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慕情  作者: yukko
令和
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復帰

どんな時でも日は過ぎていきます。

暑い夏になりました。

暑さは厳しく、地球温暖化という言葉を実感する毎日です。

香澄は、送迎して貰いながら仕事を再開しました。

職場の理解が大きかったのです。


職場に久し振りに出勤すると、子ども達が駆け寄って来てくれました。

子ども達の笑顔を見ていると、心が穏やかになりました。


⦅やっと発進できたわ。 良かった………。

 夢に向かって、後はひたすらに進もう!⦆


休んでいた日々を取り戻るように働きました。


アフリカに居る正樹(田辺先生)とは今も連絡を取っています。

助けてくれた智樹(田辺先輩)とは連絡を取っていません。


いつの間にか、正樹の存在が智樹より大きくなっていました。

正樹との会話が、あの事件から香澄を放してくれるようです。

正樹に約束しました。

「先生が帰って来られるまでに、私、児童相談所に勤務できるよう頑張ります。」……と………。


裁判の行方が気にならない訳ではありません。

気になるけれども、ほんの少し、裁判のことを聞くだけで体が震えだします。

それを知っている両親も、友達も裁判のことには一切触れません。


香澄が外に出られなかった間に、友達で変化があった人が居ました。

幼馴染夫婦には子どもが生まれます。

真帆はサッカー部のキャプテンと結婚が決まりました。

来春はおめでたいことが続きます。

「来春が楽しみです。」と、正樹にメッセージを送りました。


「来春は良いことが、きっとあるよ。」

「そうでしょうか……。」

「誰かが言ってたけれども、人生は良いことばかり続かないけれども

 悪いことばかりも続かない!って……。

 だから、来年は良いことがあるよ。」

「そうですね。そう思いたいです。」

「来春、良いことがある友達から福の御裾分けして貰えるかもしれないですよ。」

「じゃあ、御裾分けを今から予約しておきます。」

「それが、いいです。

 ……やっぱり、いいですね。」

「なにが、ですか?」

「笑顔です。貴女の笑顔がいいです。」

「…は……恥ずかしいこと,、サラッと言いますね。先生……。」

「そうですか?」

「でも、笑顔の方がいいですよ。 あ……誰でも、かな。」

「もう、先生!」

「香澄さんの笑顔が見られたところで終わりにしましょう。」

「はい。先生、御身体に気を付けてくださいね。」

「ありがとうございます。香澄さんも… じゃあ、また。」

「はい。また………。」


正樹との会話が終わると、大和三山の写真を見る……いつも、綺麗な山々を見て想いを寄せます。

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