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天命の巫女  作者: 紅薔薇棘丸
第三章「新たなる仲間の登場」
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第21話「変身技能を鍛えろ!」

 二○五十三年八月十日。理穂が修行を開始してから一ヶ月が経過した。


(理穂の成長は少しずつ表れている。この調子で修行が続けられれば強くなれるはず)


 私は傍で理穂を見て来た中で大きな成長が見込めると考えていた。それ故に変身した姿で修行する段階に進めても良いと考えて理穂に伝える。


「理穂ぉ〜! ちょっと話があるんだけどぉ?」

「んぅ? どうしたの? そんなに重要な話を持って来るなんて珍しいじゃん」

「そうなのよねぇ。これはとても重要だから真剣に聞いて欲しいわ。今度から行う修行は週四で戦闘技能を高める方針で進めたいんのよ? それでも構わないかしら?」

「ええっ⁉︎ もう戦闘技能に入るの? それを待っていたんだよね!」


(意外と関心があったみたいだな? それならすんなり取り組めそうじゃないのよ)


 そんな感じで私は理穂に向けて戦闘技能を取り入れた修行内容を説明する。それが終わった後から早速説明した内容に入る予定を組んでいた。


「戦闘技能はトレーニングと違って体力の消費は基本的に時と場合で決まる。例えばエネルギーを大量に消費する内容だと大きく体力が削られるわ。けど、それと同時に体力は付くでしょうね? つまり、トレーニングよりも効率性が良いわ?」

「ほう? それは凄い助かる!」


 理穂が目をキラキラ輝かせる。本当にトレーニングが嫌だったことが窺える一瞬だと思えた。だから、理穂はトレーニングの時よりもやる気が出る内容だったかも知れないと期待した。


 早速理穂に変身させてみた。実際に私は変身要素を持った異術は取得していないか

ら手本は見せられない。そこが少し申し訳ないが、それでも異術を扱った戦闘技能にも慣れて欲しいと願って面倒見た。

 まずは理穂に変身してもらった。すると、人間と狐が混成した姿に変身した。これが妖術の本質で変身前よりも身体機能が優れる効果を発揮する。これが使いこなせれば大きな戦力に加えられることは確かだった。


「相変わらず凄いわね? けど、現状だと大した妖力が宿されている訳じゃない。もっと鍛えて妖力と戦闘技能を高めれば私に追い付けるかも知れないわ」

「本当に⁉ うわぁ! 凄く楽しみだなぁ!」


(まぁ、はしゃいでしまうのも無理はない。大妖怪の力が扱える人材なんて草々にいないはずだわ。とにかく理穂が真面に戦えるまでに鍛えることが目標ね?)


 そんな風に私は理穂の辿る道がちゃんと目標に辿り着けるような今後の予定を決めた。これは理穂を強くして一緒に戦える道を示すための設定だった。私が目指す場所と同じところを走って行くんだと決心して邁進を選択する。それが私の目標で大きな一歩となる見通しが付けられた。


 取り敢えず理穂は妖術を駆使した状態でいる最中だった。理穂が半狐となった状態から何をして良いか疑問に思う気持ちを吐いた。


「それで次からどうすれば良いの? これが終わりだった訳じゃないでしょ?」

「もちろん。他にやらないといけないことはあるわ。次は半狐の状態を維持しながら動いて行く練習よ。これは半狐状態でも行動に支障を出さないことが目標として掲げたいのよね? だから、今から走って慣れて行くよ!」

「凄い緊張して来たかも……!」


 私は半狐状態の理穂を連れて庭から出る。外を走った方がより鍛えられると信じて理穂が修行を開始した。半狐状態はいつもよりも身体機能が向上している。だから、いつも以上の速度が出るようになった状態を保ちながら走り込んで行く鍛錬が現状で行なっていた。


 そしてしばらくが経過した頃。理穂は半狐状態が解かれてすでに姿が戻ってしまった後だった。理穂が保持していた妖力が尽きて次に変身が出来るタイミングはしばらく間を置かないといけない。

 実際に理穂を休憩させた後は通常の鍛錬に戻ろうと決めていた。やはり、エネルギーがないと異術は発動できない講座を踏まえて今日は妖怪変化を再開することは不可能だと諦める。だから、明日から半狐状態となったら走ることを繰り返す鍛錬が取り入れられた。これで少しずつ変身した状態を維持するだけの妖力を高めて行く方針で話を進める。


 あれから理穂の妖術修行は続く。私は理穂を徹底的に鍛え上げた。それが今後の戦力となる人材を増やす目的にも繋がる。それを通して理穂の強化を進めることが義廻を倒す鍵になる点は期待が込められる。だから、理穂は徹底的に鍛えて強くなれば期待に応えてくれるはずだと思える。


 今日は修行させるよりも外で事前から受けていた依頼を遂行する中で妖術の実践として今回は様子を窺う予定である。だから、昨日はいつもよりも早い段階で上がらせておいた。何故なら依頼がちゃんと遂行させるために身体を休ませておきたかったからだ。


「どうかしら? 昨晩はしっかり眠れていたら良いんだけど」

「うん! 良く眠れたよ。今日が特に重要で鍛えるなら絶好の機会だもんね?」

「そっか。じゃあ今日の依頼は期待しているから頑張ってよ?」

「分かった!」


 そんな感じで理穂はやる気で満ちた表情を浮かべる。理穂が依頼に望むための相応しい表情が現れていることが凄く安心感に繋がった。後は理穂からどれだけ引き出せるのか試してみるだけだった。


 早速朝食を頂いてから色々と準備が施された。身支度を最低限は整えた上で依頼人と待ち合わせた場所を目指す。

 そこまで向かうための交通手段はバスを乗り替えて到着を目指した。バスの中で緊張を解す意味でも理穂と事前準備を内心まで及ばせて依頼に対する姿勢を整えさせる。


 そして最後のバスが到着する時間帯を迎えて理穂の口から少し緊張感が分かるような一言が漏れた。それは私と向かっている先で遂行する依頼が理穂だけで取り組まないといけない日だと言う実感であると考える。やはり、理穂にも内心で抱えてしまうプレッシャーを持ち合わせているようで何とか押し潰されない強さを持って挑もうと必死に深呼吸が繰り返された。

 しかし、それだけで拭い去れる訳でもない現実が弱音を吐かせることに繋がる。


「はぁ……。本当に大丈夫かな? 私が一人で依頼の達成なんて望めるか分からないじゃん? これで失敗した時はもう立ち直れないかも……」

「大丈夫よ? 理穂なら出来るから頑張って前進して行かないとでしょ? 自分でやると決めたことを後からとやかく言ってもしょうがないわ」

「分かっているけどなぁ……」


(やっぱり、理穂はしっかりしている。だって私の時なんか緊張感よりも意欲が強くてお父さんからもっと人の弱みを知った上で臨めると他者に対する慈悲が生まれて良い結果が出しやすいと教わったんだよねぇ? あの時は前進することが駄目なのか悩んだけど、結局は最終的にプレッシャーを感じで怖気付いた場面は後から来たわ。それを知ることは人であると改めて認識して立ち向かう勇気を出さないといけない時を迎えた瞬間だと私は考えた。だから、私が教える立場になった時は必ず添えておきたい要素だと深く心に決めていたなぁ〜。それを迎える日がすぐに来るなんて思わなかったけどね?)


 内心で色々な過去を思い出した。お父さんを通して学ばされたことが沢山あったから今の私がいる。それは次から次に託されて行くバトンタッチの連続で現状が相応しいタイミングだと認識している。

 これは私の伝え方だけで学んで欲しい人が理解する際に不備を招かないか最新の注意を払うところだった。それが考慮されていない指導は必ずどこかに穴が空いているかも知れないところが付き纏う。だから、不備が出ないように尽くして行くことが目的から外れないための道となる。その道が誤った方角に向いて本来の目的地に到達できない結果を避ける上で注意して確認することは必須事項の一つである。


 そして目的地が見えて来たところで理穂の様子が変化する。理穂が浮かべる表情が少し固くなっていることに気付いた時点で依頼を失敗させない一言を掛ける。これで起きた失敗は仕方がない。だけど、失敗を回避する努力と意識は理穂を大きく変えてしまうだろうと思いながら背中を押すような一言で決める。


「失敗はイメージしないで成功させることだけを考えなさいよ! ここでどうせ引き返せないなら勇気を振り絞って懸命に前進して来い!」

「えっ? そんなこと言われてもぉ……」

「大丈夫だと思うわ。理穂は頑張ったんでしょ? 後は理穂が掴めた一握りの回答を実践するだけなんだからね!」

「あはは……。やるしかないんだよね? じゃあ行って来る」


 そうやって私と二人で依頼人が待つ部屋に踏み入れた。その部屋は普段なら放課後を迎えた小中学生たちが集まって勉強する場所だった。いわゆる塾を開いている依頼人が生徒を教える時に使う教室と呼んでも過言じゃない。そこで依頼人の案内で別室に連れて行かれる。

 今日は塾が開かれてから二年後に起きた問題を解決するために訪れた。彼女は困ったような表情を浮かべながら視線が下を向いた状態で話が進められた。


「実は最初から分かっていたことなんです。私が呪われているから最低限の人間関係だけで良いんだって。けど、諦められなかった」


 ふと視線を私たちに向けた。その時に彼女が瞳から涙を流しながら訴える声は非常に胸が辛くなる。それを私は変えてあげたいと思って依頼を受けた。それが今回は直に救いたいと願った理穂が受けたいと覚悟した目で言い放った時から任せることを決めていた。


「それで結局は面倒見ている生徒たちを巻き込んでしまった……。その未来を変えたいから依頼したんです。どうかお願い出来ますか!」

「分かりました。貴方は救済を希望されると言うことで取り合って行きたいと思います。それじゃあ被害内容を聞かせてください?」

「始まったのは先月の二週間目を迎えた頃です。いきなり生徒の一人が笑いながら倒れて今は意識が戻らない状態だと聞いてます。その原因が分からない以上は親友から勧められて巫女なら無償で解決してくれると聞いて呼びました。どうか、妖怪などの仕業なら退治してくれませんか!」

「はい。是非とも引き受けさせてください。今回は隣の彼女が担当してくれると思います」

「あっ⁉︎ どうもよろしくお願いしますぅ」


 理穂は急に話を振られて困惑しながら挨拶した。理穂が緊張して態度に出ているところを見ると少しフォローが必要か知れないと考えて落ち着かせるための一言を耳元で囁いた。


「大丈夫よ? 理穂なら出来るわ? これまでの修行を振り返りながら事件と向き合う練習だからね?」

「う、うん……!」


 少し涙目になりながらも理穂は了解した。そんな経験も今後に活かせるなら直面しても問題ないと思った。

 理穂は本当に頑張って来たから実践で発揮できれば自信が付いて次は張り切って臨めるはずだ。それを狙って今回は理穂を向かわせて成長してもらう予定だった。


 そしてようやく捜索が開始される。

 特に捜索範囲内でも怪しいところは教室が挙げられる。ただ、妖怪が留まっていた場合は普通なら妖力を感知して気付いても可笑しくなかった。しかし、妖怪は誰かが意図的に隠して忍ばせている可能性が高い。それを踏まえた上で理穂だと使えない隠された妖怪の炙り出す方法を試した。


「今から教室内に隠れた妖怪を炙り出して理穂が倒すのよ? 主に多く存在する術師の中でも妖怪は脅迫や妨害する手段として扱われることがある。つまり、今回の依頼人は術師から教室内を妖怪が隠蔽された上で取り憑かせているのかも知れない」

「えっ⁉︎ 妖怪って隠せるの⁉︎」


 理穂は妖怪を隠蔽する術があると知って驚いた。それも私利私欲のために人を害する妖怪となれば指定場所に取り憑かせて大きく支障を起こす目的が主流らしい。

 つまり、妖怪は人為で取り憑いてくれる術師の道具としても扱えてしまう。これが術師と呼ばれる存在の意味を示している。実際に術師は一般人と異なった力が扱えることを利用して不正に挑んで行く傾向が強かった。


「妖怪が急に現れる可能性は高い。現れた時点ですぐに退治できるかしら?」

「試してみる。ただ、アタシが手に負えない奴だった時は頼めるかな?」

「もちろんだよ。本当は私の仕事なんだからね? 私が倒せなくて誰が代わりを務めてくれるのかしら? 代行なんて所詮は引き受けるメリットがないと誰も取り合ってくれないわ。それは正しいも間違いも関係ない。だから、多くは無責任で原因を作っても起こしてしまった問題は放棄するのよね? その始末は私たちの一族が引き継いで巫女と言う名目で活動して来たのよ」


 私は懐から札を取り出して霊力を流した。霊力が札に流れ込まれて行くと絶大な効果が発揮された。

 そして目前に妖怪が出現する。


「凄い……! 巨大すぎる妖怪を呼び出しちゃったぁ……」

「来るわよ! 戦闘態勢に入って構えて!」

「はっ! そうだった!」


 理穂の身体が発光して姿が変化した。それは妖術が行使されて効果を発揮した証だった。


「頑張れ!」

「こんな奴が倒せる訳ないじゃん⁉︎」

「大丈夫だから修行を思い出して行動するって決めたよね? 攻めて来るわ!」

「わ、わ……分かっ……分かってるぅ……」


 恐怖している理穂を見た私は妖怪が攻撃して来る前に理穂が立ち向かうための補助を施した。


 輝いた札が妖怪を一時的に行動不能に陥れた。それを理穂に伝えて攻撃する隙を作って置いた。後は理穂の力で退治するだけである。


「妖怪の行動は止めたから早く倒してくれないかしらぁ! 身が持たないわ……!」

「わ、分かった……」


 すると、理穂はこれまでの修行で得た力を解放した。半狐状態を作った理穂が表情に余裕を持った笑顔が現れる。

 そして理穂の持っていた力が解放された瞬間に彼女から素早い攻撃が繰り出された。


「これで消えろぉぉぉおおお!」


 炎が収束されて球体を作り出した。その球体から集中的に込めて炎を放つ。炎の光線は妖怪を直撃して燃え上がった。最後に燃え尽きて姿を維持できない状態が示される。

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