子ども
姉・大田皇女は最初に女の子を産みました。
名前は大伯皇女です。
その後、第二子に男の子を産みました。
名前は大津皇子です。
妹・鸕野讚良皇女は男の子を産みました。
名前は草壁皇子です。
大海人皇子の息子の中で一番上は、高市皇子が居ますが、高市皇子の母親の身分が低いため、高市皇子が大海人皇子の後を継ぐ立場にはなれないのです。
大海人皇子の後を継ぐ立場になれるのは、草壁皇子と大津皇子です。
草壁皇子の1年後に生まれたのが大津皇子です。
高市皇子、草壁皇子、大津皇子の順です。
ふと気づいたのです。
もしかしたら……悪役なのでは…と気づいたのです。
鸕野讚良皇女は自分の息子を天皇にするために、大津皇子に謀反の疑いを掛けさせたのではなかったのか…と……。
もしかしたら日本史をしっかり勉強しなかったから間違っているかもしれないけれども……。
もし、間違っていなければ、姉の息子を…… 自分の甥を…… 死に追いやるのです。
謀反の疑いは作ることも可能ですし、ほんの些細なことを謀反とすることも可能なのです。
そして、その時には姉はこの世に居なくて、夫も亡くなっていて……天皇になったのは鸕野讚良皇女。
今の私なのだと香澄は気づいたのです。
そう持統天皇になるのだと気づいたのです。
「悪役は………嫌だ―――っ!」と叫びたい気持ちでした。