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慕情  作者: yukko
令和
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今のささやかな望み

真帆に会って話を聞いて貰った香澄ですが、一つ真帆に話せてなかったことがありました。

「飛鳥」で「田辺先輩」よりも好きになった男性(ひと)が居たことを……。

いつの日にか、それも話せることが出来ればいいにになぁ…!と思っています。


児童養護施設の子ども達の中でも特に気に掛けないといけない子たちが複数います。

施設長の話によると、年々増えてきている虐待に遭った子たちです。

身体だけではなく、心にも大きな傷を受けて、心の傷を少しでも癒してあげたいと願っているのです。

香澄は、学ぶことの大切さを改めて感じています。


図書館に行くようになったきっかけは、「田辺先輩」でした。

たまたま、図書館に入って行く先輩を見かけました。

それから、何度も見かけたのです。

先輩に近づきたくて図書館に行くようになったことを思い出しました。

想い出しましたが、頭痛は起きませんでした。

頭痛が起きなかったので、香澄はホッとしました。

頭痛が怖いのです。

痛みが激しいので、出来れば二度と起きて欲しくありません。


「飛鳥」の頃の風景と、今の奈良の風景は違うでしょう。

全く違うだろうと思いますが、香澄はいつの日にか奈良を訪れたいと思っています。

奈良の飛鳥の古墳がある辺りを歩いてみたいと思っています。

1年間の実務経験が終われば、念願の児童福祉司になれます。

児童福士司になれたら、香澄は奈良に行こうと決めています。

僅かでも、あの景色が見られるかもしれません。

大海人皇子と見た山を、草壁皇子と見た小川のせせらぎを、そして……どこかに雄鹿が埋葬された所があるはずです。

その場所は分かりません。

残されていないでしょう。

でも、あの「飛鳥」の都のどこかに雄鹿は眠っています。

いつか…いつの日にか…香澄は行ってみたいのです。

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