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天命の巫女  作者: 紅薔薇棘丸
第一章「目標一進」
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第5話「知性のある妖怪」

 放課後を迎えて例の事件を解決するために現地を訪れた。その前にお父さんの承諾を得た上で放課後に帰宅が遅れても大丈夫だった。


「この周辺だよね?」

「うん。駅から五分で到着する場所が行方不明者の多い場所だよ」

「確かに妖力を感じる。この付近はまだ大丈夫だけど、問題はこの先に位置する廃ビルが強いと思う」

「行ってみよう?」


 そうやって結花は私よりも先に行こうと踏み出した瞬間に手首を掴んで制止させてから説得を試みた。何故なら結花が巻き込まれて美佐のように死んでしまう恐怖が一緒に来て欲しくない理由を作った。


「結花の出番は終わりだよ? 前回の失敗で私は知ってしまったの。親友を危ない場所に連れて行くことは出来ないんだ。だから、今日は引き返して帰って欲しんだよ。お願いだからぁ……」

「——え? 珠美ちゃん?」


 前回も美佐は結花みたいに私を危険すぎる場所まで案内した。それが理由で美佐の命は絶たれてしまったのである。それだけは再び起こさないと決めた時から親友は連れて行かないことを徹底すると誓った。死んで欲しくないからだ。

 そんな思いが込み上げて結花の前で涙が流れた。それは非常に理解が難しい涙だった。それを見た結花が急に抱きしめて来る。そして私に向けて心配しながら約束を求めた。


「分かったからぁ! その代わりに珠美ちゃんは帰還しないと駄目! 絶対に帰って来てね!」

「ゆ、結花ちゃん……?」


 驚いた瞬間だった。結花の気持ちが吐き出された時の驚愕は強い力で腕を引き締める。結花は少し抱きしめた状態を続けて離れた後で声援を送って言われた通りに駅を目指した。結花に私の気持ちは理解できるだけの思いが込められていた。それを見せられた私が抱いた決心は明日の教室で必ず結花と挨拶を交わしたいと思った意思だった。


「明日は私から挨拶するね! 今日はバイバーイ!」

「うん! バイバイ!」


 こうして私は結花に見送られて妖力が漂う先に足を動かした。その足取りは非常に軽くて私の話を理解した上で任せてくれたのだと信じたい。後で戻って来ないで欲しいと思いながらも、妖力を漂わせる元凶となる場所を目指した。


「ここだな?」


 私の目前にそびえ立つ廃ビルはいつか問題を起こす危険性が募る可能性は考慮していた通りだった。しかし、それが配慮されていれば誰にも断らないで行動に移せる訳じゃない。つまり、問題は事前に起こさせないように施すことは困難だと言う回答が示せる。


「突入する前に許可を得ないと何事も始まらない。信頼に置ける篠澤会長が説得してもらえるように承諾を得てからじゃないと怒られる。それだけは避けたいのよね?」


 そして治安維持学会の代表とも言われる篠澤統矢会長に連絡を入れる。すると、速やかに突入の許可がもらえた。これでビルの崩壊が起きても責任は負わないで暴れることが出来ると安心感が抱ける。


 取り敢えず連絡して篠澤会長がビルに侵入するための許可を取ってくれていると思った。問題は並みの妖力を持っていることは感知した時から疑っていた。後は実際に入って中を確かめるだけである。


(廃ビルだと入り口が空いている可能性は高い。そこから入った後で中に潜んでいる妖怪を退治すれば良い)


 そんな順序を考えながらビルに踏み入った時に見える階段を上がって行く。その階段はあまり強く踏み込んでしまうと崩れるぐらいに脆くなっている現状が窺える。これなら妖怪の住み処にしていても可笑しくはない。実際に多くの妖怪は存在するだけで人間の支障に当たるから退治される。この存在が人間に無害であれば退治する必要性もない。そこが釣り合わないから私の祖先は巫女が駆使する妖怪の駆除手段でもある霊術で倒して来た。時代が過ぎて行くうちに異術は衰退した。異術と言う存在は魔術や霊術の総称で知られているが、現代では知識に入れた人間が激減している。しかし、巫女はそんな人類でも救済の手を差し出さないことはなかった。


(この先が怪しい。能力が強くなっている。きっと退治して見せる……!)


 そんな感じで私は扉を開けて奥に進んで行った。すると、そこで私の捉えた光景は凄い悍ましくて妖怪に対する認識を改めて害と判断できる相手が待ち構えていた。


「ダ、ダレダ?」

「貴方がビルに居座る妖怪ね? 今から貴方を退治する」

「ハァ? オマエガワレヲコロス? 上等ジャネェカ!」


 私は転移で瞬時に護霊刀を握った。そこで相手は見た目からすると、猿に似た容姿が窺える。私の護霊刀は本来なら妖怪が退治したい時に扱われる専門武器である。これなら少しこちらが有利と言えるだろう。

 中は瓦礫があちこちに転がっている様子が分かる。その上に今回の妖怪は人間が話す言語を理解できるらしい。けど、それは少しばかりの面倒臭い敵であると言う認識が出来た。

 刀身の刃を鞘から引き抜いた状態を作って間合いを取りながら妖怪の首を捉えて切り落として見せたい気持ちが強かった。特に妖怪でも首の切断は致命傷になる。それなら今回は退治できないことはないと確信した。


「相手は理性があって言葉も話せる。ならば、早く終わらせようか!」


 私が護霊刀を構えた状態で向き合って態勢が整った瞬間を狙って斬り掛かった。この斬撃が妖怪を両断するために距離が詰められた。それに対して妖怪は周辺の瓦礫を浮かせて一気に飛ばして来る。飛ばされた瓦礫は普段から鍛えていた身体能力を駆使して回避する。しかし、最後は妖怪が自ら地面を叩いて砕いた瓦礫が使用された。それも、以前よりも大きくて砕かない限りは回避は不可能だった。


(前方に大きな瓦礫の塊が飛んで来た。けど、この程度なら護霊刀の刃で十分に的中しないサイズを二連斬で作り出せる。ここで停止は避けて相手まで進めぇ!)


「うぉぉぉおおお‼」


 妖怪が薙ぎ払われた護霊刀による攻撃を意とも簡単に対処した。刃が届く前に周辺の瓦礫を背後からぶつけて来た。不意に直撃した瓦礫で攻撃が中断されて前に倒れた。すると、頭上にいた妖怪は追加で瓦礫を降らせる。


「ぐぁっ!?」


 そんな風に降って来た瓦礫が私を埋めてしまう。この状況でもちゃんと抜け出せる自信があった。何せ鍛え上げた肉体は瓦礫の重量が乗せられても起きれるだけの鍛錬を普段から積んで来た。強靭とも言える肉体が瓦礫で埋もれたとしても死んでしまうことは絶対になかった。しかし、追加の瓦礫が降って来ることを考慮して即座に立ち上がった。それと同時に妖怪の首に刃を通した。妖怪が首を斬り落とされて血が噴射する。そして今回の一件は解決に至る。


 この後で私は取り敢えず解決したことを通話で結花に伝える。その件は他言しないように気を付けてもらえるように一言だけ添えてから通話を切った。


「——よっしゃぁ!」


 護霊刀が首の切断に成功した後で周囲を漂わせた妖力が完全に消えた。つまり、今回に起きた一件の元凶は始末が完了したと言うことだった。

 強いて言うなら異術は専用のエネルギーを駆使して発動させる技術である。これを妖怪や術師と対峙した時に扱って倒す目的を果たさせてもらう。


「これで良いわ。さすがに瓦礫の下敷きは予想外だった。けど、大して支障でもなかったとから問題としては軽いわ。それよりも早く帰宅して修行に加わらないといけないなぁ~」


 そうやって電車に乗って帰宅する。そこで自宅に着いたところで、修行の合間に休憩を挟んでいた電斗に挨拶を届ける。


「ただいま。休憩の時間かな?」

「そうだけど今日は妖怪退治?」

「うん」

「へぇ? それはご苦労だったな」


(何で凄い適当な態度で返事するんだよ。マジでイラつかせる対応だ)


 私は仕事を終えて来たことに一切の感情も込めないで返した一言にイラついた。修行で疲れていても気持ちを込めた一言は送れるはずだと考える。それは女の子に対する態度が非常に悪いことを指している。その点を踏まえて電斗は大した異性関係を持たない奴だと言える。


「それじゃあ俺は修行に戻る。修行がしたいなら残るのはトレーニングだけだと思った方が良いぞ? あまり、疲労の溜まる仕事を終えた後は少し休ませておけ。だけど、別に強制はしない。だから、お前の判断で今日の修行を継続するかを決めとけ」

「ふーん? 遅れて気遣いするなんて真剣に考えているのかしら?」

「そんなんじゃねぇ。けど、お前が辞めて欠けた時は遠慮しないでくれ。またな?」


(へぇ? 意外と嬉しいところを指摘してくれるな? ならば、私からも声援を送ってお互いの知名度を向上させることが今後の活動で有効になりそうだ)


 そんな思考を電斗の見せた対応で関心に導かれる。それは人間関係を築く上で必要となる気遣いだと思えるところがあった。それが出来ると言うことは関係性を保持する余地を持っているのだ。それだけの考慮が客観で捉えられる人間像だと私は考えていた。しかし、術師である以上は命を張った活動に徹する覚悟を持たないとやって行ける保証はない。


「久しい妖怪との対峙はどうだった?」

「言葉が通じるタイプの妖怪だったよ。それが理由で本来の妖怪よりも実力が高くて強かったわ。けど、そこまで苦戦することもなかったわね?」

「さすがにやるな? まぁ、相手は普通の妖怪に過ぎない。その点を踏まえると義廻に向けたパワーアップは修行しかないかも知れない。とにかく修行の時間は大切にしよう」


 電斗の発言は最もだった。しかし、それ以上に妖怪の相手も巫女としては退治しないといけない掟を破ることは出来ない。それに現代で妖怪と対峙できる存在は巫女しかいないことを踏まえて私が引き受けないで人々は安心して暮らせないだろう。そこを考慮していない電斗はお父さんから見ても勝手が過ぎる奴だと思われているような視線が送られていた。けど、お父さんは敢えて呆れた視線を向ける理由を吐かなかった。それがお父さんの性格なのである。普段から他者の指摘を控えて来てしまったが故に言えない性格が悪化して私では手に負えないレベルだった。しかし、お父さんが交戦した時の実力は私を凌駕しているだけの戦闘能力を持ち合わせていた事実を本人の口から明かされることはなかった。


 とにかく修行はいつも通りに行われた。終盤と言うこともあってトレーニングで締める予定が実行された。私はこれで修行が終わってしまうことを考慮して集中力を高めた。身体を全力で動かしてトレーニングには励んで行く。トレーニングが終了した瞬間の電斗は凄く息を切らして呼吸を整えている姿が窺える。しかし、私が抱いた不満は残った体力を費やせないことにあった。

 そうやって私の気持ちがトレーニングから離れない状態をお父さんに聞いたもらった。けど、今日はすでに遅いから早朝に起床して取り組めば良いと説得させられる。だから、明日を迎えた早朝が不満の解消だった。それが実行できないなんて出来事が起きないことを願って就寝した。


 そんな中で私が就寝する頃に以前の依頼で訪れたビルに憑いていた妖怪の残骸が一面に落ちているところを見た男は発言する。彼は今回の一件に凄く重要な意味をm成している人間で元凶とも言われる存在だった。

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