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挿絵(By みてみん)


凪は頬杖をついてぼーっと窓の外を見た。

雨は朝から降り続いている。


野球部の朝練は雨の日でも、ボールやバット、用具の手入れや掃除、その後は筋トレと時間ギリギリまであるらしい。


チョークの音が響く。

黒板に問題が書かれていた。


次の式で表される関数について考えよ。

y = (x - 1)(x - 3)。グラフの軸を求めよ。最小値を求めよ。

先生は手についたチョークの粉を落とした。

「じゃあこの問題を」

先生は悠真を見た。

「ふう」

「月城さんに」


⸻先生、絶対悠を見てたじゃん!⸻


数人の微かな笑い声がする。


凪は式と答えを書いた。

「軸x = 2。最小値=-1。です」

「はい、正解」


凪は悠真をチラリと見る。

中学の時と同様、真剣に授業を受けていた。


⸻ほーんと外ズラいいんだから。余裕なくせに。でも、運動部の人は授業中寝ちゃう人もいるから、やっぱ悠はすごいのかな?⸻


チャイムが鳴った。


「はい、今日はここまで」

先生は出て行き、みんな昼食を持ってどこかに行く。


優奈が椅子を持って来た。

ニッコリ微笑む。

「お昼にしましょう」


凪は不満げだった。

「さっき先生絶対、悠みてから私に変えた!」

「だって、悠真君じゃどんな問題も解いちゃうから」

「それ、どういう意味?」

凪はわざと頬を膨らます。

悠真の席を見た。

「悠、最近野球部の人とお昼食べてるみたいだね」

優奈は少し悲しげにうなずいた。

「少し縁遠くなっちゃったな、悠真君」

「どうして?」

「だって、小学校や中学の時は、ずっと同じ顔ぶれだし、それに」

「それに?」

優奈は困り笑をしている。

「もー、凪ったら。やっぱり高校まで来ると、みんな将来のことを考えてる」


⸻あなたは嫉妬しないの? あなたは悠真が好きなんじゃないの?⸻


咲良の言葉がよみがえる。


優奈が箸を置いた。

「ごめんなさい。私そんなつもりじゃ」

凪は手を振った。

「分かってるよ、大丈夫。⸻ねえ、優奈」

「なに?」

「私たちって友達だよね。里奈も美咲も」

優奈ニッコリ笑む。

「ええ、もちろん」

「悠だって、私の幼なじみ」

「ええ」

優奈は変わらず微笑んでいた。

凪は視線を落とす。

「将来か…」

「ねえ、凪」

優奈の視線が珍しく泳いでいる。

「私たち小学校からずっと一緒だった。だから言わせて、友達だから。本当に、夢が何もないの?」

凪は外を見た。

雨足は変わっていない。


窓ガラスに蛍光灯の光が反射している。


ふと、浮かんだ。


白銀の満月と清らかな泉。

ボロボロの服をまとった青年。


⸻なぎ。


静謐な声。


「あるんだと思う。でもまだ、答えが出せないの」

「なぎ…」

「ごめん、優奈」


⸻私は、彼が誰なのか知りたい。悠と同じ顔と声の、あの人を⸻


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