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挿絵(By みてみん)


窓際の席に通された。

凪はキョロキョロと落ち着かない。

声を低くして言った。

「私、そんな手持ちないよ」

「大丈夫。俺持ってるから」

「悠バイトやってないじゃない」

「家庭内バイト。悠太に勉強教える代わりに、お小遣い増やしてもらっているんだ」

悠真はテーブルに身を乗り出した。

「俺、中型バイクが欲しくて、金貯めてるんだ。W400って、すげえカッコいいバイクに、一目惚れしたんだ!」


悠真はメニューを広げた。

「さあ、早く食べようぜ!」


運ばれてきた寿司を凪は頬張る。

「んー。美味しい!」


悠真は眉を寄せている。


「どうしたの?」

「…悠太はな、今まで通知表がオール5なんだ」

「ふーん。悠太君いくつになったの?」

凪はエビの寿司を口に入れた。

「小学五年。進路相談があってな、母さんが担任の先生に、受験を勧められたんだ。母さん、すごく悩んでるんだよ」

悠真も軍艦巻きを食べ始める。

「親として学歴を与えてあげたいけど、いつか挫折するなら、そのまま公立中学の方がいいんじゃないか、ってな」


悠真は箸を置いた。


「俺さ、自分の望みのために、背負わなくていいものを、あいつに背負わせたのかもしれない。どうしたらいいんだろうな」


「⸻大人にだって分からないことはある。だから分からない自分を、責め過ぎてはいけないよ」


悠真はまばたきを繰り返す。

「って、お父さんが言ってた」

「ふっ、なんだ。受け売りか。でも、それもそうか」

悠真は表情を柔らかくした。

「決めたよ。あいつのやりたいようにやらせてみる。それでもし、上手くいかなくなったら、その時一緒に悩んでやる。兄貴だもんな。母さんにもそう言ってみる」

凪もつられて微笑んだ。

「私も勉強教えて欲しいから時間作って」

「夏休みでもいいか?」

「いいよ。時間合わせるから」

「じゃあ、場所は、お前んちな」

凪は首を傾げた。

「悠太がうるさいんだ」

「小学五年生だもん。私は気にしないよ」

「なんでもだ。お前んち」

「分かった。ねえ、悠はどうして受験を選ばなかったの? 悠太君が言われていたなら、悠も勧められたんじゃ」

「それは⸻」

悠真はマグロを一気に口に入れて、外を見た。

「学校なんて、どこでもよかったからだよ」


⸻やっぱり、そうだよね⸻


悠真はカバンから袋を出した。


「俺とお前の仲だ。言わなくても分かるだろ?」

凪は袋を開けた。

さらに透明な小さな袋に入っていたのは、ネックレスだった。


ネックレスは細い銀のチェーンで、満月を模したアクセサリーが輝いている。


白銀に輝く月。


「誕生日おめでとう、凪」

悠真はニッコリ笑む。

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