第20話「修行の本格化」
ゆるはが依頼して来た一件は無事に解決した。これでゆるはのおばあちゃんは安心して暮らせると沢山の感謝を受けて妖怪退治が出来たことの歓喜を覚える。
私たちは目的の一件が片付いた後でゆるはを中心に帰宅は遅らせた上で目的が達成された家から近所にあるお店を回った。この時間を過ごすかも知れないと思って持参した金額が帰宅前の買い物で使える機会が訪れて内心は安心感が生じる。
しかし、私たちが来ていた付近は大して特別だと言えるようなお店が並べられている訳でもなかった点が少し惜しい気持ちを起こさせた。
「ここが一番大きいお店ね?」
「一般のデパートだけど、見るだけでも良いかも知れないでしょ? 普段と違った場所でする買い物にも魅力があるはずだよ?」
「そうだよね! アタシも同じことを思ってた~」
デパート内を回ってみたが、別に大して欲しい一品は見付からなかった。全て回った後は地下でアイスを購入して食べてから店を出た。ゆるはがアイスが味見したいと言い出して間接キスを覚悟で他の二人から一口だけ頂いた。別に他人が口を付けていたからと言って味が異様に落ちてしまう訳でもなかった。実際jに二人と違うアイスだったことから二通りが味わえた。
そして帰宅しようと駅を目指した道を辿った先で事件は起きた。通り過ぎて行くはずだった小道から霊力が感じられて凄くまずい予感を匂わせていた。その小道は人気のない路地裏に繋がる通路で入り口から見た時は何もなくて先が怪しいと踏んでゆるはと理穂を残して確認に向かった。
(ゆるはが危険に遭遇しないために理穂と待機させて置いたから少しだけ安心だ。けど、多分この先に怨霊がいることは確かだろう。早く祓ってから二人の下に戻らないと)
内心で急ぎたい気持ちを抱いた状態で小道を進む。その先を抜けると少し広いスペースが見えた。そこに幼い少女が俯きながら質問を投げ掛けた。
「お姉さんはだぁれ? こんなところに何をしに来たの?」
「私は貴方の霊力を感じ取って来たのよ。もし、貴方が成仏できない怨霊なら祓わてもらうわ!」
「良い……。早くパパとママの下に帰りたい。お願いだから二人のところに連れて行ってぇ?」
(どうやら単純に自縛した音量みたいね? なら、早く城仏させてあげよう)」
「今から貴方を両親と同じ場所に行かせてあげるわ。ちょっとだけ辛抱してね?」
「ありがとう……!」
私は懐から常に持ち歩いているお札を取り出して念じた後で彼女に張った。すると、少女が光り出して少しずつ消えて行く様子が窺えた。
このお札は自縛して成仏できない怨霊を霊界に送る手伝いを担う役割があった。少女は最後に薄っすらと笑顔を浮かべてから姿を消した。これで彼女は成仏して行ったのだと確認した後に待機させていた二人と合流する。
「お待たせ! 大して凄い問題でもなかったわ。私がちゃんと解決させたから大丈夫よ!」
「良かったぁ~」
「やっぱ珠美は凄いな?」
「そんなことはないわよ」
そうやって小さな問題を解決した後で目的として向かっていた駅に到着する。私たちは本来の家が位置する場所に帰るために電車を利用して戻って来た。最初に利用した駅まで戻った後は各自で帰宅することに決めた。帰宅の際は事故が起きないように気を付けて帰ることを注意して解散した。
今日はメインの解決などが色々と大変だったけど、とにかく無事に済ませられたことが満足感する結果を招いてくれた。今後も依頼が来た時は進んで解決に励みたいと思った。
あれから三日が経過した。今日から理穂が修行に入る予定を組んで行こうと私が勝手に誘っておいた。やはり、今から霊媒師を目指すなら早めに鍛錬は積み上げた方が良いと判断して実行に移した。
「せっかくの休日でも鍛錬に励むの? 本当に珠美の家業は大変だねぇ~」
「何を言っているのかしら? 貴方も同じ日程で動いてもらう予定だったんだけどね?」
「はわぁ~。やっぱ断った方が良かったかなぁ? アタシの青春が汗まみれの思い出しか残らなそう」
「仕方がないじゃないのよ。貴方に備わった力は人々を救えるんだからね? だから、これから頑張って強くなって欲しいわ」
「精々頑張りますよぉ」
今日を境に理穂がうちの家業と連携して活動することが決まって私は張り切っている。この日を記念として祝福したいと思って仲間入りを果たせた理穂は今日から巫女装束を着る権利が与えられた。それは日本中を飛び回っているお母さんの了承を得た上で決定したことだった。
この一件を聞いたお母さんでも凄く驚愕していたぐらいの出来事だと電話越しで私と久し振りに話した。こう言った一件は非常に珍しいとお母さんから教えてもらった時に凄い歓喜が内心を満たしていた。
「巫女装束なんて滅多に着れない奴だよね? 良く了承してもらえたと思う」
「そうでしょ? お母さんが即決で了承をくれたんだから貴方は凄く頑張らないと駄目よ?」
「分かってますよぉ」
そんな感じで巫女装束がちゃんと着れた理穂を見て記念写真が撮りたくなった。一人の時と私が混ざって撮った写真はスマホの待ち受け画面に設定して思い出が飾られた。理穂も照れながら写してもらった一枚を見た時に嬉しそうな表情を浮かべていた瞬間が印象的だった。
取り敢えず写真が撮り終わって本格的に鍛錬を始めるための基礎メニューを理穂に提示して予定を把握させた。
「本当にうちで連携して行くのか? これまで未経験でしかなかった奴が付いて来れるとは思わないけどな?」
「電斗は分かってないわ。理穂が持つ妖術は凄いのよ? 何せ日本の逸話にも残っている【九尾】だなんて凄すぎて鍛えない手はないでしょ?」
「それは良いが、本人は鍛錬に耐えられる器なのか? それが成立しないと霊媒師の類は難しいだろ? 一般の霊媒師は殆どが詐欺目的を通して人を騙す。悪気がなくても同じ類として認識されないためにも相応の実力が必須となる。それを今から身に付ける場合は過酷と相当する鍛錬を覚悟しないといけない。まぁ、経験した中で諦める選択肢もいけない訳じゃない。そこはちゃんと将来に見通しを付けた上で決めた方が良いと思ってくれ。正直邪魔者は場所を取るから気に障る。だから、やるなら全力で取り組める姿勢を見せろ。俺から言えることは以上だ」
「け、懸命に頑張らせて頂きます!」
「それじゃあ俺は後で依頼があるから出て来る。最近は依頼を受けて回ることが多くなって来た。鍛錬だけじゃなくて実績を積んで行くのも良いと親父さんが与えてくれたチャンスなんだ。ここで期待から外れた結果を残したくない。取り敢えずそれだけだよ。だから、行って来る」
「行ってらっしゃい。気を付けてなさいよ?」
「分かっている。いつか義廻を討つまでは死ぬ訳にもいかない。一人だとしても倒せるだけの戦力になるぐらいの実力は付けたい。またな?」
「気を付けて行ってください!」
理穂が最後に一言だけ送られた後で電斗は家を出た。電斗の意思は私と共に戦う決意を示した時から揺らいだのとはない。だから、私も電斗に負けたくない気持ちが内心に生じてより頑張れる気がした。
「ま、電斗からも言われたことが出来ると良いわね? これから過酷だと思える試練は多くの場面でぶち当たる。それを乗り越えて一緒に強くなろ?」
「うん!」
理穂は私から告げられた一言をちゃんと聞き入れて実行する意思を期待させた。将来は理穂が加わることで義廻と交わす一戦でも活躍してくれる可能性は大きいと見た。それが理穂を誘った大元の理由で彼女ならやってくれるも信じていた点も今度は形として現れると嬉しいと思う。
最初は理穂が受ける鍛錬としては基礎体力を付けて厳しい内容でもやり通せる持久力を強化するトレーニングが勧められた。これはお父さんの同意があった上で受けてもらう方針だった。やはり、基盤を整えてあげることは何事も必要事項であると言える点は否めない。だから、基盤が出来上がった頃の理穂は過酷でも耐え切れる器として数々の鍛錬をやり遂げられるはずだと信じていた。
そして朝の六時五分からトレーニングを始めて一時間が経過した。
「ぷはぁ⁉︎ こんな厳しいトレーニングは初経験かも!」
「お疲れ様。けど、貴方は始まったばかりだから、無理はしないようにお願いするわ」
「分かっているんだけど、電斗君に言われたのとが頭から離れないんだよね? それが無理でもやらないといけないような気がして手が抜けないんだぁ〜」
「馬鹿! それじゃあ最初だと身が持たないわ。少しずつで良いから徐々に強くなれることが大事よ? 何よりも今から身体を壊して休みを強制される結末を迎える時が特に最悪なんだからね? そうならないために少しずつ鍛えて行くことを意識して欲しいわ。ま、頑張って頂戴」
「分かった! まずは基盤から固めるね!」
理穂のやる気は十分に見られている点が今後の期待を起こさせる。期待させられる人は何かしら行動に意思が見えることで信憑性を持たせられる。つまり、行動から人の期待度は高まると考えている。それを日頃から意識した行動が私の基盤である。それはどんな時でも怠らないような意識を常に持って努力するのだ。後は確かな実績が残せれば努力は無駄だと言えないだろう。
十分間の休憩を挟んで身体が休まったところで私たちは再び鍛錬に戻った。これが繰り返せらると私たちの身体は強度が上がって戦闘でも活躍を見せられる。その成果はとにかく鍛えて行けば実感が湧いて来る。それをひたすら継続する力が目的を達成させてくれるのだった。
私は理穂がトレーニングしている間で剣術を強化する鍛錬を積んでいた。私の戦闘は大元が剣術で成立するスタイルである。それを踏まえた上で私が目指す将来は剣豪にも近い実力を付けることだった。最終目標は剣聖と呼ばれるだけの実技を発揮する剣術の使い手を目指したかった。
(素早い斬り込みと切り返す速度を意識して振り回す……! 素早く振るえる斬撃を意識した反復練習。これが相手を速やかに斬り捨てる技術として取り入れることが出来れば戦力は大幅に上がるはずなのよね?)
刀を振るう際の意識が最善を尽くした動きとして現れる。刀が素早く振られる中で私は剣術を高めた。
「おーい! 二人とも昼食が出来ましたよぉ? そろそろ上がって冷めないうちに召し上がりなさい」
「もう昼食の時間? 早すぎて気が進まないわ」
「本当ですか⁉︎ それじゃあ本日は有り難く頂きますね! ありがとうございます!」
(理穂の奴は素直に召し上がるのね? 別に良いんだけど、いつも私と電斗なら時間を遅らせてから頂いているわ。それが分からないのも慣れないせいかも知れないのかしら? しょうがないかなぁ……)
私が抱いた感想は理穂に届くことはなかった。何せ内心で呟いたぐらいで伝わる方が可笑しいことは分かっている。しかし、うちの家業は鍛錬を優先して食事は冷めてしまっても良いから遅らせることも大事だと考えていた。
「私はもう少しだけ剣術を鍛える。食事なら後で取れば良いわ」
「そうやっていつも出来上がった食事を簡単に後回しにするなら作ってあげなくても良いのよ?」
「その気持ちは受け切れないほど痛い話だけど、立場を放棄すると役職上の問題としてお父さんに告発を通すわ。それでも自分の意思を通して来るかしら?」
「人の思いやりを受けられない子が人々を救済する業務をこなすなんて他に任せれば良いでしょ?」
静香姉さんは怒ると怖いことで有名だった。しかし、基本は私と彩斗以外の人たちを叱ったりしない性格が窺える。私たち兄弟の姉貴を思わせる存在感は凄まじく威厳を持たれていた。実際に幼い頃は父の下で修行した私と異なった指導を受けて来たことで互いの立場が口論を生み出す時は偶に起こる。
時間にうるさい静香姉さんが日々の中で意識していることはスケジュールを考えて徹底的に実行する。それを教えていた私を後継者としての修行を命じた母が配慮しなくても良いと静香姉さんを面倒見た。お陰で家事全般をこなせるようになった私でも驚愕する他になかった。家事と祭司係を通して私よりも世間を知っているだろう。それは少しだけ羨ましいと思ってしまう点だった。
(はぁ。食事を取りたい気持ちはあるけど、剣術を極めるために少しでも継続が大事なのよねぇ。でも、本気で怒らせると面倒だから今回は仕方がないのかしら……)
食事を遅らせた場合だと本気で怒るかも知れない点を踏まえて今から食事する方が良いことも考えられる。ここは静香姉さんに合わせて機嫌を損なわない選択肢が以降の関係を保持するなら食事にしても良いと思っていたところはある。
取り敢えず私は悩まされた末に食事を優先して見ることが彼女の機嫌を損ねない手段かも知れない。迷った末に私が下した決断は今から食事にすることだと考えた。少しぐらいは静香姉さんの気持ちを考えてあげる必要性を考慮した結果である。
「それじゃあすぐに頂くわ。遅らせるとか言ってごめん」
「分かれば良いのよ?」
そんな感じで私と理穂が食事の時間を取る。静香姉さんが作った昼食を頂いた後は多少の休憩を挟んでから鍛錬を再開した。




