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天命の巫女  作者: 紅薔薇棘丸
第二章「囚われた少年の解放」
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第11話「電斗が見せた本気」

 電斗は扉を開けて先に歩みを進める。その先で待ち構えていたのは、無数の魔剣を周囲に突き刺した状態を窺わせる女だった。意外にも思える展開に私は交代を申し出るが、電斗は二戦目の挑戦を退かなかった。電斗は交戦が開始される前に私が心配して不安を抱いた表情で合わせた顔を真剣に見つめて告げた。それは普段の修行を積んで行く上で私に抱いていた気持ちが語られる。それは未だに告げたことのなかった本音みたいで、彼の発言を聞いた私は少しだけ任せても良いと思えてしまう末路が辿れる。後は結果を残してもらうだけで私が求めたいことはない。


「今度は俺が相手しよう。これでも厳しい修行の末にお前と対峙している」

「ほう? その決心と覚悟は立派だけど、前の男よりは百倍の戦力を誇った私を倒せるなんて思わないでよね? 惨い様で殺してやる!」

「お生憎様だ。こっちも死んでもらう予定で交戦するつもりで立っている。あまり、お前で手こずって時間を削りたくない。出来るだけ速やかに済ませたい」


 電斗が全身に電気を走らせた。これは開始した瞬間に電気が起こせる態勢を整えて置く事前の準備だと言える。事前に全身を電気で回すことを教えた人物はお父さんである。お父さんは電斗の魔術を見た時に全身が電気を駆け巡らせて置けば素早い攻撃に転じられると考案していた事実は修行で語られている。だから、教えてもらったことが活かされている点は私の期待を大いに膨らませる。後は勝利して最後の一戦を討ち取りたいと内心を巡る気持ちが生じた。


「それじゃあ始めるとするか!」

「来い!」


 そうやって電斗は身構えた。その姿勢はどこにも隙が空けられていない状態を作る。それでも相手は隙を作って行く算段は整っている状態で一戦が始まる。

 この時に私が窺った光景は凄まじい激闘を繰り広げる姿を自分は見守っていたい気持ちで応援する。身を構えて相手の動きを予測して回避すると良かった。しかし、判断を誤って相手に優勢を取られてしまう中でも冷静に攻撃を受けて行った。


「行くわよぉぉぉおおお!」


(凄い魔力で溢れている⁉ これが一番の難敵となる日が訪れるのか不思議でしょうがないなぁ。けど、きっと電斗なら勝利してくれるだろう。頑張って!)


 内心が期待に満ちた想いで埋まってしまう。そんな一戦が開始された直後に魔剣が地面から引き抜かれた。それも、一度に十本の魔剣を纏めて宙に浮かせて電斗を目掛けて飛ばして行く。それは魔剣に触れないで浮遊させて操作される。つまり、念力で魔剣が動かされているみたいだ。


「危ない!」


 私は焦って声が上がってしまった。電斗は丸腰で魔剣を相手することに耐性がない。素で受ければ身体が斬れてバラバラの状態に解体される恐れがある。


(やっぱり、私が出るべきだった!? 周辺に魔剣が刺さっていた時点で警戒して置く必要があったんだ!? これじゃあ勝利は難しい⁉)


「どうしよう! 電斗が負けちゃう!」

「大丈夫。あれぐらいで電斗は負けないよ。見ていれば分かることさ」

「——え?」


 十本の魔剣が一斉に電斗を襲い掛かる。剣先を向けて電斗の肉体を狙って貫こうとしている。しかし、それを電斗は意とも容易い攻撃で防いでしまう。これが電斗の前に出た理由だと気付かされた瞬間だった。


「魔剣は基本的に物体として存在が許された武器だ。こうやって電撃を拡散させれば防ぐことは容易なんだよ。見ていろ!」


 魔剣が電斗に刺さる前に余裕を持って電撃が広範囲に放出された。電撃は魔剣に直撃して一本も残さないで反対に吹き飛ばされた。電撃だと魔剣は対抗するに値しない属性であると勘違いしていた私は目前で見た光景が窺えた瞬間に電斗なら倒せる可能性が見出される。そして魔剣を吹っ飛ばす力を加える以上に余裕が生じた電撃が相手に多少のダメージを与えた。


「ぐぅっ!? ぐわっ!?」


 その勢いが相手の態勢を崩して隙が至るところに出来る。そこを即座に判断して間

合いを詰めるために走った。相手と離れた距離を埋める行動に出たが、攻撃の届く範囲を超えることが可能になる直前で姿勢が立て直されてしまう時間は大いに十分だった。しかし、走りながら電気を掌から放出し隙に向かって直撃する。電気が全身を流れて痺れた女は追加の行動不能を強いられる。そこで電斗は電気の流れを拳に集中させて殴打を放った。これは電気が伴った一撃になる。拳が相手の顔面を捉えて直に触れた瞬間が分かったところで電気は流れ込んで行く。電撃が相手の身体を通って感電させた。その時点で相手は三段階の攻撃を受けてしまって大きくダメージが入る。これらのダメージを与えた電斗は吹っ飛ばした相手を殺すつもりで特大の電撃を放出する姿勢を作った。


「これでお終いだなぁ!」


 これで決着が決まると思った瞬間に相手は地面を転がって隙を見せた機会を逃さないで攻撃を加える。しかし、相手が不利に思える戦況を迎えてトドメが刺される瞬間が望めないことをすぐに悟って中断を強いる。


「——んっ⁉」


 しゃきんっ!


 何と魔剣がいきなり現れて突き刺される寸前で電斗は避けた。この魔剣はどこから来たのか分からない中で電斗の意識は削がれてしまった。しかし、すぐに意識を相手に向けて態勢を瞬時に整えて攻撃を再開して行こうと思った時に転がった相手が仰向けで止まって声を上げる。


「そんなに生還したいのかよ! けど、弱者の癖に私たちの居場所を奪う目的で近寄って来た奴を易々と逃す訳がないよなぁ?」


 すると、魔剣が一斉に浮かんで再び電斗を襲った。倒れた状態でも魔剣の操作は出来ることを知れた時点で少なくとも警戒心を強めて攻撃を避ける余裕を保ちながら電撃で対抗する策を電斗が決行する。それを瞬時に思考して行動を取るまでの判断が素早くてお互いの戦略が交差した。やはり、二戦目ともなると強い相手が迎え撃つなんてことは必然と思えてしまう。

 そこで電斗は目前に突き刺さった魔剣を握って抜いた。その魔剣が自分にも扱えるなら次からは武器を使って戦う姿勢が見られた。


「なるほど! 魔剣が近くに落ちているなら使っても問題はない!」

「考えたようだね? しかし、普段から使わない武器を扱えるのかな?」

「そ、それはぁ……」


 そんな感じで交戦が続けられる。魔剣を手に入れた電斗は慣れない扱いを考慮した上で構える。それに対して相手は一本の魔剣だけで何が出来るのかと鼻で笑う。複数の魔剣が宙に浮いてどんなタイミングで飛ばして来るか分からない状況の中で電斗の視線は真っ直ぐ相手を捉えた。その上で相手が魔剣を再び飛ばした瞬間に電斗が対抗を見せる。


「はぁっ! てぁっ!」


 魔剣を振るって向かって来た撃ち落として行く。連続で魔剣に対抗して振るわれた瞬間に相手が処理を詰めて来る。そこで最後の数本を電撃で吹っ飛ばしてから接近した相手の行動を逆手に取って攻撃する。しかし、そこて相手が反射運動を活かした回避を成功させて顔面を殴打する。


「うらぁっ!

「ぶぅっ⁉︎」


 魔剣を使った攻撃が主流の相手だと素手による一撃が弱い。しかし、しっかり急所が捉えられている点が多少のダメージを負った。けど、そこから電斗が瞬時に電気を起こした。すると、近くにいた相手に電気が流れる。


「ぐぅっ⁉︎ 畜生ぉ⁉︎」

「まだ終わってねぇ!」


 痺れて動けない相手を即座に殴り飛ばす。電気を少量だけ流し込めたことでダメージが少し負わせられる。さらに追加で電撃の放出を間近で行う。



「ぐぉぉぉおおお!」


 相手は大きく悲鳴を上げた。電撃を直で食らってしまった時点でかなりのダメージが入ったと思われる。そこで傍に刺さっていた魔剣を抜いて即座に動けなくなった相手の心臓を目掛けて貫いた。魔剣が貫通するぐらいに刺し込まれた相手は表情が絶望に染まる。そこから一気に魔剣は引き抜かれて血が大量に噴き出る。この重傷で交戦は不可能と考えた時に私たちは歓声を上げた。


「やったぁ!」

「やるじゃないの!」

「これで二勝目は決まった。素晴らしい戦いだったよ」


 私の内心は次の一戦に出ると決まった時から緊張していた。しかし、双羽と電斗がやり遂げてくれたにも関わらず、私が敗北して死んで行くなんて結果わ残したくない。ならば、全力で一戦に挑む必要性が求められる。


「取り敢えず扉を開けてくれるはずだ。もっと下に降りるぞ?」


 そんな指示の下で私たちは自然と開いた扉の先に進んで行く。そこは松明で道が明るくされているが故に足場がちゃんと見える。その点は転ばないように意識を足下に集中させる。今回の階段は以前よりも長い道のりを歩いた。そこで辿り着いた先は途轍もない広大な空間が広がっていた。こんなに広い場所で戦うなんて少し緊張が増してしまう。


「最後は決めて来い!」

「無理を承知で相手しろ。どうせ手加減して死んでしまう結末は辿りたくないと思うからな」」

「それぐらいは分かっているわ。三人の声援が私を強くするから見守ってください。よろしくお願いします」

「とにかく階段を降りながら話を進めた。それは少年の秘密と今後の活用方法を話してくれた。


「今回は少年の救出をメインに進めたいと思って連れて来た。実際に少年は地下の最下層に囚われている。ここで少年が仲間になれば戦力は拡大する」

「結局は戦力が目的なんだね? まぁ、相変わらずって感じだわ」

「しかし、その方が義廻を倒せる戦力に加えられるかも知れないじゃん! それなら特に問題はないよねぇ~」

「それよりも次は最終戦だ。珠美は大丈夫だよね? 次で敗戦した場合は真っ先にお前が死んで俺たちも後を追う感じを辿るんだろう。そうならないために勝利してくれないと困る」

「分かってるわ。そこは自分のためにも勝利する他にないことは分かっているわよ」


 そうやって進めて行った先に待ち構えていた扉が見付かった時に深呼吸で気持ちを落ち着かせる。この際だと負けた時のペナルティーが下った後の実感があまり湧かない点が不思議だった。けど、とにかく四人の命が掛かった一戦であることを念頭に置きながら扉を開いた。そこで待ち構える刺客は予測から外れた存在としか言えないような相手であることが分かった。こいつが何を思って三戦目の刺客として出現したのか謎すぎて凄い悔しく思った。


「な、何で貴方が三戦目の相手なの? もう懲りて止めたとばかり思っていたわ。けど、それでも立ち塞がるんだね?」


 三戦目は私が予測に入れることの出来なかった相手だった。まさに数ヵ月の期間を置いて対峙した相手は私を見た瞬間に表情を引き締めた。その表情が示す思いは非常に複雑で運命が割り当てたルートの残酷すぎる結末が私を悲しませる。

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