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挿絵(By みてみん)


「ねえ! 凪聞いた!?」

昼休みで、お弁当を広げるなり優奈は言った。

「なんのこと?」

「悠真君が野球部に入部するって話が、学年中に広まって、マネージャー希望が殺到しているんだって!」

凪は少し唸った。

「悠、クラスの自己紹介で言ってたもんね。高校でも野球をやりたいって」

「あれから数日しか経ってないのに、女子の噂はほんと早い」

「で、どうやってマネージャー選ぶの?」

凪が優奈にそう言ったその時、教室の扉がガラッと開いた。

女の子が立っていた。

ゆるく巻かれた、ココアブラウンの髪。

綺麗な並行二重まぶた。

豊かなまつ毛が彼女のキラキラした瞳を飾っている。

胸も大きい。

クラス中の視線が集まる。

当然だ。

学年一の美女と噂の、星野咲良だった。

「悠真!?」

「ん?」悠真は彼女を見る。

「私よ!」

悠真は眉を寄せてじーっと見る。

「すまん! 誰だっけ?」

咲良は呆れていた。

「リトルで一緒だった、咲良!」

悠真は目を見開いた。

「さ、さくら!? お前が、あの? なんつーかその、美人になったな。あの日焼け女が。で、俺に何の用だよ?」

咲良は教室入って来て、悠真の前に来た。

近くにいた男子が彼女に椅子を用意した。

咲良は「ありがとう」と座った。

「クラス表に佐藤悠真ってあったから、もしかして、って思っていたの。野球部に入るって噂聞いたから、確かめに来たってわけ」

悠真は鼻を鳴らした。

「俺もかっこよくなっただろう?」

「ぜーんぜん、変わってない!」

二人は笑った。

優奈は凪に耳打ちした。

「ねえ、凪は知ってたの?」

「ううん。知らなかった。忘れてるだけかもしれないけど…」

悠真が言った。

「お前、部活決めたのか?」

「うん。野球部のマネージャー」

クラスがどよめいた。

悠真は意外そうに言った。

「ソフトボール部じゃないのか」

「迷ったよ。でも、野球に関わりたいと思ったの。⸻自分の実力って、わかるじゃん」

昼休みのチャイムがなった。

「じゃあまたね、悠真」

彼女が立つと、クラスの男子がまるでウェイターのように椅子を引いて、見送った。

優奈は急いでスマホを取り出し、グループメッセージを送った。


凪、優奈、里奈、美咲の4人でファミレスに来た。

主催者は優奈だった。

「でね、クラスの中でマネージャー宣言! 私に敵なしって感じだったの!」

里奈と美咲は「え〜っ!」と口を揃えた。

里奈はオレンジジュースを吸った。

「でも星野さんって、性格も良いらしいよ」

美咲は不服な様子だった。

「それは凪がいたから⸻」

優奈と里奈は口を揃えた。

「美咲!」

美咲はがくんとうなだれた。

「めんぼくない。…凪、ごめん」

凪はクスクス笑った。

「なんで謝るの? 星野さんは野球に詳しいんだから、そういう人がマネージャーになる方がチームのため。それに星野さんみたいな綺麗で、性格の良い人がいたら、みんなやる気でるんじゃない?」

優奈はアールグレイを置いた。

「⸻凪」

里奈が優奈に言った。

「星野さんは凪のこと知っている風だったの?」

「んー。そうには見えなかったよ。ただ悠真君と話して、マネージャー宣言して帰っただけ」

美咲がリンゴジュースを飲んで言った。

「じゃあ、星野さんは、凪と悠真君のこと知らないんだ」

凪はレモンティーを置いた。

「ただの幼なじみだよ? そんな大げさなものじゃないよ」

美咲は腕を組んで、唸っている。

優奈が言った。

「そろそろ帰ろうか」

凪はふと空を見た。


たくさんの雲が、夕空にきらめいていた。


凪はベッドに横になった。

布団を頭まで被った。


⸻私は野球のことはさっぱりだから、得意な人がやった方がいいと思う⸻


凪は布団から顔を出した。

「星野さんか、綺麗な人だったな」

凪はアラームをセットし、電気を消した。

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