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短編まとめ

婚約破棄の理由:物理的に汚いから

作者: よもぎ

あら、フィゲロ伯爵令息、ごきげんよう。

何か御用事でして?



名前で呼んで構わないのは婚約者か己の姉妹くらいだと家で教わりませんでしたの?

わたくしとあなたは既にそういった関係ではないのだから、礼節をわきまえてくださる?


あら、ミランダ様。

わざわざ広める必要もないかと思っていただけなのよ。

けれど、そうね。

誤解されたままはいやね。

この場ではっきり宣言させていただくわ。



わたくし、キャロリーナ・アイギスと、グウィン・フィゲロ伯爵令息は、婚約関係を解消いたしました。

フィゲロ伯爵令息の有責で、です。


有責の内実に関しましては周知のとおり不貞でございます。

ただ親しげに振る舞ったのみでなく、ご自宅の自室、その寝台の上で裸で……と、ここまで言えばお分かりいただけて?

その現場をわたくしのみならずフィゲロ夫人と使用人、わたくしの侍女が目撃したがために、関係を維持することあたわずとして解消に至ったのです。


お相手?タリラ男爵令嬢ですわ。

えぇ。あの。

貞操観念もなく、複数人の男性と絡み合っていると大層有名な、あの。


一番絡み具合の低いとされていたフィゲロ伯爵令息でさえ体の関係があるのですもの。

他の方々もあると思いますわ。



わたくし、不貞の事実だけでも十分嫌だと思えたのですけど、もっと嫌なことがあるのです。

他の女性の体液が染みついた体の男と結婚だなんて冗談じゃなくてよ。

しかもその女性を経由して他の男の体液とも向き合わなくてはいけませんのよ。

お断りですわ。

普通の夫なら有り得ない汚らわしさじゃなくて?


その状態でわたくしが妊娠したとして、誰の子になるんですの?

タリラ男爵令嬢を経由した他の男性の子種で孕んだわけではないと、誰が証明してくださるの?

ああ嫌だ気持ち悪い。

言っていて気分が悪くなりますわね。



そういうわけで、とてもじゃありませんけれど不潔なので婚約関係の解消に至りましたの。

お互いの家の都合というわけではありませんわ。

ただただフィゲロ伯爵令息の下半身とおつむがゆるゆるだったせいです。




そういうわけですのよ。

あなたが黙っていたならわたくしも汚らしいあなたのことなど口にせず、粛々と次の婚約を受け入れてそのように生きたものを。

どうして掘り返しに来てしまったのです?


ねぇミランダ様、どうしてだと思われます?

わたくしさっぱり分からなくて。

ええ、だって、不貞の現場を証言者多数の状態で発見されたのに、その後何事もなかったかのように婚約が続行するだなんてこと、あると思いまして?


そうでしょう?


それで、何の御用事か分かりませんけれど、お話があるのでしたら当主に申し出て、当家の当主へとお願いいたします。

わたくし、あなたとは距離を置くことにしましたの。

ああ、一人の時を見計らってとか考えておいで?

残念ながらあなた様と違ってわたくしには友人が多いもので。

教室を移動する時も、昼食の際も、一人になどなりませんわよ。

おあいにく様。



ですから、近付こうだなどと思わないでくださいましね。

あまりしつこいようならご実家にも苦情を送りますし、学園側にも事情をお伝えして計らっていただかねばならなくなりますわ。

それって、あなた様の傷口を広げるだけで、あなた様の思う結果にはつながらないと思うのです。


それでしたらまだ、汚らわしい存在となったあなた様を受け入れてくださる奇特なご令嬢をお探しになられたほうが建設的だと思いますわ。

万が一にであっても、夫となった人としかそういうことをしていないのに、夫以外の子種で孕むことがあるという現実を受け入れられる。

そういうお方、いらっしゃればよろしいわね。




ところでそろそろ予鈴が鳴りましてよ。

ご自身の教室に戻られたらいかが?






ミランダ様、傍にいて下さって助かりましたわ。

アンダイン子爵令息様も。

殿方が近くにいるというだけで、それだけでも心強く思えました。


今回のお話は秘しているわけではありませんから、広めていただいて構いませんわ。

いいえ、むしろ広めていただいたほうがよろしいのかしら?

だって、汚らわしい存在であると知らずに婚約を結ばされる令嬢が出たら気の毒ですもの。

分かっていて受け入れるのならともかく、知らず他の男女の体液と向かいあうことになるだなんて。

そんな残酷な目にあうだなんて、とてもじゃありませんけれど無残ですもの。



ああ、予鈴が鳴りましたわね。着席いたしましょう?






なろうで「他人の体液ついた棒入れるんじゃねえよクソが(意訳)」って話を読んだのを思い出したので自分なりにアレンジしたラーメンです。

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