


待ち合いに決めた喫茶店で待ってると、女は、自分の部下と思われるような女と二人で来た。


「帰る方向おんなじだし、ちょうどおなかも空いてたし、いい?」


「うん、いいよ」

サンドイッチ、その他の軽食をとり、店を出たら、さすがに師走、目を凝らすと白い雪が降ってきて、彼女の黒いコートの上で消えた。

店内からイーグルスの『呪われた夜』が聞こえてきた。

いつの間にか、彼女が連れてきた女もいなくなっていた。すると彼女は、

‥‥この頃わたし、いつも考えてるんだけど、この商売は長く続けてはいけないと思うの。前に簿記とか珠算、勉強してたんだけど、もういちどやりなおして、ちゃんとした職に就きたいの。

‥‥いいことじゃないか。


‥‥で、お願いがあるんだけど。


‥‥何?


‥‥お金、貸してほしいの。


‥‥百万なんて無理だよ、学生だし。


ふふ、と笑い、

‥‥二万でいいの。


僕は貸した。

社会人となり、関東で過ごした。

なかなか返却されなかった。

いくらヒトのいい僕にも、騙されたと理解できた。

僕は彼女に手紙を書いた。はやく返却してくれ、とは書かなかった。

返事が、来た。「なんだか、あなたの書くことに皮肉を感じます。いえ、分かってます。わたしがいけないのかもしれません。もう少し(まま)ってください」とあった。

夏休みが近づいても返却されない。

もはや返してもらうこともないとは解っていた。

そして夏休み。

帰省のついでに、彼女の家をさがしてみることとした。

博多区の町名だった。

何かしら、「貧民窟」という言葉が連想された。

住所を頼りに女の家をさがし当てた。

崩れかけたような暗い家の前、250ccくらいのバイクが置いてあり、幼稚園児であろうか、二人の男の子がサドルにのって遊んでいた。


「石村里子さんのとこって?」

「ここやけど、いま、おらん」

「お父さんは?」


「死んだ」


「じゃあ、それ、だれのバイクなん?」


「パパの‥」

里子さんは、子供に、父さんは死んだ、今いるのはパパだ、と教えていたんでしょう。今の僕なら、喫茶店に女を連れてきた段階で、あ、フラれたと理解する。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんだかちょっと切なく感じました。これはちゃんとしたお話しになりそうなので、物語として書いてみた方がいいかもしれません。 [気になる点] あとがきの文章はお話の中に入っていた方が良かったか…
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