13
休日のイオンは人が多い。
友人。
恋人。
家族。
高校生になってから来ていなかった凪は、あちこち見ながら、悠真の先を行く。
もう夏物が売り出されている。
凪はスカイブルーのワンピースを当てて見るが、ハンガーラックに戻す。
ちらりと値札を確認する。
悠真がひょいと顔をのぞかせた。
「高かったのか?」
「そうでもないんだげど」
凪はブルーのスカートを当てて見た。
「星野さんなら、似合うのかなって思っちゃって」
悠真は視線をそらした。
「…咲良ちゃん、って呼んだっていいと思うぞ。あいつそんな細かいこと気にしない」
凪は少し頬を染めた。
「じゃあ、次会ったら呼んでみようかな」
凪は店を出て、また別の店を見る。
足が止まった。
ウエディングドレスを着たマネキンが置かれていた。
「…綺麗」
凪はしばらく見つめて、悠真に言った。
「行こう」
二人はフードコートにやってきた。
和食、洋食、中華、ファストフード、なんでもある。
凪はラーメン。
悠真はサイコロステーキにした。
凪は美味しそうにラーメンをすする。
「んー、美味しい! ねえ、咲良ちゃんはどんな性格なの?」
悠真は凪を見て、視線を落とした。
「今と変わらない。ただ、⸻負けず嫌いではあったな」
「ふーん」
凪はラーメンに息を吹きかける。
悠真はサイコロステーキを頬張った。
「そういえば、美咲と里奈はどうしたんだ?」
「二人とも部活に入ったよ。美咲はテニス部。里奈はバスケ部」
「優奈とも最近一緒に帰ってないだろう」
「ああ、優奈は塾に通い始めたの」
悠真が凪を見つめた。
凪の箸も自然と止まった。
「お前、…寂しくないのか?」
凪は箸を持った。
「なんで? みんなやりたいことをやっているだけだよ? 友達の縁が切れたわけじゃないんだから」
「…そうか」
悠真はゆっくり、肉にフォークを刺していく。
凪は結局何も買わなかった。
イオンから駅に向かうバスの車内は混雑している。
「なあ」悠真が言った。
「そのヘアアクセサリー。俺が誕生日にあげたやつだろう」
凪は鼻を鳴らした。
ターコイズが付いたヘアアクセサリーだ。
「やっと気が付きましたか」
「似合っているよ」
「へ?」
悠真は車窓に視線を移す。
「俺はそう思って選んでいる。それに」
悠真は頬杖をついて優しく笑む。
「お前、空見るのが好きなんだろう?」
「うん」
凪は微笑んだ。




