コロナ禍
友達が言います。
「ねぇ、それで、どっちが本命?」
「本命って……。」
「双子の兄弟のどっち?」
「止めてよね。」
「やっぱり、先輩かな? 憧れてたもんね。」
「どっちでもないよ。」
「ほんと?」
「ほんと。 もう止めよ、ね。」
「えぇ―――っ。」
あれから担当している子どもが退院しました。
田辺先生の姿を見かけませんでした。
⦅嫌だわ、もう冷やかすから……意識してる、うん? 意識?
本当に嫌だわぁ~。⦆
⁑―――⁑―――⁑―――⁑―――⁑―――⁑―――⁑―――⁑―――⁑―――⁑
仕事帰りに歩いていて、急に浮かび上がった言葉があります。
それは「コロナ禍」!
でも、何故か……意味が分かりません。
ネットで調べても出てきません。
⦅あれっ? コロナ禍って何だろう?
なんか、あったよね。なんだったんだろう?
分かんない…………。⦆
⦅歴史……変わってたよね。
もしかしたら、コロナ禍っていうの、無くなった?
変わって無くなったのかな?⦆
「痛い!!」
思わず、痛みに耐えかねて声が出てしまいました。
頭がガンガン痛みます。
香澄は頭を抱えて痛みに耐えました。
あまりに痛いので入院していた病院へ行きました。
診察を受けましたが、異常なしでした。
「何か思い出した言葉があって、その言葉をきっかけに痛むのですね。」
「はい。思う出そうとすると痛みが酷くなります。」
医師は痛み止めの頓服薬を出してくれました。
無理に思い出そうとしない!だけなようでした。
サッカー部で一緒にマネージャーをしていた真帆に会いました。
真帆からLINEでメッセージを貰ったからです。
「本当に元気になって良かったわ。」
「その節は、本当にありがとう!」
「嫌だわぁ~、他人行儀よ。」
「ところで何?」
「うん。一回会いたいね、って、キャプテンが言ったから……。」
「キャプテンって、真帆の彼の方のキャプテン?」
「嫌だ―――っ。キャプテンは一人じゃん。」
「1個上とか…、じゃないよね。」
「どうして、そこで上の学年のキャプテンが出てくるのよ!
あ! そっかぁ~ 田辺先輩に会いたいから?」
「ち、違うよ。」
「なんか、あやしいな。」
「もう、違うし……。」
香澄は誰かに聞いて欲しくなりました。
記憶のことを………。
「飛鳥」の時代へ行って戻ってきたことを…………。
きっと信じて貰えない!と思いながらも………。
聞いて貰ってスッキリしたいことがあるのです。
コロナ禍のこと…………。
真帆は聞いてくれるでしょうか。




