表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/28

18

挿絵(By みてみん)


校庭の音楽が止まった。

人の声だけが残り、時折り「ビー!」とハウリングで耳を塞ぐ。

放送部のアナウンスが入った。


「さあ、お待たせしました! これから応援合戦を行います。まず今年の審査員の方々をご紹介します」

「え!?」凪は思わず手で、軽く口を塞ぐ。

会場もざわついている。

悠真は首を振って額に手を当てた。

「校長、教頭、音楽の先生。他も高齢の先生ばっかじゃねーか」

他のクラスの陣地もざわついている。


「…ふっ。予想通りね」


「牧さん!」凪は振り返った。

「安心して月城さん、悠真君。審査員は毎年、生徒や新任の先生がやることが多いんだけと、まれに、校長先生を始めとした熟練審査員がやることがあるらしい、という噂を耳にしたの」

悠真は牧に視線を送った。

「俺、うちのクラスがなんの応援歌やるか知らないぞ」

牧は頬を赤らめ、咳払いした。

「それも作戦のうちなの。ごめんなさい悠真君」

「ねえ、牧さん、悠。見て」

凪が審査員席を指差した。

校長先生たちが眉を寄せ合っている。

悠真が苦笑いした。

「そりゃそうだ。あれ流行りのボカロに合わせたダンスだもんな。校長先生、知らないんじゃないか?」

「次、うちのクラスだよ」

アナウンスが入り、優奈が壇上に上がる。

太鼓がのせられ、応援団員が一列に並んだ。

優奈が一礼して、指揮を始める。


ドン! ドン!


団員はカスタネットを持っているようで、カスタネットを右上に掲げて叩く。

そのまま体を回して、腰の後ろに手を当てた。


団員が歌い出す。

悠真は驚いて椅子から落ちそうになった。

「え!? 校歌じゃねえか!」


団員はくるっと一回転し、ピタッと止まり、またカスタネットを連続で叩く。


「……なるほどな」悠真が低く呟いた。


優奈は一礼し、再度審査員席にも一礼した。


審査員席は拍手をしている。


悠真も拍手をした。

「すげぇな、牧」

牧は背を向けた。

「応援合戦は大丈夫みたいね。月城さん」

「は、はい」

「昼休みの後は借り物競走。頑張ってね」

「わ、わかりました」

牧はそのまま行ってしまった。

凪は息をはく。

「はあー。体育苦手だから気が重いな」

悠真が凪の肩をポンポン叩く。

「気にすることないだろう。やれる範囲でやればいいだけだ」


アナウンスが入った。


「これから昼休みに入ります。各自、十分な水分補給をし」

悠真が凪の手を握って、前に引っ張った。

「ちょっと! 何するの!」

「昼飯、一緒に食べようぜ」

「え?」

凪は落ち着きなく、くるくる周囲を見る。

悠真はまだ凪の手を握っていた。

「ずっとそうして来ただろう。俺たち」

凪は微笑んだ。


凪は膝にお弁当を広げて、悠真に見せた。

「ねえ、見て! これ私が作ったの。卵焼きに、タコさんウインナー。うさぎのりんご」

「で、それを俺のために用意したってことか」

悠真が箸を向けると、凪はヒョイとお弁当を上げた。

「そんなわけないでしょ。…それにしても、あのファンの子たち、全然来ないね」

「さすがに今日は、ライバル陣営のやつと昼飯食ってたら、印象悪いだろう」

「確かにそうね」


柔らかい風が吹いた。


はちまきをフワッとなびかせる。


「凪。誕生日プレゼント、ありがとな」

くっと悠真は吹き出す。

「でも幼なじみの高校生に、岩牡蠣贈るなんてよ」

悠真は笑いを堪えてる。

「美味かった。父さんも喜んでたよ、凪ちゃんは本当に気の利く女の子だ、ってな」

悠真は父親の声真似をして言った。

「来年も、期待して待ってるぞ」

凪はそっぽ向いた。

「じゃあコンビニのスルメイカで、いいわね?」


ピンポーン。


「あと五分で昼休みが終わります。繰り返します」

凪はお弁当の箱を閉じてカバンに入れた。

「相手は咲良ちゃんか。確かにあの可愛さなら、何でも借りられそうだもんね。悠」

凪は手を出した。

悠真は凪の手を叩く。

「頑張ってこいよ!」

「うん!」


アナウンスが入った。

「借り物競走に参加する選手の方は、運営のテントまでお越しください」

「よし!」

凪はカバンをクラス陣地に置いて、テントに向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ