第14話「集落の最終決戦」
「ここは俺が出る。お前とこうして交戦したいなんてどれだけ待っていたことか知っているかい?」
「ふっ! 貴様なんかに敗北する訳に行かないんじゃい! 仕方がないから相手になってやるわい!」
「それよりも例の少年を出してくれよ? 俺の目的は彼だけなんだよね? それが分かっているなら素直に引き渡せ!」
「別に差し出しても構わないが、何の目的でお前は集落に来たんじゃ? その謎が解けないからお前を生かして置けないんだ! さっさとくたばれぇ!」
「死ぬのはお前だろ? じいさんよぉ!」
楽典さんが黒い閃光を収束させた。それも球体が出来るように収束が始まって塊となった黒い閃光はいつでも放てる状態が窺えた。その一撃が集落長の死を確実に実現させられると言った期待で溢れている。しかし、思った以上に集落長が取った行動が楽典さんの一撃から逃れてしまう。
「いっけぇぇぇえええ!」
「ぐぁっ⁉︎ ぐわぁぁぁあああ⁉︎」
集落長は慌てた様子で結界術を張り巡らせて防御する。幾ら楽典さんの一撃でも結界術は敗れることはなかった。やはり、無敵の防御策とも言われる結界術の前に全ての攻撃は無効になるのかも知れない。それを見た時に楽典さんが少し険しい表情を浮かべる。
「結界術が扱えたなんて思わなかったよ。しかし、結界術の弱点なら知っている……!」
すると、楽典さんは集落長の下まで走って行く。どうやって結界術を攻略するのか分からない状況下で楽典さんの行動は驚愕を起こす。
「結界術は殆どの場合は無敵とも言われる絶対防御策だ! しかし、それは至近距離から一定の威力を超えた一撃で破れるんだよぉ!」
「なっ⁉︎ そんな馬鹿な⁉︎」
「これで終わりだぁぁぁあああ!」
今度は黒い閃光が拳に収束して殴打を放った。弾ける閃光を纏わせた拳なら打撃と同時に威力が加わって凄まじい攻撃を期待させてくれる。この一撃が集落長の結界術を破壊して追加の攻撃が下される。
「や、破られるなんてぇぇぇえええ⁉︎」
「ふっ! これ以上の手間は掛けさせないでくれよな!」
結界術が破れた後で瞬時に通常の殴打が決まる。それも顔面に向けて本気を出した楽典さんが集落長を吹っ飛ばして頭蓋骨に大きな衝撃が加わる。普通なら老人にもなって顔面を攻撃されると言うことはかなりのダメージが期待でいっぱいだった。
そして集落長が地面に転がってトドメを刺す態勢を作る。それは一撃目に放った黒い閃光の収束させた球体が集落長の生命が絶たれる運命を辿る。
「ぐぁっ⁉︎」
その悲鳴が上がると同時に集落長の身体が消滅する。跡形もない死を迎えた集落長は呆気なく倒されて最後の一戦が終わる。
「これで終わったな? それにしても少年の居場所を聞く前に殺す必要はなかったかも知れない」
「げっ⁉︎ マジでぇ!」
「しょうがないから探すしかない。けど、この集落がどれだけ広いのかも分からない状況で探せるとは思えない」
「これは村人に聞いて回るしかないか?」
そんな会話が交わっいた時に衝撃の展開を迎える。それは肝心の少年がどこに監禁されているのかと言う疑問を即座に解決させる事態となった。
「お前たちが助けてくれたのか?」
「んぅ?」
「ええっ⁉︎ もしかして本人が登場⁉︎」
そこで上がった声が示す意味は誰が聞いても現在の状況が分かる一言だった。
「君が千年間の自由を奪われた少年か?」
「お前が目的とする相手であるかは分からない。しかし、これでも相当の眠りに着いていた気がする」
「見た感じだと他の村人と違った雰囲気にも思わるわね?」
「そうだな。こいつが目的の少年なら問題の解決が早いうちに染むんだけど」
そうやって私たちは唐突に出現した幼い顔立ちの少年に疑問が抱ける。もし、こいつの正体が集落関連の罠であるにも関わらず、味方に引き入れて後で後悔することが起こる心配を募らせた。しかし、そこで楽典さんが右手の甲に紋章が刻まれていることに気が付いた。
「ちょっと右手を見せてくれないか? もしかして手の甲が示す紋章は殺害する少年の区別に扱われた奴なんじゃないの?」
「これ? 知らない間に刻まれたような紋章だね? これがどうかしたの?」
楽典さんは少年が差し出した甲を見て理解する。それは少年が逃げた時に探知するための紋章だと言うことをだった。実際に呪術が施されていることは分かるが、すでに紋章に宿った効果は失われた後が理由になるらしい。もう呪術は解かれている点から少し間を置けば消えると断言した。
「助かるな? 可能性としては集落長が監獄に入れないで見張っていたかも知れないと判断するのも間違いじゃないだろう。なら、取り敢えず一緒に来てくれないか? こんな場所にいてもしょうがないだろ?」
「僕が空間を出たら異術が解けてしまう。そうなると村人が困る。そこに起こる問題をどうやって解決してくれるかで答えは変わる」
「ほう? 空間に居座らないと異術は保持できないのか? その話を詳しく聞かせてくれよ?」
「話が長くなるかも知れない。けど、黙って聞いてもらえるのかな?」
「分かっている。取り敢えず聞かせてもらうわ」
そんな感じで少年は私たちの手で目覚めた。実際にどんな経路を辿っていたのかは花足を聞いた後で決めると卓典さんに言われた。話の内容を聞いた時に少しでも異なっていると思った場合は偽物とみなして少年の保護を諦めることが今回を大きく揺るがす。目的が達成できなかったなんて思いたくないと双羽が抗議するが、それは見付からなかった場合の話だと楽典さんは治める。それなら見つかるまで探したいと文句を言う双羽に以後の一人を強要することが条件であると告げられて諦めないといけない可能性が出て来る。
「僕が覚えている記憶はいつになるか分からない。まだ最近のように思えるが、実際は見渡した景色が異なっていたことを含めて現状における判断を下す必要があった。君たちから聞いた話と照らし合わせて分かる通り、僕は長い期間を意識のない状態で保管されていたらしい。その事実は以前に襲撃して来た村人が関係していることは言われらくても分かっていた話だ。そこに繋がる話になることを願っている。聞いてくれ」
そこから先の話が少年の知っている範囲で開示される。何せ千年前の話だか楽典さんでもどこまで事実か判断することは難しいと言う。それを一連の真相解明に向けて聞かせてもらった。
ある日、少年が集落から離れた場所で暮らしていた時の話だった。外で一緒に生活していた少女の帰宅が遅いことを心配する中で唐突に村人たちが押し寄せた。その際に対する疑問を抱いた少年はとにかく用件を聞いて引き取らせるつもりで近付いた一瞬で攻撃を仕掛けられて咄嗟に避けたらしい。そして回避したことに称賛を送った男が村人たちの中から搔き分けて現れた。彼はどこを見ても村人に思えない服装で先頭に立った時から疑問を抱いた。けど、それが自分の脅威になるとは思ってもみない事態を引き起こす。それは瞬時に振るわれた魔剣が腹部を刺して即座に違ったところから呪術を駆使されて身体に異変を感じた。それ以上に意識が保てなくなって揺らいで行く視界に映った男の顔は笑みが浮かべらていた。強く印象に残った男に質問を投げ掛ける余裕も持てないで意識は途絶えた。その後で再び目が覚めたことに気付いた時に近くにいた私たちと出会ったことで話は終わった。
「つまり、呪術を行使される時に第三者の介入があったのか? それで対処に追い付かなかった。それを聞いて筋が通っている時点で特に拒む理由はないな? それじゃあ俺たちと来て欲しい。村人に関してはこっちで手を回すと約束する」
「それなら安心して空間が閉じられる。それじゃあすぐに始めよう」
そう言って少年が【空間構築】の解除を始める。空間が一気に歪み始めて最終的に少年の言っていた話が実現する。空間を閉じたことで俺たちは外に出ている。それと大勢の村人が周辺に窺える様子から異術が解かれたことが分かった。村人たちは混乱しているようだが、実際に少年は取り敢えず落ち着かるために声を掛ける寸前に最悪の展開が起こる。
「やぁやぁ、どうやら空間が閉じてしまったみたいだね? もしかして神童千鶴の復活が果たせてしまったようで少し油断したな。けど、少年が解放されたぐらいで簡単に生還できると思わないでくれないか? 今から最終戦の開始を宣言する!」
「はぁ? 何で義廻がこんなところに来るんだ……!?」
「ほう? こいつが例の魔術師か? そっちから現れたなら俺が直々に処分するまでのことだね?」
「処分とは大層にも思える一言が良くも吐けたね? それが勇敢だとはき違えているなら一言を改めろ」
「ふざけないでくれるかな? そんな風に返答するなら俺が殺せてからにしろ」
「そう来たい気持ちは分かるが、今回は俺に加えた人外を用意したんだよ。是非とも相手を頼まれてくれ?」
そうやって楽典さんが義廻の願望を聞き入れると同時に疑問が生じる。もう一人の仲間が交戦に加わることは楽典さんの表情が険しくなって行く。
そして私たちの前に立ち塞いだ男はどう見ても人間であるかのような容姿が窺える。それに義廻はしっかりと間違いなく『人外』と呼称した。その点で聞き間違えたなら次に発せられる言葉からも同じ『人外』なんて繰り返されることはないはずだった。それが以後の義廻に行えてしまう最悪と言う名の事態を引き起こす展開を招いて私たちの窮地となる。
「紹介しよう。こっちは爆竜のハゼロだ。よろしく頼むよ」
「どうも。俺はハゼロと言う者だ。こんなタイミングで自己紹介しても後で一人すら生存者は残らないように殺す予定を組んでいる。だから、潔く死んでくれないか? それが現状で特に伝えたかったことになる。精々楽しませろ」
「また新たに登場しやがった!? 義廻だけでも厄介なのに!?」
どう考えても二人目の登場は厳しい節がある。やはり、それなりに戦力として導入された存在なら以下であっても相当の実力者に値することは確かだった。ここで義廻の後退が見られることを期待して止まない気持ちが大きく内心に抱かれる。再び死の挟間となる展開が訪れることが恐ろしく感じる。
「自己紹介は終わりにする。そこで今から僕たちと一戦を交えてもらおうか? 君たちがどれだけ強くなったか見たいからな」
「どうする? 分担して戦う方が得策でしょ?」
「なら、ハゼロは少年と珠美で相手するのでどうだ?」
「私は構わない。きっと義廻に人数を送って置く必要性は大いにある。だから、楽典さんを中心に交戦に臨んで欲しい」
「取り敢えず分かったよ。俺があいつをぶっ倒せば良いんだね?」
そんな感じで簡単に二人と交戦する人数配分を決めた。実際に義廻は本気を出さなくても電斗と双羽は攻略されてしまう点は十重に理解していた。そこで補足として楽典さんに一言だけ注意した。
「楽典さんは義廻を二人に向けさせないように戦って! どう考えても実力差があるのよ。だから、真面に交戦した場合は死ぬわ」
「そうか? 分かった。そっちも実力が分かっていない点の多い敵なんだろ? お前は無茶しないで少年のサポートを頼む」
「了解!」
こうして交戦が幕を開けた。義廻に多く人数を送り込んで交戦を始める中で先制を決めたのは少年だった。
「ちなみに僕は神童千鶴。神術の他に三つは異術が扱える。中でも現状で有効に扱えて交戦するなら二つしかない。けど、きっと行けるかも」
「分かった。相手は地上戦なら私も問題はないから共に倒そう!」
「威勢が良いな? それなら遠慮しないで殺させてもらうぜ!」
そんな一言が発せられた瞬間に間合いを素早く詰められて最初に千鶴を襲った。しかし、初手を容易いと思わせるような対応を取って見せる。ハゼロが殴り掛かった一瞬を捉えて回避した上で千鶴が空いた隙に向けて一撃が決まった。
「はぁっ!」
「ぐぅっ!?」
「何だ。この程度なら楽勝じゃん!」
そうやって千鶴は大きく肘でハゼロに腹部を強打する。それが見事にダメージを与えて地面に転がって行く。
(凄い!あの攻撃を意とも簡単にカウンターで反撃するとは! やはり、実力は楽典さんの期待していた通りが窺える!)
そんな一心を抱ける展開になった現状はすでに勝利を確信した私がいる。けど、それは甘い話だと分かって油断を見せないように促す千鶴は攻撃した一瞬で実力を理解していた。
「こいつは凄いなぁ……。あれだけ硬い腹筋が相手だとこっちの身体が逆にダメージの蓄積が見られるかも。君も気を付けて! 相手は凄まじい筋力で硬い! その刀で斬れるはずがないと思うよ!」
「え……? 私の刀では斬れない? そ、そんなに硬いの?」
「あぁ」
(う、嘘でしょ? 何で攻撃した一瞬しか触れないにも関わらず、斬ることが難しいと言えるの? 確かに硬度の高い筋力はあるだろうけど、それは斬れないことに繋がるはずがないよね? けど、信じないなんて千鶴が間違えていることになる。なら、信じるしかないか……)
そこで整理した内容から答えを見出して私は注意する。斬ることが出来ないと分かった時点で私の出番がなくなってしまう。この一戦を勝利する鍵は千鶴に託された。しかし、さっきの攻撃が効いているようで、凄く痛みを思い知った感じの様子をハゼロは窺わせる。それを見て私は千鶴なら倒せることを確信した。
すると、千鶴が義廻の方に回る提案を出した。実際に黙って見ているだけで済ませられる状況にない問題を解決させる誘導を施す。
「君は向こうを手伝って欲しい! こいつは僕が何とかする! 一人で大丈夫だよ!」
「——え? ほ、本当に良いの!?」
「出来るなら有効に交戦を進めたい。あいつは相当に凄い奴だって分かった時から三人だけで勝利は望めない。そこでハゼロの始末は僕がちゃんと命を賭けて付けるからさ!」
「わ、分かった! ここは任せる!」
そんな言葉を交えた後で私は義廻と一戦に臨む三人の方を目指した。今は千鶴に感謝しながら私の身体は全力で義廻の下に駆けて行った。




