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アーサーとマーリン



玉座の背後。

壁画の一部が、わずかに軋んだ。


魔力の圧が揺れ、即座にトゥルムがアーサーの前に。



「“ムー大陸の皇太子”のご帰還でしょう?」



アーサーの体内で、何かが反応する。


――この反応は知っている。

――あの、混沌種と呼ばれたものに対する拒絶反応と同じだ。



「下がれ、マーリン」



バトラズが低く呟いた瞬間。


玉座の影が割れ、その姿がアーサー達の前へ。


「また除け者にするのですね?」


黒紫の魔力が空間を染める。

長い髪が宙に舞い、瞳は濁った混沌色。


「……裏切りを知らないわたくしはさぞ滑稽だった?」


その声は少し震えている。


怒りではない。


しかし、しっかりと父を見つめていた。



「ねぇ、バトラズ……?」



玉座の王は、まだ立ち上がらない。


見開いた目を逸らさず、何か言いかける。


「やめて下さい、マーリン妃」


アーサーが一歩前に出る。


「ああ、忌まわしい」


マーリンの視線が、初めてアーサーを捉えた。


目があった瞬間、背筋にぞっとした何かが駆け抜けた。



「そこは、“我が子の席だった…”」



空気が軋む。

するっと杖を取り出した刹那。


「死の呪いにするべきだった」


「待て、マーリン!落ち着くんだ」



バトラズの制止しよりも速く、真っ黒い波動がアーサー達めがけて飛んでいった。



(ライト)(シールド)


バンと音を立てて光盾に当たった何かが弾け飛ぶ。



「、、、どうして、返して。そこは、お前の席ではない!」



マーリンの感情が昂ったと同時、不快なものが空間を歪める。


床が波打ち、天井の光が吸い込まれる。



アーサーの胸が熱を帯びる。



石盤の名が、脳裏に浮かぶ。


――アーサー・ペンドラゴン:封じられし属性


ピシッと何かが音を立てて頭の中で割れ、少しだけ漏れでる。そんな感覚。



「……消えろ」



無意識に呟いた瞬間。


白い光が、アーサーの体から漏れた。


そう、“少しあふれでた”という方が正しい。

何故ならそれは攻撃ではなかった。



「???」



光の波動が黒いモヤに触れた瞬間、霧散する。


紫黒の魔力が、溶けるように消えていく。


マーリンの動きがはっと止まる。


「……この光は」


彼女の瞳から、濁りが落ちる。


憑き物が剥がれ落ちるように体から黒いモヤが消えていく。


そして、、崩れ落ちた。



「……(わたくし)は……何を……」



ほっと一息ついているアーサーの所へとマーリンが近寄って行く。


「……」


さっとトゥルムがアーサーの前に出るが、アーサーがそれを制止した。


「もう、大丈夫だと思う……」


「…アーサー、貴方の呪いを解呪します」


魔方陣を書いて魔力を流し……


しかし、異変にすぐに気が付いた。


果たしてこんなに難解な呪いにしただろうか?


「………半分しか解けない?」


「なんだと?」


「何故、、これは私の呪いではない」


そう言ってから、「あ、、」と小さく声を出す。

アーサーもバトラズも、マーリンの動揺はわかるが意味を理解出来ない。

半分は解けたという事実は、アーサーとトゥルムの気持ちを楽にした。



「ああ、私の、、私のせいか…」



そのままふらっとその場を離れて行く。

そしてそのまま深い眠りに落ちたと連絡が入る。


「呪いは…、リスクが大きい能力だ」


「マーリン妃も…、時間が必要だと思います」


そうだな、と呟くバトラズ。


少し考えて世界地図を机にのせ、東の海に浮かぶ島を指さす。


「半分解けたなら、イズモへ行ってみてはどうだろう?」


「イズモ…」


その言葉にトゥルムが少し反応した。

それもそのはず、イズモはトゥルムの故郷だ。

国章にも狼が描かれる程、狼に縁のある国と記憶している。


「マーリンが、呪いの修行を行った地だ」







━━━某国、某所━━━




使い魔の頭を撫でながら報告を受けとる。



「やはり、解ける呪いにしていたか」



上書きしておいて正解だった。

誤算は呪いの性質をわかってなかった事くらいか。


「完全な二重にならないとは、面白いな」


呪いを勉強しに行けば良かったか?

そうすれば暇は潰れたかも知れないが…。


まぁ、それでも半分はかかったまま。


「さて、オリンポスへ出掛けてくる。あとは任せたぞ」




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