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天命の巫女  作者: 紅薔薇棘丸
第三章「新たなる仲間の登場」
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第19話「理穂の初参戦」

 私はゆるはの依頼で群馬県を訪れた。そこはゆるはと親しいおばあちゃんが住んでいるみたいで少し妖怪の仕業が疑われる一件の解決を頼まれた。そこで私が妖怪と対峙する姿を生で見たいと言って来た理穂を連れて目的地を訪問した。


「おばあちゃーん! 例の友達を連れて来たよぉ!」

「こんにちはぁ〜。お邪魔しますーす」


 私の前にゆるはが入った後から続けて玄関を潜る。すると、奥からお年寄りが出て来る姿が見えると私と理穂に向かって挨拶を施した。


「おや? 貴方が話に聞いた巫女の家系を継ぐゆるはの同級生かい? わざわざ遠くまで申し訳ないね?」

「いいえ。それよりも問題となった倉庫を見せてもらえませんか?」

「はいはい。もちろん見てくれて構わないわ。そこで起きる事件を解決してくれると聞いて期待が溢れてしまうぐらいなんだもの」

「はい。それじゃあ行きましょうか?」


 ゆるはの案内で倉庫の位置する場所まで連れて行かれた。そこに理穂も一緒に来てもらって問題の起きた倉庫が見えて来ると私は驚いた。


「いるね? 妖怪が一匹だけ」

「マジで? それじゃあ早く退治して欲しいな? おばあちゃんが安心して暮らせない」

「分かった。取り敢えずおばあちゃんを連れてどこかのお店にでも行って来て欲しい。これは少し手間が掛かりそう」

「分かった。それなら理穂ちゃんも一緒が良いよね?」

「え? あ、アタシは大丈夫。二人で避難するので良いよ。アタシの目的はあくまで見学だから」

「え〜? 危ないでしょ? さすがに理穂ちゃんは居合わせない方が良いんじゃないの?」

「問題ない。少し言えない事情があって残るだけだから気にしないで欲しい。取り敢えず二人だけで避難することを進めて?」

「わ、分かったよ……」


 そんな感じでゆるはに被害者のおばあちゃんを連れ出すように指示した。後は私が退治するところを理穂に見てもらうだけだった。


「今回は少し危ない案件になるかも。だから、理穂は危なくなったら逃げなさい」

「そんなにやばいのか?」

「うん。並みの妖怪を超えているわ。けど、私に退治できないほどでもない。だから、見守ってね?」


 そして倉庫の扉を開けようと手を伸ばした瞬間に中から叫び声が上がる。


「ソコヲ開ケルナァァァアアア⁉︎」


 そこで私の伸ばしていた手が弾かれた。それは私が開けることを拒んで起きた現象である。今の弾く力が加わって手に重度の怪奇症状が現れる。


「くっ! まさか怪奇症状を起こすほどの妖力が手を犯したのか? これは手強い相手になりそうだな!」


 私は症状の出た手に素早く霊力を流し込んで打ち消した。手は少し痛いけれど、これ以上のダメージを受けることはない。


(他の治療は済ませた。後は中の妖怪をどうやって炙り出すかだ。これは倉庫が消し飛ぶ可能性が出て来た……!)


 取り敢えず私は倉庫の壁にお札を貼って行く。それが貼られた外側に妖怪の起こした現象が及ばないために結界を施して置いたのである。本来なら結界術が扱える術師の同行が必要だが、それが不要でも遂行される能力を求められているのがうちの家系だった。だから、結界術の行使がなくても済ませられるようにお札が代役となって力を発揮している。


「さぁ、始まるわよ! 今から扉を吹っ飛ばす!」


 そして妖力が作用して支障を出す物体が取り除かないといけない時に消し飛ばしたいと思ったところで扱われるお札を貼った。これは爆弾に相当する効果が付与されているが故に爆発させたい時は貼ってから意識を強めることで起動する仕組みが刻まれていた。


「いけぇ!」


 ドーン!


 扉が爆発した。お札は無事に起動したと思われる有様を目前で見せてもらった。後は外から丸見えになった中に潜む妖怪が姿を現した。


「ヨクモヤッテクレタナ? ドウヤラ殺タイミタイダナ?」

「ふっ。お前に殺されるために来る訳がないだろ? ここでお前を退治して欲しいと依頼されたんだ。つまり、お前はそこから消えてもらう!」

「ホウ? 少しハ威勢が張レルヨウデ何ヨリダ。シカシ、後デ後悔スルナゾ?」

「口が達者だな? 私が打ち負かされるなら好きにするが良い! けど、お前の生存が許されるなんて思うなよ?」

「上等ジャァァァアアア‼︎」


(どうやら妖怪の正体は複数の動物や虫を食らって大きくなったが故に今度は人間に欲が向いたタイプだな? 長年の滞在と食事で溜まった妖力は並みじゃないことは感じ取れる範囲で分かる。けど、退治することに問題はない!)


 妖怪がこっちに向けて黒い球体を作り出して放出する準備を整える。この球体に込められた妖力は相当の妖怪でないと作り出せないだろう。つまり、凄まじい威力が予測される事態に置かれていたかも知れない。しかし、私の貼ったお札が倉庫から出てしまう攻撃を全て弾いてくれる。だから、妖力が消費された後を狙うと退治しやすくなる。


「来なさい!」

「食ラエ〜!」


 妖力弾が放たれた。しかし、結界札を越えようとして倉庫の外に出ることを遮断した壁が打ち消す。どんなに強い攻撃でも結界札の作用する範囲から外れるものは全てが掻き消されるのだ。


「どうやら結界札は知られていないね? それは助かるわ」

「今の攻撃を打ち消した⁉︎ そんなことがあり得るのか⁉︎」


(驚いているようだな? しかし、根本的に退治を完了させるには結界札から内側を超える必要がある。つまり、さっきの攻撃は当たる余地が与えられてしまうと言うことだ。けど、それを恐れては退治することは出来ないだろう。ならば、命を危険に晒しても殺されない方針を取る必要が迫られる)


 私は次の攻撃が来る前に護霊刀を転移させて握る。それを持った状態で結界が作用する内側に入る。それが確かであることが目前で分かると妖怪は一言だけ告げる。


「オ前ノ持ッテイル刀ハ清原神社ニ仕エル巫女ガ所有スル特殊ナ武器ダナ? ソノ刀デ過去ニ殺さ掛けたが、間一髪デ助カッテ以来ハ何千年ト力ヲ蓄エタ。シカシ、我ガ存在ヲ無視シテ倉庫ガ建テラレタが問題ナイ。抜ケ出セナイ訳デモナイナラ力ノ蓄積ヲ施スダケダ」

「それが迷惑だから退治したいのよね? 悪いが消えてもらう!」


 私は護霊刀を構えていつでも斬り掛かれる姿勢を作った。それを見た妖怪の警戒心は強くて攻撃して来るタイミングを待ち侘びる。それが目的なら私は自分から斬り付ける必要性がある。


「行くわよ!」


 この一撃で決めたいと思って【天牙一閃】を放つ姿勢が構えられる。それを警戒して防御を取る姿勢に至った。しかし、完全に隙が隠れた訳じゃない。つまり、私の一撃はきっと決められる。


「はぁっ!」


 迅速を誇る移動速度で斬り掛かる。それを妖怪は防御態勢を取るが、隙は見逃さないで捉えた。しかし、意外なところで攻撃が防がれる結果を招いた。


「そんなっ⁉︎」

「ハハハッ! ドンナニ速クテモ攻撃ハ通ラナイ。何故ナラ常ニ攻撃ヲ通サナイ盾ヲ構エテイタカラナ!」


 刃が何か見えない壁に直撃した。それ以上の攻撃は通らないと確信した時から私を押し切って距離を置かせる。この問題を解決しない限りは攻撃の当たらない一戦が続いてしまうと思った。

 すると、再び黒い球体が現れて放出して来た。その攻撃が放出された瞬間を見計らった私はギリギリで回避するタイミングを狙って横に転がった。その後に妖怪が指先から生えた鋭い爪で斬り付けるが、私の動体視力で何とか続けて回避に成功する。それを窺った妖怪の連続攻撃は全て回避されるが、そこから隙を見た斬撃を放っても壁が直撃を逃した。


「くっ! 当たらないわね!」

「ソッチコソ! 避ケテバカリデ当タラナイ。コレジャア話ニナラナイ」


(畜生ぉ! これで敗戦なんて味わいたくない。ここは一時退散が有効か?)


 そんな思考が頭を巡るが、妖怪の戦意を起こしてしまった時点で今後の依頼人に大きく被害が及ぶ可能性が高い点は無視する訳にいかない。けど、実際の活動で退散は適切に判断した上で行うべき行動の一つだ。しかし、それえ被害の拡大が進めば私は責任が取れないことは事実である。なら、早めに防御を破る策を考えないと配線は決まってしまうだろう。


(どうする? この状態の継続は難しい。けど、やるしかないのか?)


 理穂が見守る中で妖怪を退治して行く仕事の遂行させるはずが、現状でこいつを倒すことは困難に思えた瞬間に退散を視野に入れる始末を辿りそうだった。しかし、こんなところで退散しても良いとは微塵も思えない。何故なら退散した後でこいつは誰が相手するのか分からないからだ。ここで終わらせる選択こそがお母さんみたいになる決心だと分かった上で退散に徹するなんて出来ない。プライドに賭けても目前の妖怪は倒したい気持ちが強い。それが出来ないで私は一人前に慣れる訳がないと知っているから退散する選択肢は出来る限り最後に残したかった。だから、どうにか粘って目前に対峙する妖怪を倒して見せたかった。


「お前なんかに負けて堪るかよぉ!」

「ウルセイ! 早ク死ネェ!」


 相手の攻撃が激しくなって両腕をフルに活用して下される中で回避しながら反撃を考えて行った。けど、こいつに隙を見出すのは見えない盾を突破する手段がないと難題すぎる問題だった。そこをどうやって崩すかで私の勝率は大きく伸びるはずだが、結局は破る方法は見付からない状態で十分が経過した。

 すると、そこで背後から不意に炎の球体が放出された。その炎球は同時に幾つもの数が放たれて妖怪に直撃する寸前で透明の盾が直に届かせない状態を作った。その攻撃を見た時に私が浮かべた可能性は頼もしい助っ人として立ち上がった理穂の手で希望が抱けた。何故なら二人で戦った方が目前の妖怪に対抗する術が見付かると思ったからだ。


「理穂!」

「アタシも珠美を援護する! 後ろは任せて!」

「うん!」


 そして背後から私に直撃しないように攻撃を仕掛ける役を買って出た理穂の援護が加わる。これで私も妖怪の攻略が出来る可能性を見出せるん気がした。心強い助っ人が現れて私が抱いた気持ちは真っ直ぐ妖怪を捉えた。そして私の足はいつも以上に素早い移動速度で間合いを詰める。そこから何度も斬って盾の突破方法を見定める行為に移った。後ろに理穂が攻撃を狙っていることを考慮した上で幾度も斬り付けて行く。それを妖怪は反撃の隙を失って呆然とするだけしか出来なかあった。背後から炎球を放出して来る攻撃を巧みに避けながら押し進める。

 そんな連続攻撃が繰り出されるうちに妖怪が張っていた盾に様子の変化が窺われる。それは盾を直撃する攻撃を受ける距離が本体に接近して届きそうになるかも知れない点に気付いた。つまり、攻撃の連続で盾が押されて本体が届いてしまう距離が縮まっているのだ。この調子で押して行けば最終的に攻撃は妖怪に届く可能性を見出した。それを防御で精一杯になった妖怪の態勢が崩れた瞬間を狙って大技を放った。


「これでお終いだぁ!」


 渾身を込めた一撃が繰り出せるための態勢を作る。それは連続して下った攻撃に間が置かれて妖怪の反撃が可能になった中で今しか殺害に挑める展開はないと言える。妖怪はそれを利用して私に殺すために伸ばした爪が身体を引き裂こうと及んで行く寸前で私の技を避けて良い角度から腕を斬り落とす動作が自然に出た。その瞬間に私が盾が崩されてしまうことを予測させると次は妖怪の生命を絶たせる攻撃を下す。


「そこだぁ!」


 すぱっ! ザンッ!


「はぁっ!」

「グァァァアアア!?」


(決まったのか?)


「やったぁ!」


 私が斬り付けた後に巡る運命を疑った。それは今ので倒してしまった保証が出来る瞬間に導かれたい希望が抱かれる。その結果は目前で身体を真っ二つに両断された胴体が地面に転がる。それが確かめられた後で護霊刀を保管庫に戻した。これ以上は武器の所持は意味がない。だから、私は瞬時に倒したことを確かめて安心感を抱く。すでに事前から予定していた技が披露された時点で妖怪は打ち負かされる気持ちを知る前に死んで行った。これで無事に妖怪退治は終わりを告げる。


「ありがとう。理穂の援護で倒せたよ?」

「ほ、本当にぃ⁉ やっぱ珠美は凄いや!」

「いや、私は人の手を借りた事実が言い逃れの出来ない状況を作り出したんだと思う。だから、私の感謝したい人物は理穂しかいないでしょ?」

「えっ⁉ そ、そんな大袈裟だろ! そこまでアタシの援護は大した助っ人にもなってねぇわ。だから、ガチで感謝するなら今後に携われる術師の修行を積み重ねると決めるから一緒に強くなっても良い?」

「問題ない。それが望みなら叶えれば良いでしょ?」

「た、珠美ぃ……!」


 私は見事に討ち破った後で駆け付けた理穂によって抱き締められた。きっと背後からでも参戦した経験は初めてだったはずだ。つまり、初体験は凄い緊張感に追われたかも知れない。そんな状況下で炎球の操作を誤らないで適切に直撃させる技術は集中力が伴っていたと思われる。安心した後の理穂は嬉し過ぎて涙を流す始末だった。しかし、一戦目で仕留められた結果は良好としか言いようがない話だと考えられる。今回は手強い相手だったと内心で認める一心を抱いた。


「それじゃあ二人に連絡しようか? 帰って来ても良いと言うメッセージを送らないといけないからね?」

「うん!」

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