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天命の巫女  作者: 紅薔薇棘丸
第三章「新たなる仲間の登場」
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第18話「理穂の決意」

「それじゃあ手始めに身体能力から見て行こう。術師が必要とする要素の中でも身体能力は不可欠とも言える。ここで差が開いた時点で殺される確率は格段に上がる」

「う、うわぁ。それは凄い怖いかも……」

「大丈夫だ。基本は変身を主とする異術だと身体能力を強化してくれる性質が強い。つまり、それと兼ね合わせれば強大にもなる。だから、今後はうちで鍛えて行けば良い」

「そうなると超ハードだよね……」


 最初に話を聞いた時点で理穂は少し気が引けている様子が窺える。それを知ったお父さんが項垂れてしまうが、そこで私が理穂に声を掛ける。それで理穂が安心して修行に取り組めるように促した。


「まずは私が見せてあげる。私なら本気で走れば五十メートル走でも二秒未満の速度を出せる。基本的に普段は学年三位で収めているけど、実際は誰よりも速く走れてしまうのが当たり前なんだよ? そこで理穂は身体能力を向上させることで妖怪とか悪霊でも相手するなんて容易い。他にも魔術師が相手だとしても身体能力が高いと倒しやすい。だから、交戦する際は身体能力の向上が勝敗の結果が決まるの? やってみない?」

「そこまで言うならやらなくもないけど……」


 そんな感がで理穂の身体能力を見せてもらった。その結果は上等だと言えるぐらいの身体能力が備わっていると分かる瞬間だった。やはり、理穂にも術師としての才能は十分に持っているだろうと判断した。後は日々の生活に修行を取り入れるだけである。


「はぁ〜! さすがに疲れて動けない!」

「まだ十分しか経過していない。それだと今後は厳しいだろ」

「しょうがない。始めたばかりの段階で無茶はしない方が良い。二人はいつも取り入れているメニューに従って修行を続けなさい。柚木さんは俺が送って行く」

「申し訳ないです。それじゃあ先に帰るね?」

「バイバイ!」


 こうして私は理穂と別れた。それ以降は私と電斗で修行が継続される中で必死に身体を鍛えた。その取り組みが私たちを強くして行く実感は少し分かりづらいところはある。けれど、実感が湧いて来る局面はちゃんとどこかで現れると信じて今は修行に徹した。それが人々を救う上に自分たちが生きる力なのだ。


 そして修行の後で風呂から上がった私は宿題に手を付ける。やはり、出された宿題は怠ると後になって大変だから、ちゃんとやっておく必要性は十分にあると思う。基本は社会に出る力を身に付けることが目的でもある勉強が今後の人生に大きく影響が及ぶ点は弁えているつもりだった。本来なら高校なんて通わなくても巫女の仕事だけやっていれば生活は出来る。しかし、社会で必要となる学習が欠損した時の苦労は計り知れないとお父さんがいつも言っていた。それを踏まえて私は勉強する意思を通すことで社会に順応して行ける段階を整えたいと考えている。まずは今から勉強にも精を出して今後に活かせる努力を惜しまなかった時に発揮される成果は期待を裏切らないだろう。だから、修行と両立しながら勉強を頑張るのだ。


 次の日。下駄箱で靴を履き替えるために脱いだ瞬間の出来事だった。そこで正面に立った一人の女子が私に元気良く挨拶を向ける。


「珠美ってばおはよう! 昨日のトレーニングで身体中が筋肉痛なんだけどぉ? どうしてくれるのかな?」

「それは普段からトレーニングを怠っているせいでしょ? もしかして昨日で修行は出来ないと告げたいのかな?」

「うーん? まぁ、本当なら止めるのが普通だと思う。けど、異術と言う問題を抱えて生きるならちゃんと活用する方向性を見つけたいじゃん? それならもうちょっとだけ続けてみようと思ったんだ。駄目かな?」

「ううん。理穂の意思は尊重するよ。それ以前に大事だと思うから止めない。それじゃあ今日の放課後もうちに来なよ?」

「了解!」


 そんな感じで理穂が続けたい気持ちを表明した。その気持ちが伝わって応えたいと思った点が強く現れた瞬間だった。やはり、普通の人にない力はどこかで有効に扱いたい気持ちに駆られるのは不思議じゃない、むしろ、それが当然だと捉える方が正常に心が働いている証拠だ。それを大きく活用させてあげることも出来ないと娘が出来た時に苦労するだろう。娘を出産して年頃になった後の教育はもちろん巫女を継いでもらうために同じ道を辿らせるんだと夢に描いていた。だから、とにかくお母さんみたいに全国を回れる巫女を目指して頑張りたかった。


「最近の珠美は仕事がなくて助かってたりする?」

「それはないよ。逆に舞い込んでくれた方が助かる。普段の修行が報われる瞬間は仕事をしている時が実感も湧くからね?」

「色々と大変だねぇ? 珠美は学業と家業の両立を果たす義務がある訳だから、人の百倍は努力している感じでしょ? ご苦労ですわぁ」


 教室で正面の席に座る黒達ゆるはが労いの言葉を掛けて来る。それを受けた私は少し内心で歓喜するような感情が生じる。やはり、ゆるはの気遣いは凄く他者を思っている点が強いと思われる。それが周囲にも評価されている事実は偶に聞こえる会話から窺える。だから、その辺は見習う必要性があると考えていた。

 すると、そこでゆるはから何となくさっきの話を引き出した理由にもなる一件を頼まれる。それは今からゆるはが話す内容を聞けば理解することは容易かった。


「それと一つだけ良いかな? 仕事を増やすようで悪いけど、頼みたい一件があってさ?」

「んぅ? もしかして依頼?」

「そうなんだぁ。少し遠出になるんだけど、今度の日曜日は予定を空けられる? そこで一緒に群馬のおばあちゃん家で起きている怪奇現象を解決して欲しいの。お願い出来るかな?」

「別に構わないよ。それってどんな用件なのかな?」

「実は近所の夜中になると倉庫で物音が聞こえるんだって? それでおばあちゃんが見張った晩にお化けが出たらしいのよ。それを目撃してからおばあちゃんの体調が悪くなって動けなくなっちゃったんだぁ。何か解決策があると良いんだけど、引き受けてくれると嬉しいなぁ〜?」

「分かった。それなら任せて」


 私は久し振りに依頼が舞い込んで来たことに歓喜を覚えた。しかし、実際に人が困っている事実を前に歓喜する姿を見せられない。深刻かも知れない話を真剣に聞き入れる姿勢は大事だとお父さんから言われていた。だから、それを全うする態度でゆるはの一件を引き受けた。

 しかし、実際に日曜日は理穂をどうしようか迷った。私がいない間でもうちの修行が受けられるなら良いが、それは少し不安が生じて彼女だけがうちに残ることはしたくなかった。けと、この機会を利用して理穂にも付いて来てもらうことで巫女の仕事を見せると言うなら連れて行っても良かった。


(うーん? どうしようかな?)


 そんなことを考えていた矢先に理穂が後ろから声を掛けて来た。理穂は何気ない態度で私の隣に座った後で迷っていることを察して思考内容を尋ねる。


「何をそんなにマジな顔しているんだよ? 珠美らしくないよねぇ?」

「少し理穂に伝える方が正しい選択か見極めているだけよ?」

「ふーん? それは聞かせられない話なの?」

「まぁ、難しいわね?」

「良いから聞かせてよ? アタシたちは友達だろ?」

「しょうがないなぁ……」


 理穂は自らの意思で聞かせて欲しいと懇願した。それは聞いてみると分かるはずだが、それに至らない現状だと躊躇しないでいられるのだろうん。そこが私の内心に不安を生じさせた。しかし、これを話さない限りは根本的に解決しないことは分かっている。だから、私は高を括って理穂に迷っていた話を伝えた。それを聞いた理穂の反応は実に意外すぎると思わせるような発言と共に現れる。


「えぇ!? 日曜日に依頼が入ったから私を同行させるかで迷っていたの!? うーん。まだ異術の使い方が分からないからなぁ。けど、普通に見学する側での同行なら良いんじゃね?」

「そう来るか? まぁ、良いアイディアかもね? それじゃあ一緒に行ってみるで決まりだ」

「やったぁ! 凄く楽しみだなぁ!」


 理穂が同行することに決定して嬉しそうだった。その様子を見る限りだと今後の同行させることで迷った時の判断が容易くなるだろう。その点を踏まえると今の段階で尋ねて良かった。


 とにかく同行してもらうことが決まって少し安心感が抱ける。そんな現状が辿れたのも理穂に聞いてもらったお陰だ。しかし、そこに辿り着くのは時間の問題だった可能性も捨て切れない。けれど、過ぎた可能性は今の段階で深く考える必要性は皆無である。だから、取り敢えず決められたことは変更を悩む時まで実行する方針で行きたい。

 そう思った瞬間に理穂が笑顔で私に一言だけ発した。それは依頼の同行に行ける歓喜を伝えるための一言だった。


「ありがとう。アタシのために迷ってくれてたなんて現状で連れて行くリスクを考慮した上なら感謝する他にないね?」

「理穂……?」


 私は改めて思った。理穂は人々を救う人材に含めることで戦力となる期待をもたらす存在である点を深い観点で内心に抱けた。理穂のような存在は人々が救える心の持ち主だと考える。その慈悲が多くの人たちを導けるのは確かだ。私にもあるんだろうが、一人でも多い方が良いと考えた時から頼れる仲間は欲しいと思っていた。だから、理穂は今度の依頼を見学する形で同行させる方針は非常に良いアイディアだった。


 そして翌日の午前六時半を迎えた頃の駅前に集合した後のことである。私は理穂と依頼人のゆるはが来るまで待機した。実際にこれだけ早い集合時間は早すぎると言われたが、それでも譲れないと決定を了承させた点は少し強引だった。しかし、帰宅した後の修行時間を取りたい一心で二人の意思を曲げた時に見れた反応は凄い絶望に浸ったような表情と酷く低いうめき声だったことを覚えている。そこまで早朝に起きるなんて容易いように思えるが、他の人たちは凄い怠く感じる内容だと言われる時が多かった。しかし、それは今回に関係ない話として処理した時からどんなに修正を求められても聞かないことを決めていた。


 すると、そこで目前から待ち合わせをした二人が走って来る。どうやら二十分の遅刻で来れたようだが、本当は凄い叱りたい気持ちが内心に溢れている。けど、無理して決めた話を了解した二人は偉いと思った。ちゃんと来てくれたことの関心は抱かれた点から今は何も言わないことにする。しかし、次回はどうなるか分からないとしか言えなかった。不確定心理がどんな決定を下したいかは直面してから決める他の選択肢はないと考えられる。とにかく三人が揃った時点で早く電車に乗るために駅のフォームを目指す。


「今日は依頼を受けてくれてありがとう。まさか理穂ちゃんまで来るとは思わなかった」

「悪いね? 実は生で見たかったんだ。今回はお世話になるかも」

「それは良いとして珠美は準備を整えて来たのかな? そこが少し心配だけど、ベテランなら気にすることはないよね? ま、取り敢えず問題が片付けられることを祈ってます。頑張ってね!」

「もちろん。私はこれでも家業を継ぐために修行積んでいる最中なの。この機会はちゃんと経験して来いってお父さんにも言われているんだから!」

「わぁ! 頼りになるぅ!」


 そうやって電車が来るまで待機する中で理穂が持参したお菓子を空けている姿が見られた。それを私とゆるはに分けてくれるみたいで一つずつ渡して来た。実際にお菓子は普段からあまり食べないが、小学生の頃は月に一度だけ頂いていた時期があった。それが今になってなくなったことに文句はない上に大して問題視するなどの支障も出さないで生きて来た。そんな人生を送っている途中で再びお菓子に巡れ合う機会が来るとは思ってもみない話だった。


「ありがとう」

「理穂ちゃんっては用意周到だなぁ! マジでありがとぉ〜」

「どうも致しまして。これぐらいは遠出に必要だと思って昨日から用意していたんだぁ」

「そっか。さすがにそこまで気が回らなかったなぁ」


 私は遠出する時にお菓子を持って来るなんて発想は皆無だったから理穂が持参したお菓子は少し驚いた。しかし、お菓子を持って来ることを否定するつもりはないので自分の意思が持参を望んでいるなら構わないと思った。


「目的地は群馬県だけど、実際に訪れた経験はないなぁ。どんなところか観光もしたいから早めに片付けたいね?」

「マジで⁉︎ 早く終われば観光できるの⁉︎」

「今回は一緒に来れて良かったぁ。私もあまり来たことがないから一度は観光する夢を抱いた経験がなくもない。だから、ちょっと期待しておくね?」

「それじゃあ目的の場所までレッツゴー!」


 そんな感じで私たちは目的地に向かって歩み出した。途中からバスに乗って移動する上で目的地が見えて来たところで何だか異様な妖力が感じ取れた。こらは今回の一件に関係する可能性が高いと見た時に早く現場を確認したい気持ちが起きる。

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