表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
慕情  作者: yukko
前の令和(一番古い智樹の記憶)
90/166

医師になる夢

正樹が目指しているのは医師です。

正樹の祖母から亡くなった叔母の話を聞いてからです。

祖母は父の母親です。

父は今は一人っ子ですが、実は妹が居ました。

2歳下の妹が15歳で亡くなったのです。

病名は、白血病。

その頃は治療法が全くなかったと祖母は言いました。

その祖母が亡くなった叔母の名前でDMが届くと喜んだのだそうです。


「20歳の時だったわ。生きていたら20歳の成人式の前の夏だったと…

 思うの。

 来たのよ。お手紙が、振袖のね。買ってください!っていうお手紙。

 生きていたら、こんなに綺麗な振袖が着られるんだなぁ~、って………

 そう思って、見てたのね。

 そしたら、生きているように扱って貰えたことが……嬉しかったの。

 本当に嬉しかったのよ。

 これ、ね。その時のお手紙なのよ。

 ほら、ここ、見て。正樹君、智樹君。

 お名前、あの子のお名前でしょう。

 捨てられないの……捨てられないのよ。あの子のお名前が入ってるから…

 生きて欲しかった。助かって欲しかった。

 不治の病なんか、なくなればいいのに………。」


「おばあちゃん、僕、お医者様になる。」

「まぁ、智樹君、ありがとう。」

「僕もお医者さんになる。」

「まぁ、正樹君。ありがとう。」

「二人とも、本当にありがとう。」


祖母との会話を思い出す度に、正樹は智樹に言いました。


「おい、智樹、お前が先に医師になるって言ったくせに……

 なんなんだ。お前は、サッカーばかりして!」

「だって、兄さんの方が賢いから…… 僕の学力じゃ無理でしょう!」


それが、流石に高校入学の寸前で勉学に励むようになり、智樹も図書館で勉強するようになったのです。

その図書館で智樹が運命の人と出逢ったことを正樹は知りませんでした。

15歳で白血病で亡くなった女の子は実在します。

私の知人の娘さんです。

生きていたら20歳の成人式の前にダイレクトメールが届きました。

振袖をお買い求めの…という内容で、様々な振袖をモデルが着ていました。

知人は「生きているみたいで嬉しい!」と言っていたことを私は母から聞きました。

それを、正樹の医師への夢になる動機として入れました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ